中国・国家統計局が発表した2024年の中国の国内総生産(GDP )は、初めて130兆元を超え、前年比5.0%増の134兆9億万元に達した。
(2024.12.31現在1元は21.53円//新コロナ前の2019.12.31.は15.58円)
産業別では、
第一次産業(農林水産)の付加価値は3.5%増の9兆1414億元、
第二次産業(製造)の付加価値は5.3%増の49兆2087億元、
第三次産業(小売・サービス)の付加価値は5.0%増の76兆5583億元となった。
GDPの構成では
一次産業は6.8%で貢献度は5.2%、
二次産業は36.5%で同38.6%
三次産業が56.2%の構成だった。
中国政府は経済不振に昨年9月に、全方位の大規模経済対策を発表、11月までに順次実施された。金融機関に対して預金準備率の引き下げる金融緩和策、経済成長のネックになっている不動産に対する新規融資の緩和や既存貸付金利の低下など大規模緩和策を実施、政府投資も大規模に実施している。不動産に対する既存融資の金利低下により消費拡大を図るもの。消費では資金豊富な自治体では、9月から数度に分け消費クーポンを配布し、消費の活性化も図り、奏功させている自治体もある。
そうした強力かつ大規模な経済政策が第4四半期に奏功し、政府目標の5.0%経済成長をかろうじて達成している。
こうした効果は2025年も現出してくることから、消費や工場の稼働率の状況が判断される若年失業率(17.1%)も今後とも改善していくものと見られる。
(習政権は共同富裕論に基づき学習塾への規制を強化したが、学生の就職難に最近では大幅に緩和している・・・若年失業率の問題と関係している)
スクロール→
中国の失業率
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若年
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全体
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23/12.
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14.9%
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5.1%
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24/3.
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15.3%
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5.2%
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24/.6.
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13.2%
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5.0%
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24/8.
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18.8%
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5.3%
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24/9.
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17.6%
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5.1%
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24/10.
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17.1%
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5.0%
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24/11.
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5.0%
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24/12.
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5.1%
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・若年失業率(15~29/学生除く )の高さは小売業の動向と大規模工場の稼働状況に直結している。
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<今後の課題、急拡大の地方債務>
ただ、政府投資の執行機関である地方政府は、中央政府が地方債発行を大幅に緩和しているものの、直接や簿外となる第3セクター不動産投資の失敗などにより財政が悪化している自治体がほとんどで、これまでも経済対策で更なる地方債発行を容認し続けており、2025年に不動産や消費が回復しなければ、地方財政の悪化が表面化してくる可能性もある。地方政府の財政歳入の大きな不動産使用権販売(中国は土地はすべて国有)も不動産低迷で歳入は大幅減少し、地方債の残高、潜在支払利息も含め水膨れしている。
<2025年、外需依存型は続かない>
現在、中国経済は内需より外需に依存、一方で、ここ10年、国産国消の「中国製造2025」の製造強化策が取られてきた。しかし、生産強化に対して、現在、内需が弱く、生産過剰品が大量に安価に世界へ輸出され、特に先進国では価格破壊を招き、各国の製造産業が窮地に陥り、関税でブロックし始めている。
<待ち構えるトランプリスク>
また、1月20日から始まる米トランプ2政権による関税問題がある。
現行、最高25%(100%の自動車除く)の関税でありながら、最大の輸出国である米国、トランプ次期政権は、中国のメキシコに対する麻薬原薬輸出問題(オピオイド(Opioid)/米10万人死亡/2022年/トランプ1政権では死亡5万人)を取り上げ、関税を60%に引き上げることを示唆しており、中国政府は現在正当化し輸出支援までしている麻薬のアヘンから合成するオピオイド原薬フェンタニルのメキシコ輸出を停止するしかない。
製造業の過剰生産問題は、中国政府にとって内需活性化が至上命題となっている。
全体の状況
2025年は、さまざまな産業の生産の伸びは安定すると予想される。
2024年は、
●農業生産は概ね安定しており、穀物生産量は年間を通じて過去最高を記録し、農林業、畜産業、水産業の付加価値は前年比3.7%増加し、経済成長を0.3ポイント押し上げた。
●製造業の成長は加速し、付加価値は前年比5.7%増加し、経済成長を1.7ポイント押し上げた。
●サービス産業は、回復し改善した。
情報伝送、ソフトウェアおよび情報技術サービスは10.9%増、リースおよびビジネスサービス産業は10.4%増となった。運輸業は7.0増、倉庫・郵便業は6.4%増となり、宿泊・飲食業も増加している。
以上、国家統計局、新華社等参照
スクロール→
中国GDP 名目
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四半期ベース
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通年ベース
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兆元
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2023/1Q
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4.5%
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2014年
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7.4%
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64.2
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2023/2Q
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6.3%
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2015年
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7.0%
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68.3
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2023/3Q
|
4.9%
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2016年
|
6.8%
|
73.7
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2023/4Q
|
5.2%
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2017年
|
6.9%
|
82.0
|
2024/1Q
|
5.3%
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2018年
|
6.7%
|
89.7
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2024/2Q
|
4.7%
|
2019年
|
6.0%
|
98.9
|
2024/3Q
|
4.6%
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2020年
|
2.2%
|
101.0
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2024/4Q
|
5.4%
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2021年
|
8.1%
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113.0
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2019年12月15.58円
2024年12月21.53円
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2022年
|
3.0%
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120.0
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2023年
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5.2%
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125.0
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2024年
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5.0%
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134.0
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