【第五回】いよいよ8月7日開札、「大林組JV先行説」の答えが出る日、大村市は出来レース疑惑を払拭できるのか

今回の工事は、3社で構成する特定建設工事共同企業体、いわゆるJVによる入札とされている。
代表構成員には、大規模工事や免震建築物などの施工実績が求められ、ほかの構成員には県内業者、市内業者などの条件が設けられている。
一見すれば、大手ゼネコンの技術力と地元企業への受注機会を両立させる合理的な仕組みに見える。
しかし、参加条件を細かく設定すればするほど、結果的に参加可能な企業やJVの組み合わせが限られることもある。
問われるべきなのは、その条件が新庁舎の品質と安全性を確保するために必要不可欠だったのか、それとも、特定の企業や組み合わせに有利に働く条件となっていなかったのかである。

「地元貢献」という美しい言葉も、検証が必要だ。
地元企業全体に公平な機会が開かれていたのか。
それとも、一部の有力企業だけが大手ゼネコンと組み、大型公共工事の恩恵を受ける仕組みになっていなかったのか。
地元貢献が「いつもの地元有力業者への貢献」にすり替わっているのであれば、それは市民が期待する地元貢献ではない。
大林組の指名停止歴をどう評価したのか
大林組はスーパーゼネコンであり、国内外で多数の大型工事を施工してきた実績を持つ。
その一方、近年、工事をめぐる法令違反などを理由に、複数の自治体から今現在でも指名停止措置を受けている事例も確認されている。
指名停止期間を満了していれば、法的に入札へ参加できる場合はある。
しかし、「参加資格があること」と「防災拠点の施工者として最も適切であること」は同じではない。
大村市新庁舎は、単なる事務所ではない。
巨大地震や豪雨災害などが発生したとき、市長をはじめとする災害対策本部が置かれ、市民の生命と生活を守る司令塔となる建物である。
だからこそ、大村市には次の点を明らかにしてもらいたい。
• 指名停止や法令違反の履歴を、入札参加資格審査でどのように確認したのか。
• 参加資格が形式的に回復していれば、それ以上の検証は行わないのか。
• 企業の安全管理体制や法令順守体制を、誰がどのように評価したのか。
• 過去の処分歴を、施工者選定のリスクとして検討したのか。
• JV各社の責任分担と、事故発生時の責任主体は明確になっているのか。
これは企業攻撃ではない。
たしかに西海建設は嫌いだが、大林組はさほど嫌いではない。高瀬建設はどうでもよか。
市民の生命を預かる建物の施工者に対して、当然求められる確認である。
落札価格だけでなく「入札の全体像」を公表せよ
8月7日の開札後、大村市が業者名と落札価格だけを公表して終わるのであれば、市民の疑念は解消されない。
市が公表すべきなのは、少なくとも次の事項である。
• 入札参加JVの名称と構成企業
• 各JVの入札価格
• 予定価格と最低制限価格等の設定状況
• 参加資格要件を定めた具体的な理由
• 各社の施工実績を確認した資料
• 指名停止歴や法令違反歴の確認結果
• 免震工事を担当する企業と技術者
• 工事監理者と施工者のチェック体制
• 地元企業・地元資材の選定方法
• 入札前から特定JVの名前が出ていたことに対する市の見解
これらを明らかにして初めて、大村市は「公平、公正な競争入札だった」と市民に説明できる。
“予言的中”で終わらせてはならない
もし8月7日、大林組・西海建設・高瀬建設JVが落札した場合、行政は「適正な入札の結果です」と説明するのだろう。
JC-net・日刊セイケイ編集長・中山洋次





