分からなくなってきた米大統領選挙 トランプ氏勝利見込みが一転、ハリス氏の出現
米大統領選挙戦は、「老いぼれジョー(バイデン氏の蔑称)VS闘志みなぎるトランプ」から、「若さと才気あふれるハリス(59歳) VS 高齢(79歳)で新鮮味のないトランプ」へ変わった。
バイデン×トランプ討論会とトランプ銃撃事件を受け、トランプ圧勝ムードが漂ったなか、民主党内のバイデン降ろしが奏功し、ハリス副大統領の大統領選への出馬が濃厚となり(民主党大会で決定)、その世論調査の支持率は拮抗している。
トランプ前大統領の失速は銃撃事件を受け支持率が最高潮に達し、共和党指名演説ではいつものように調子の乗り、過激な批判発言を展開したことにあるだろう。過激すぎればコアなトランプファンは大喜びするだろうが、ニュートラルな共和党支持者や無党派層は嫌悪感に陥る危険性をはらんでいる。
結局、討論会での勝利、襲撃事件のプラス効果を自ら剥離させてきている。
一方、バイデン降ろしはここ1ヶ月半以上続き、討論会では高齢から来る呂律も回らない失態を演じ、大統領選出馬予定者としてはマスコミからも有権者からも酷評され、バイデン降ろしが、各方面から噴出しエスカレート、報道機関も書きまくり、民主党連邦議員たちからも実質辞退勧告が出される始末。こうしてバイデン降しが高鳴る中でのバイデン氏の出馬辞退、ハリス副大統領が脚光を浴び、支持率が急上昇している。
6月28日、バイデン氏×トランプ氏 TV討論会、
トランプ氏67%で勝利、バイデン氏33%(直後のCNNの調査)。
7月13日、トランプ氏襲撃事件、米東部ペンシルベニア州で演説中銃撃受け負傷。
7月18日、共和党大会、トランプ氏大統領選挙指名獲得、90分演説/うち60分批
判演説。
7月21日、バイデン氏、大統領選撤退表明、後継者にハリス副大統領を指名
8月19日、民主党大会でハリス氏が指名を受ける見込み、
(民主党の連邦上下議員と知事の90%以上がハリス氏支持を表明)
11月5日、米大統領選挙
<世論調査>
1、ロイターの世論調査
6月11~12日の世論調査では、トランプ氏が41%対バイデン氏の39%をリード。登録有権者の1070人対象、誤差は3.5%ポイントで誤差内だった。
7月1日、TV討論会後の支持率はトランプ氏46%、バイデン氏44%。
7月16日、襲撃事件後の調査が発表され、トランプ氏が43%、バイデン氏は41%。
ほとんどの世論調査で、今年になり、バイデン氏がトランプ氏をリードしたことはない。それは、トランプ派は結束が固いものの、バイデン支持層の学生ら(登録有権者は18歳から)はガザ問題で離反していることからバイデン氏の自失によるもの。資金スポンサーであるユダヤが絡むだけバイデン氏の舵取りは難しい。
<トランプ氏とハリス氏拮抗、誤差範囲内>
バイデン氏撤退後の7月22~23日調査、
ハリス氏39%、トランプ氏39%、
うち登録有権者限定の場合は、ハリス氏44%、トランプ氏42%
2、公共ラジオ『NPR』+公共放送「PBS」の世論調査
7月22日調査実施分ではトランプ氏46%、ハリス氏45%
3、米国世論調査機関モーニング・コンサルトの世論調査では、
21~22日、登録有権者4001人の世論調査では、トランプ氏は47%、ハリス氏は45%。
4、米議会専門メディア「The Hil)」
7月22日に行われた68件の世論調査を総合分析の結果、
トランプ氏は48%、ハリス氏は45.3%。
TV討論会直後の調査では、副大統領のハリス氏は30%しか支持率を得られていなかった。
カマラ・ハリス氏(59歳)、
ジャマイカ人で経済学者の父、インド人で乳がん研究者の母、カルフォルニア州オークランド出身、ハワード大・カルフォルニア大ロースクール卒、検事、2011年カルフォルニア州司法長官就任、2期目在任中の2016年に連邦上院議員に出馬・当選(黒人として2人目の上院議員)、2021年副大統領就任。夫はユダヤ系白人弁護士。
検事上がりでディベート力は論破できるほど強い、しかし、副大統領時代は政治的にほとんど前面に出てこなかった。トランプ氏の一方通行で強いハリス氏批判に対して耐え、対抗できるかは未知。そのためかトランプ陣営は早期のTV討論会開催をしたい意向。
ハリス氏の部隊は早急にトランプ氏の分析、弱点、国民も評価する具体的事案によるトランプ攻撃へ向け強力なスタッフが必要。
女性票を左右する中絶法、
共和党保守派やキリスト教福音派などキリスト教保守派は中絶絶対禁止派であり、争点にできればハリス氏に女性票の多くが流れる。トランプ氏はこれまでの発言からして、争点にはせず、中絶問題を避けようとしている(トランプ氏本人はあちこちで種蒔き人)。
米国は民主主義といっても銃でかろうじて成立している異常な民主主義国家(銃撃事件後の世論調査で「この国は制御不能に陥っている」と回答した有権者は80%に達している。
米国は軍を背景にした権力統治機構が成立しており、黒人差別、女性差別は今に生き、特に共和党のトランプ支持派はそれが強く、福音派などがそれを支持している。白人至上主義の3K団もトランプ派に近い。
トランプ氏で評価できるのは、ウクライナ戦争を早期に終わらせるとしている点だけだろう。
今では対中では中国からの輸入製品に最高200%の関税をかけるとの発言もおり、自由貿易体制=WTOが形骸化し、崩壊する危険性もある。
ただ、自由主義の米国にあり、減税・関税だけではトランプミクスは成立せず、また、500~1000万人の不法移民を強制送還するとしながら、米国第一主義の下、何でもかんでも米国で製造しようとすれば、まず人手不足に陥り、賃金は上昇、生産コスト増をもたらし、必ず失敗する。トランプ1では、中国に対しては終始強気で貿易戦争となったが、ほかの国々とは話し合いで持論の政策を大きく後退させ、現状に近い線で折れていた。
トランプ氏の米国ナンバー1主義はバイデン政権へも引き継がれており、さらに強くなればなるほどドル高に振れ、世界の通貨の為替は不安定となり、世界経済そのものが危うくなる。
ハリス氏は政治的には未知数であり、大統領に選出されてもバイデン政権の政策を基本的には継承するものと見られる。
トランプ氏は民主党なり・ハリス氏を強く批判すればするほど、トランプ派の結束力は強くなるが支持は広がらず、逆に嫌悪感から2020年の大統領選挙のように反トランプ票が再びモノを言う可能性がある。
イスラエルはトランプになってもハリスになっても変化は望めない。ユダヤ教(共和党に近い福員派と関係が深い)やユダヤ財閥に近い関係にある共和党、民主党・バイデン政権もユダヤ財閥の一角の支援を受けており、ハリス氏も夫がユダヤ人という関係にある。
トランプ氏も大統領になり4年の任期を全うすれば83歳となり、ボケも始まっているはずだ。
♪Old soldiers never die, they simply fade away・・・老兵は消え去るのみ。