北海道が2026年4月1日に宿泊税を導入してから半年が経過した。道内の宿泊者から宿泊料金に応じて1人1泊100円、200円、500円を徴収し、観光振興や受け入れ環境の整備に充てる新たな財源となっている。
その一方、国際リゾートのニセコ町では北海道に先行して2024年11月から町独自の宿泊税を導入しており、議論はすでに「税を導入するか」から「何に使うか」の段階へ進んでいる。
ニセコ町は10月14日、宿泊事業者と町民を対象に宿泊税の使途を考える意見交換会を開催する。2026年度の充当事業の見込みに加え、2027年度に宿泊税を何へ使うかについて意見を募る。
北海道宿泊税、年間32億円規模の財源に
北海道宿泊税は2026年4月1日に始まった。税額は1人1泊の宿泊料金が2万円未満の場合100円、2万円以上5万円未満は200円、5万円以上は500円となっている。
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1人1泊の宿泊料金 |
北海道宿泊税 |
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2万円未満 |
100円 |
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2万円以上5万円未満 |
200円 |
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5万円以上 |
500円 |
北海道は2026年度の宿泊税収を32億2,788万円と見込む。このうち賦課徴収や周知、施策検討にかかる経費を除き、25億2,142万3千円を宿泊税活用事業に充てる計画としている。
使途は観光マーケティングだけではなく、人材確保・育成、移動利便性、受け入れ機能の強化、災害時の体制整備など、観光地を維持するための基盤整備にも広がっている。
ニセコは道より1年半早く宿泊税を導入
ニセコ町は北海道宿泊税とは別に、2024年11月1日から町独自の宿泊税を導入している。
導入初年度となった2024年度は11月から翌年3月までの5カ月間で、宿泊税収は1億2,967万1千円となった。ニセコ周遊バスの運行や冬季タクシーの増台など、観光客の急増に伴って不足していた地域交通の充実を中心に活用した。
2026年度になると使途はさらに広がった。宿泊税を活用する事業全体の予算額は4億5,554万6千円。このうち宿泊税から2億1,106万2千円を充当する。
2.1億円、交通からWi-Fi・医療まで
2026年度のニセコ町宿泊税の使い道を見ると、観光客向けの宣伝費だけではなく、地域交通や生活インフラに多く配分されている。
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主な事業 |
宿泊税充当額 |
内容 |
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ニセコ周遊バスの拡充 |
3,353万8千円 |
夏季を含む周遊バスの拡充、JR接続改善 |
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Wi-Fi導入調査・実証 |
4,000万円 |
観光エリアでの通信環境整備を調査 |
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町道等ロードヒーティング |
2,444万8千円 |
スキー場アクセス時の安全確保 |
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タクシー「ニセコモデル」 |
1,440万円 |
冬季に域外のタクシーを活用 |
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観光事業者DX |
1,000万円 |
自動チェックイン、キャッシュレスなどを支援 |
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医療・救急体制の充実 |
260万円 |
冬季観光繁忙期の医療体制を強化 |
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休日の子ども預かり |
75万1千円 |
宿泊業従事者などの子育て環境を支援 |
このほか消防・救急体制、ファミリーサポートセンター、観光協会の体制強化、グリーンシーズンの誘客、ニセコルールの運用などにも宿泊税が充てられる。
観光客から徴収する税金が、観光施設そのものだけでなく、交通、通信、医療、救急、観光産業で働く人の生活環境へ還元される構成となっている。
10月14日、早くも2027年度の使い道を議論
ニセコ町は10月14日、町役場で「みんなで考えるニセコ町宿泊税の使い道について」と題する意見交換会を開催する。
午前9時30分からと午後1時30分からの2回開催し、2026年度のグリーンシーズンを終えて見えた観光課題、2026年度の宿泊税充当事業の見込み、2027年度の宿泊税充当事業案などについて、宿泊事業者や町民から意見を聞く。
北海道宿泊税がスタートして半年の段階で、ニセコでは独自税について次年度の使途を住民・事業者と検討する段階まで進んでいることになる。
なお、この意見交換会で議論されるのはニセコ町独自の宿泊税の使途であり、北海道宿泊税そのものの使途を決める会議ではない。
11月1日から宿泊料金の3%へ
ニセコ町の宿泊税制度は11月1日にもう一段階変わる。
現在は宿泊料金に応じた段階定額制で、北海道宿泊税とニセコ町宿泊税をそれぞれ加算している。例えば1人1泊2万円以上5万円未満の場合は町税500円と道税200円の合計700円、5万円以上10万円未満では町税1,000円と道税500円の合計1,500円となる。
11月1日以降は定率制へ移行し、北海道宿泊税を含めた宿泊税の合計額を宿泊料金の3%とする。この3%の中から北海道宿泊税の100円、200円、500円を差し引き、残額をニセコ町宿泊税とする仕組みになる。
高額な宿泊施設が多いニセコで定率制がどの程度の税収につながり、その財源が地域交通や生活インフラへどう配分されるか。宿泊税の焦点は導入の是非から、徴収した財源を地域へどう還元するかへ移っている。