トランプ2リスクはインフレ材料てんこ盛り
11月5日の大統領選挙、銃撃を受けトランプ圧勝ムード、共和党指名受諾演説でも、トランプ節をこれまで以上に炸裂させている。演説は92分に及び、最初の30分は共和党方針の融和的な内容だったが、残り60分はトランプ節の批判のオンパレードだったという。
トランプ2が現実化する中、トランプ節に本音が見え隠れしており、すべては経済的なリスクになる可能性もある。
1、減税、
トランプ1で自らが執行した2025年までの大型法人税減税、2025年以降も継続方針。
2、強制送還、
失業率は基本低下して推移、そこに1同様、中南米の不法入国者を強制送還、1では百万人以上が強制送還されたが、対象者は5~10百万人、5百万人を強制送還する意向。
バイデン政権で移民が緩和され再び正規・不正規含め大量流入しており、トランプ2では正規の見直しと強制送還、失業率低下、末端労働者不足、賃金上昇、インフレへ
就業者数は過去最高水準にあり、大量強制送還のトランプ政策では人で不足が現実化する。特に不法意味たちが従事している末端労働者が不足し、労働者不足に見舞われ高賃金化する可能性もある。
不法移民防止のメキシコ境界の構築物は、バイデン政権でも継続されており、トランプ2政権では未決定地の新たな設置計画が動くと見られる。
3、輸入品に対する関税、
輸入品に一率10%の関税をかけるとか、中国に対しては60%を課すとか発言しており、米国製造業者は活気付こうが、高賃金の米労働者が製造する製品は自ずと高くなり、消費者は高く買物をすることになり、それだけでもインフレとなる。
4、燃料
トランプ政権が認可し、バイデン政権が認可取り消ししたパイプラインの国立公園内通過などへの敷設、カナダの重質油の原油を製油所があるメキシコ湾岸までパイプラインで送油計画のほか、シェールオイルの産地などからパイプラインで運ぶ計画が、西部・中部・東北部で計画されていた。
原油価格は大量生産で下がろうが、燃料費が下がっても、インフレ懸念が払拭されるわけではない。下がった分が購買力を押し上げ、インフレになる可能性もある。
5、インフレには関係ないが、1の時代から、麻薬鎮痛剤「オピオイド」の一種「フェンタニル」を含む錠剤の厳格な投与、製薬メーカーの社長が逮捕され、医療ルートは投与の厳格化がもたらされたが、新たに大量にメキシコの麻薬カルテルが製造し、米国へ密輸、トランプ2では取締りを強化するものと見られる。また、メキシコが製造しているものの、原薬は中国がメキシコへ輸出しており、中国に対する圧力はさらに強まるものと見られる。米国ではフェンタニル中毒となり、毎年5万人以上が死亡している。バイデン政権が中国へメキシコへ原薬の輸出をしないよう要請したが、中国は正規手続きによりメキシコへ輸出しており、何も問題ないとして米要請を完全無視している。
6、為替
ドル高を容認する可能性はあるが、一方で関税強化でバランスホとる可能性もある。金利を引き下げドル高を是正した場合、トランプ2政策でインフレは再び過熱する恐れがある。
前回の物価高は2021年のバイデン大統領の就任祝いの1.9兆ドル(300兆円/158円)の公共投資にあり、2021年秋口には高いインフレ率になり、露制裁前の22年2月にはすでに7.9%の高いインフレ率となっていた。
7、安全保障、
バンス副大統領候補とともに米軍のただ乗りは許されないとしている。中流経費の負担割合を大幅に見直すものと見られ。
米軍の駐留経費負担額は超円安で円での支払いは大幅に増加する。 新コロナ前より45%円安に振れており、その分だけでもえらいこっちゃ。負担率増となれば、日本からの円による拠出額は途方もなく増加する。当然、トランプ2政権では真水の負担率増を要求してくる。
(実際は米国の安全を守っている日本軍。米国のため、日本本土-沖縄-台湾-フィリピンの対中国第一列島防衛線、伊豆諸島-小笠原-グアム-サイパン-パプアニューギニアに至る対中国第2列島防衛線が設定され、米国本土への脅威に対して、米軍だけではなく、日本軍・台湾軍・フィリピン軍なども含め米国のためでもある防衛線を防衛している。トランプはこうしたことには触れず、自らの利になるように描き、実行に移す人物。)
8、補助金リスク
バイデン政権がCHIPS法やIRA法により、新規の半導体製造工場・EV用バッテリー工場、EV製造工場に対する巨額補助金支出、7月16日すでに補助金に噛み付いており、17日の台湾TSMC株は10%あまり下落した。
トランプもバイデンも政治的な決定事項をそれぞれ覆しており、トランプ2政権が補助金を削減もしくは停止する可能性もある。米国に新工場を建設中・計画中の企業はインテル・TSMC・サムスン・韓国サムスン・KG・SKのバッテリー子会社、EVバッテリー合弁工場建設のGM・フォード・ステランティス・トヨタ・ホンダなどが影響を受ける。
補助金額が大きいだけに経営に影響する。
補助金対象の巨大工場はサプライチェーン会社も含め、2027年までに米全土に数十ヶ所建設される。当然、建設中も多くあり、インフレ材料となっている。今後運転開始となると労働者が創出され、労働者不足の原因にもなってくる。もしも景気が悪化すれば、現在の販売不振のEVの専用工場やEV用バッテリー工場のように完成時期を延期する工場も多くなってくる。
も一つのインフラ促進策は戦争特需、
ウクライナに続き、イスラエルとも、米国は大量の兵器を提供している。
※トランプ2政権が不法滞在者5百万人を強制送還すれば、労働市場に大きな影響を与える。
5百万人分の消費活動=GDP寄与もなくなり、GDPは低迷する。
米国の就労者数 |
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|
/百万人 |
19/12月 |
159 |
20/4月 |
133 |
20/12月 |
150 |
21/12月 |
156 |
22/6月 |
158 |
22/12月 |
159 |
23/6月 |
161 |
23/12月 |
161 |
24/3月 |
161 |
24/6月 |
161 |