クレジットカード決済代行会社「全東信」(大阪市中央区)が大阪地裁から破産手続開始決定を受けてから1カ月が経過し、同社に融資していた地方銀行や信用金庫、信用組合など地域金融機関への影響が拡大している。
報道によると、破産申立書の債権者一覧に記載された金融機関は63先に上り、このうち8月6日までに少なくとも34金融機関で、計539億円超の債権について回収不能または回収遅延のおそれが判明した。全東信の借入金は2026年5月時点で約1130億円とされており、現段階ですでにその半分近くが回収懸念債権として表面化した格好だ。
破産直後の7月13日時点では21金融機関、計465億円だったが、その後、新たに13金融機関で約74億円の回収不能・遅延懸念が判明した。63金融機関のうち半数程度は具体的な損失見込みを公表しておらず、影響額は今後さらに膨らむ可能性がある。
全東信向け債権 判明している主な金融機関
※「未保全・引当等」は、各金融機関が公表した担保や引当金などで保全されていない金額、または回収不能・遅延のおそれがあるとされた金額。貸出残高そのものが最終的な損失額になるとは限らない。
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金融機関 |
貸出・債権額 |
未保全・引当等 |
対応・状況 |
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近畿産業信用組合 |
124億5600万円 |
124億5600万円 |
全額を引当処理予定 |
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東和銀行 |
80億円 |
58億8600万円 |
未保全部分を全額引当 |
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大阪厚生信用金庫 |
66億6900万円 |
44億6400万円 |
2026年9月中間期に全額引当 |
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東京スター銀行 |
80億円 |
40億円 |
40億円を貸倒引当金として処理予定 |
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北おおさか信用金庫 |
40億円 |
27億6400万円 |
未保全部分を全額引当 |
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三十三銀行 |
50億円 |
約27億円 |
未保全部分を引当処理 |
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第一勧業信用組合 |
29億円 |
20億9500万円 |
2027年3月期第1四半期に全額引当 |
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大光銀行 |
15億円 |
15億円 |
未保全部分を全額引当 |
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朝銀西信用組合 |
約19億円 |
約13億9000万円 |
回収不能・遅延のおそれ |
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ミレ信用組合 |
18億円 |
11億9900万円 |
担保預金等控除後の金額を引当 |
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高知銀行 |
12億円 |
9億1500万円 |
未保全部分を全額引当 |
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永和信用金庫 |
― |
約8億7000万円 |
2026年9月期に全額引当予定 |
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島根銀行 |
8億円 |
8億円 |
全額が未保全、引当処理 |
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南都銀行 |
5億円 |
約3億円 |
未保全部分を全額引当 |
上記の主な14金融機関だけでも、未保全・引当対象などの金額は約413億円に達する。なお、数値は各金融機関の公表時点が異なり、今後の債権回収や破産配当などによって最終的な損失額は変動する。
大口融資でも全額保全のケース
一方、破産申立書に記載された貸出額がそのまま損失になるわけではない。山口銀行は全東信に74億円を融資していたが、担保などによって全額が保全されており、山口フィナンシャルグループは今回の破産に伴う与信関係費用は発生しない見込みとしている。
このため、全東信への「貸出残高」と実際に金融機関が負担する「未保全額」は区別してみる必要がある。破産手続きでは今後、担保権の実行や預金との相殺、売掛債権などの回収、破産財団からの配当によって回収額が変動する可能性がある。
地域金融機関の与信管理も焦点に
全東信の破産で特徴的なのは、一部の大手行だけではなく、全国各地の地方銀行、信用金庫、信用組合に融資先が広がっていた点だ。金融債権者は63先に及び、複数の金融機関で数十億円規模の未保全債権が発生している。
各金融機関は自己資本や利益水準から経営の健全性に問題はないとの見解を相次いで示しているものの、今回の巨額破綻を受け、金融庁は各地の財務局と連携し、地域金融機関を中心に与信管理の状況などを調査している。
現時点で判明している539億円超は、あくまで公表や取材によって表面化した金額である。63金融機関のうち半数程度は具体的な回収懸念額を明らかにしておらず、今後の決算発表や破産手続きの進展に伴い、全東信破綻による地域金融への影響はさらに明らかになりそうだ。
※「回収不能・遅延のおそれ」「未保全額」は確定した最終損失額を意味するものではありません。担保処分、相殺、債権回収、破産配当などにより今後変動する可能性があります。
※2026年8月7日時点で確認できた公表資料・報道を基に整理しています。