アイコン 北海道スーパー戦争、低価格へ イオン「ザ・ビッグ」拡大、ロピア・トライアルも攻勢

Posted:[ 2026年8月14日 ]

北海道のスーパーマーケット市場で「低価格」を軸にした競争が一段と激しくなっている。イオン北海道はディスカウントストア(DS)「ザ・ビッグ」を成長戦略の柱に据え、2026年秋に千歳市へ新規出店するほか、札幌市厚別区のイオン札幌厚別店も9月中旬をめどにザ・ビッグへ転換する計画だ。道外勢ではロピアが札幌市内で店舗網を広げ、トライアルも道内各地で勢力を拡大。物価高で家計の節約志向が強まるなか、北海道の食品スーパーは「安さ」を巡る競争局面に入っている。

イオン北海道、DSを「成長ドライバー」に

イオン北海道の中期経営計画では、2026年度から2030年度にかけてディスカウントストアを成長ドライバーに位置付けた。「ザ・ビッグ」では「エリア一番の価格」を掲げ、生活防衛意識の高まりに対応する方針を明確にしている。

同社は2030年度に直営売上高4400億円以上、このうち食品売上高3700億円以上を目標としている。2026年2月末時点では道内183店舗を展開し、このうちザ・ビッグは26店舗。マックスバリュ・フードセンターは64店舗を構えるが、最近の新規出店や業態転換ではザ・ビッグの存在感が高まっている。

2024年以降、ザ・ビッグは福住店、元町店、清田店への転換を進め、2026年には千歳市への新規出店と厚別店への業態転換を予定している。従来の総合スーパーや食品スーパーだけでなく、より価格訴求力の強いDSへ重心を移している格好だ。

 



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ロピアは札幌で急速に店舗網を拡大

北海道市場に新たな価格競争を持ち込んだのが、神奈川県を地盤とする食品スーパー「ロピア」だ。2024年11月、イトーヨーカドー屯田店跡に北海道1号店を開業。その後、福住、清田、琴似、中の島へ相次いで進出し、札幌市内で店舗網を広げている。

ロピアは「ロープライスのユートピア」を掲げ、精肉や鮮魚、惣菜などの売り場を強化した大型食品スーパーを展開する。北海道進出から短期間で複数店舗を出店したことで、札幌圏の食品スーパー競争にも影響を与えている。

当初は2032年2月期までに北海道25店舗、売上高1000億円を目標としていたが、その後は店舗確保の難しさなどを背景に出店目標を20店舗へ修正。一方で売上高1000億円の目標は維持しており、1店舗当たりの売上規模を高める戦略に軸足を移している。

トライアルは全道規模で展開

さらに存在感を高めているのが、九州発祥のディスカウントストア「トライアル」だ。トライアルの公式店舗情報では、札幌圏だけでなく道央、道北、道東、道南へ店舗網を広げている。

トライアルの特徴は食品だけにとどまらない。日用品や医薬品、家電なども扱うスーパーセンターを中心に、24時間営業や独自のレジカートなどを組み合わせ、価格と利便性の双方を打ち出している。

2026年2月には札幌市で「TRIALネットスーパー」を開始。複数店舗を出荷拠点として札幌市内の広い地域をカバーする配送体制を構築しており、価格競争に加えて店舗、デジタル、配送を組み合わせた競争にも踏み込んでいる。

北海道スーパー各社の主な動き

事業者・業態 北海道での展開 主な動き
イオン北海道 道内183店舗 低価格業態「ザ・ビッグ」を成長ドライバーに位置付け
ザ・ビッグ 26店舗(2026年2月末) 千歳への新規出店、札幌厚別店の業態転換を予定
ロピア 札幌市内で複数店舗 2024年の北海道進出後、札幌圏で出店を加速
トライアル 全道で店舗展開 スーパーセンターに加え、札幌でネットスーパーを展開
アークスグループ 北海道218店舗 道内最大級の店舗網を背景に既存商圏を防衛
コープさっぽろ 100店舗超 地方部を含め生活インフラとして店舗網を維持・拡大

※店舗数は各社公表資料・公式店舗情報を基に整理。業態や集計時点、店舗数の定義は各社で異なる。

背景に食料品の値上がり

低価格業態へのシフトを後押ししているのが、長引く物価高だ。北海道の消費者物価指数では、2026年6月の総合指数が前年同月比2.4%上昇し、食料は4.3%上昇した。

食品価格の上昇が続けば、消費者がスーパーを選ぶ際に価格を重視する傾向は強まる。イオン北海道自身も中期経営計画で「生活防衛意識の高まり」をDS強化の背景に挙げており、スーパー側にとって低価格商品の品ぞろえや調達力がこれまで以上に重要になっている。

アークス、コープも巨大店舗網で迎え撃つ

もっとも、北海道市場が道外の低価格スーパーだけで塗り替えられるわけではない。アークスグループは2026年2月末時点で北海道に218店舗を展開する。北海道内で長年築いた商圏と店舗網は大きな強みで、低価格競争が激しくなるなかでも依然として強固な地盤を持つ。

コープさっぽろも100店舗を超えるネットワークを持ち、札幌圏だけでなく人口の少ない地方部にも店舗を展開している。2026年には天塩町、幌延町、豊富町などでも出店を進めており、単純な価格競争だけでは測れない「地域の生活インフラ」としての役割を担っている。

「近くて便利」から「安くて便利」へ

北海道のスーパー市場ではこれまで、アークス、イオン北海道、コープさっぽろなど、道内に強固な店舗網を持つ事業者が中心となってきた。そこへロピアが札幌に進出し、トライアルが全道規模で店舗を展開。迎え撃つイオン北海道も自らザ・ビッグを成長業態に据えたことで、競争の軸は明確に「価格」へ傾き始めている。

一方、北海道は面積が広く、札幌の都市型市場と地方の商圏では事情が大きく異なる。人口減少が進む地域では店舗を維持すること自体が課題となる一方、札幌や千歳など人口集積地では、低価格スーパー同士の競争がさらに激しくなる可能性がある。

安さ、品ぞろえ、惣菜、営業時間、ネット配送――。北海道のスーパー戦争は、低価格を入口にした総合力の競争へ移りつつある。

 


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