アイコン アシックス、オニツカタイガー分社化検討 訪日客需要追い風、世界展開へ


アシックスが、高級シューズブランド「オニツカタイガー」事業の分社化を検討している。訪日客需要や海外での人気を背景に同ブランドは急成長しており、アシックス全体の収益を押し上げる存在となっている。分社化によって意思決定を速め、出店や商品戦略をより柔軟に進める狙いがある。

オニツカタイガーは、アシックスの前身である鬼塚商会に由来するブランドだ。1950年代に競技用シューズの販売を始め、1960年代以降、国内外で認知度を高めた。その後、会社は1977年に合併を経てアシックスとなり、オニツカタイガーの名称は一時、前面に出なくなった。

転機となったのは2002年のブランド復刻だった。1960年代のデザインを取り入れたレトロなシューズが欧州などで支持を集め、スポーツ用品という枠を超えて、ファッション性の高いブランドとして再評価された。現在はスニーカーに加え、衣料品や雑貨も展開し、「日本発」のライフスタイルブランドとして存在感を強めている。

 

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業績面でも成長は鮮明だ。2025年12月期のオニツカタイガーの売上高は1365億円となり、前期比で4割超増えた。日本を含む各地域で2桁成長を続けており、アシックス全体の中でも高い伸びを示す事業になっている。特に国内では、訪日外国人による購入が追い風となっている。

分社化の背景には、スポーツ用品メーカーとしてのアシックス本体と、ファッション・高級ブランドとして成長するオニツカタイガーとの事業特性の違いがある。競技用シューズでは機能性や量販体制が重視される。一方、オニツカタイガーでは店舗の立地や内装、接客、商品構成、広告表現などを通じたブランド体験が重要になる。事業を独立させれば、こうした判断をより速く進めやすくなる。

アシックスは、オニツカタイガーを「日本発のグローバルラグジュアリーライフスタイルカンパニー」として育てる構想を描く。東京・新宿には世界最大規模の旗艦店を開く計画もあり、米国市場への再展開も視野に入る。世界の大都市で直営店を増やし、ブランド価値を高めながら収益拡大を目指す考えだ。

ただ、課題もある。急速な出店や商品展開は、ブランドの希少性を損なうおそれがある。インバウンド需要への依存が高まれば、為替や海外景気、観光需要の変動にも左右されやすい。米国市場では、ナイキやアディダス、ニューバランスなど有力ブランドとの競争も激しい。

今回の分社化検討は、アシックスにとって、成長事業を切り離すというより、独立性を高めて一段の拡大を狙う動きといえる。創業の歴史を持つブランドを、改めて世界市場で戦う柱に育てられるか。オニツカタイガーの成長戦略は、アシックスの企業価値を左右する重要なテーマになりつつある。

 

 

[ 2026年6月10日 ]
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