トランプ米大統領は、米国の自動車産業を脱輪につながるほど荒々しく運転しようとしているとロイターは次のように報じている。(脱輪ではなく、人をひき殺す暴走行為の運転手)
トランプ氏は26日、米国に輸入される乗用車やスポーツ用多目的車などのライトトラックに最大25%の関税を課す計画を発表、4月3日に発効する。
しかし、米国の現実の自動車産業は、車両も部品も国境をまたぐグローバルなチェーンにより構築されており、それを危険にさらすことになる。
影響は、自動車メーカーの総利益に匹敵する規模になるかもしれない。
自動車は戦略的価値の高いセクターだが、これはあまりに速く、あまりに行き過ぎた措置。
●GMの世界販売台数は600万台、うち米国販売は270万台
カナダにメキシコに2ヶ所の車両生産工場を有するほか、世界中に15ヶ所あまりの車両生産工場を持ち、エンジンや駆動モーター、部品は別に各国で生産している。
因みに韓国GMは2024年に50万台販売、うち40万台は米国での販売となっている。種にシボレーブランド車を生産している。
●フォードの世界巣販売台数は441万台(23年)、米国販売は207万台(24年)、メキシコにEV工場を有している。
●ステランティス(クライスラー)は、カナダにブランプトン工場を有し、フルサイズセダン「300」を生産している。
完成車への関税は4月3日から適用が始まる。部品は調整中で、爆弾投下は後日となる。
輸入されたエンジン、トランスミッション、電気部品など、最終的に米国内で製造される自動車に搭載されるものへの関税は、最長で1ヶ月間延期される。
また、カナダやメキシコから出荷され、両国との自由貿易協定に準拠した主要部品は、ラトニック米商務長官が米国製部品の確認手順を承認するまでは関税が適用されない。
こうした一時停止措置が延長されれば(この政権では十分ありえる)、ある程度の圧力緩和につながる。
それでも、カナダとメキシコが除外されなければ、完成車への関税は750億ドルの引き上げになると試算されている。これは、日本の三菱自動車のような、米国内で生産活動を行っていない
自動車メーカーにとって最も大きな痛手となる。
しかし、デトロイトを拠点としている大手メーカーでさえも影響は免れない。
バーンスタインによると、米国で販売している自動車で、ゼネラル・モーターズ(GM)は48%を海外で組み立てた海外製完成車、フォード・モーターでも18%は国外生産車となっている。さらに、部品関税が実施された場合、フォードの米国内の生産比で30%に達すると見積もられている。
政権は実際、大きな影響を見込んでおり、関税によって年間1000億ドルの収入を得ることが可能だと試算している。
コックス・オートモーティブのデータによると、2024年に米国内で販売された自動車は約1600万台で、新車の平均価格が約4万8000ドルであることを踏まえると、関税は自動車業界全体の売上高の約13%に相当することになり、収益性が大きく圧迫されるだろう。
販売価格を上げれば販売台数に影響し(景気悪化をもたらす)、販売価格を抑制すればサプライチェーンを含め利益を損なうことになる。
自動車関税にもたらされる15兆円の関税は政府の収入になり、米メーカーといえど関税の還元はまったくない。
GMのメアリー・バーラ最高経営責任者(CEO)は、関税の影響を一部相殺することは可能で、各社は関税前に自動車を国内に輸入する時間があったとしている。しかしこのような措置は所詮一時的なものに過ぎない。その後のコストは消費者に転嫁され、ウェドブッシュのアナリストによると5000~1万ドルの値上げにつながると考えている。
既に消費が伸び悩む中、大幅値上げのショックは大きくなる。
米政府が国内自動車メーカーの背中を少しでも押そうとすることには、それなりの根拠がある。商務省の調査によると、トランプ大統領の1期目の任期中、米国の自動車産業の研究開発(R&D)費は縮小し、世界全体に占める割合が極僅かなものとなった。
最先端の人工知能(AI)を自動運転車という形で実世界に応用することを踏まえると、国内のコントロールを失うことは国家安全保障上の影響が大きい。
中国メーカーは最近、自動運転車と電気自動車(EV)の両方で急速な進歩を遂げており、世界中のライバルがうろたえている。
しかしトランプ政権は、非常に高価で複雑な海外のサプライチェーンを一夜にして放棄させる大改革、国内にすべてのサプライチェーンを構築することを事実上要求している。しかし、工場を作るにも何年も必要であり、できるわけはなく、できたとしても高コストにより米国内の競争はトランプ政権下では保護されるものの、海外では通用しない高価格になるのは必至、ドルを大暴落させるのだろうか。
トランプの関税爆弾政策は、米自動車産業も含めた大破壊に過ぎない。
●日本は自動車の対米輸出額6兆264億円(404億ドル)、対米輸出全体の28.3%に達している。
●韓国の自動車の対米輸出は347億ドル(約5.1兆円)にのぼり、自動車の総輸出額に占める割合は49%に達している。
○日本も韓国も、各国内勢の米工場向けや米国内の海外メーカー向けに自動車部品を大量に輸出している。
★米国が2024年に輸入した自動車製品の総額は4,740億ドル相当(約70.6兆円/149円)で、うち乗用車は2,200億ドル。残りは常用社外の車両および自動車部品部材、同盟国であるメキシコ、日本、韓国、カナダ、ドイツが最大の供給国となっている。
単純計算で25%の関税は1,185億ドル相当(約17.6兆円)。
完成車輸入より、自動車部品部材の輸入額が大きく、これまで米国内ではエンジンの一部などを除き、ほとんど製造していないことを表している。これを米国内で生産させるというもの。なぜ、国内で生産してこなかったのか、米国内で製造すれば、価格競争力で負けてしまうことから。
GMもフォードも販売台数の過半は海外販売となっている。そうした海外販売分は米国では生産コスト増により価格競争力はなく造れないことを意味する。EUやカナタでは報復関税も予想され、米国産自動車は海外販売は、ほぼ不可能になる。
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2024年販売台数/万台
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全世界
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米国内
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GM
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618
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270
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フォード
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441
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207
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ステランティス
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541
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143
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(傘下、クライスラー)
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・GMとフォードの世界販売台数は2023年分
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トランプ氏は、米国を戦後の西側同盟国との価値観の共有から完全に離脱させる。トランプ氏の価値観を共有するのは、もはや北朝鮮やロシアでしかない。不動産屋の真骨頂だろう。