アイコン リーガル構造改革の本質 チヨダシューズ操業停止が突きつけた「革靴ビジネスの限界」

Posted:[ 2026年2月10日 ]

リーガルコーポレーションが進める構造改革が、製靴業界に大きな波紋を広げている。生産子会社チヨダシューズの操業停止と希望退職の実施は、単なるリストラではなく、日本の革靴産業が直面する構造問題を象徴する動きだ。

チヨダシューズ

市場環境:不可逆的に進む「脱・革靴」

リーガルの苦境は、一時的な景気後退では説明できない。クールビズ、テレワーク定着を経て、ビジネスシーンにおける革靴の必需性は大きく後退した。現在はスニーカー通勤が一般化し、重厚な革靴を日常的に履く層は明確に縮小している。
需要は「高級インポート」と「低価格・短期消費」に二極化し、リーガルが主戦場としてきた“3万円前後の実用高級靴”の市場が最も圧迫されている。

 



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製造体制:老舗工場閉鎖が持つ重み

約100年の歴史を持つチヨダシューズの操業停止は、象徴的な出来事だ。同社が担ってきたグッドイヤーウエルト式製法は、工程が多く熟練を要する国内製靴技術の中核だった。
一度工場を閉じ、職人が散逸すれば、同水準の生産体制を再構築するのは極めて難しい。一方で、需要減少下で稼働率が低下する中、固定費を抱え続けることは経営上の重荷となっており、リーガルが「技術の維持」より「生き残り」を優先せざるを得なかった現実が透ける。

 

財務・戦略:縮小均衡への転換

今回の構造改革で、リーガルは人員削減、生産拠点の集約、外部委託(OEM)活用を進める方向に舵を切った。これは成長戦略というより、損益分岐点を引き下げるための防衛的対応だ。
自社生産比率を下げ、需要変動に対応しやすい体制へ移行することで、在庫リスクと固定費の圧縮を図る狙いがある。

 

今後の焦点は

リーガルの強みは「丈夫で長く履ける靴」という信頼性だった。しかし、その耐久性は買い替え頻度を下げ、トレンド消費とは相性が悪いというジレンマも抱える。
今後の再建の鍵は、伝統技術をどう残しつつ、スニーカー的な快適性や軽さを取り入れた“ビジカジ対応型”商品で、新たな需要層を開拓できるかにある。

今回のチヨダシューズ操業停止は、一企業の問題にとどまらない。「国内で革靴を作り続けるとはどういうことか」を、業界全体に突きつける転換点と言えそうだ。

 

 


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