アイコン 人が辞め、会社が消えた──2025年「人手不足倒産」が過去最多に

Posted:[ 2026年1月 4日 ]

 賃上げ競争に敗れた中小企業の現実とは

2026年1月。昨年の企業倒産を振り返ると、2025年は日本経済にとって「ヒトの値段が企業の生死を分けた年」だったと言える。

各調査会社によると、2025年の「人手不足倒産」は統計開始以来、過去最多を記録。
2024年から続く時間外労働規制(いわゆる「2024年問題」)の影響が本格化し、そこに大企業を中心とした大幅な賃上げが重なったことで、体力のない中小企業が次々と市場から姿を消した。

人材不足倒産



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■ 最大の特徴は「従業員が辞めて倒れる会社」

これまで人手不足倒産の主因は、「求人を出しても人が来ない」ことだった。
しかし2025年は違う。最大の特徴は、「今いる社員が辞めていく」倒産が急増した点だ。

春闘で5%超の賃上げを実施する大手企業が相次ぐ中、中小企業との賃金格差は一気に拡大。
従業員側も「今後も賃金は上がらない」「将来が見えない」と判断し、より条件の良い企業へ移る動きが加速した。

中核人材の退職が引き金となり、
「黒字だが現場が回らない」
「受注はあるが対応できない」
といった理由で、事業継続を断念するケースが相次いだ。

 

■ 建設・物流を直撃した「2024年問題」の遅発弾

2025年は、時間外労働の上限規制が**倒産という形で表面化した年**でもある。

建設業では、職人不足が深刻化。
工期遅延が常態化し、違約金の発生や新規受注の停止で資金繰りが悪化した。

物流業では、ドライバーの労働時間短縮によって売上が減少。
そこに燃料費高騰と人件費上昇が重なり、「運べるが利益が出ない」構造的赤字に陥る事業者が続出した。

特に地方の中小運送会社では、賃上げ競争についていけず、人材流出が止まらなかった。

 

■ 無理な賃上げが招いた「賃上げ疲れ」と廃業

物価高への対応として賃上げに踏み切ったものの、価格転嫁が追いつかず、
人件費だけが膨らみ、収益が急悪化する倒産も目立った。

経営者の高齢化や後継者不足も重なり、
「これ以上の借入は避けたい」
「人の管理に疲れた」
として、廃業を選ぶ企業も増えている。

倒産と休廃業の境界線は、急速に薄くなっている。

 

■ 業種別にみる人手不足倒産の構図

建設業
・職人の高齢化と若手不足
・工期遅延による信用低下が致命傷

物流業
・ドライバー争奪戦に敗北
・稼働制限下での構造的赤字

サービス業(飲食・介護など)
・需要はあるが人がいない
・営業できず「機会損失倒産」に

 

■ 2026年、生き残る企業の条件は変わった

もはや「求人を出せば人が来る」時代ではない。
2026年を生き抜く企業に求められるのは、単なる賃上げではない。

鍵を握るのは、
① 省人化投資(DX・ロボット・業務標準化)
② 従業員の定着率を高める労務設計

の両立だ。

また、地域経済では小規模事業者同士のM&Aや業界再編が進み、
「淘汰ではなく集約」による生存戦略が現実味を帯びている。

2025年は、人手不足が「一時的な課題」ではなく、
企業の存続を左右する構造問題であることが明確になった一年だった。

2026年、日本企業は「人をどう集めるか」ではなく、
「少ない人でどう回すか」「どうすれば辞めないか」という、
より厳しい問いに直面している。


 

 


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