函館は10月だけでクルーズ船20回計画 小樽は台風で年内終了、前年75回対33回
北海道の主要なクルーズ寄港地である函館港と小樽港で、2026年秋の寄港状況に大きな差が出ている。
函館港は10月、月初時点でクルーズ客船20回の寄港を予定していた。これに対し、小樽港の2026年の年間寄港計画は19回。さらに10月に予定していた最後の2寄港が相次いで中止となり、小樽は予定より早く2026年のクルーズシーズンを終えることになった。
ただし、両港の差を台風だけで説明することはできない。小樽は2025年の33回から、2026年は当初計画の段階で19回へ縮小していた一方、函館では10月の1カ月だけで小樽の年間計画を上回る20回が組まれていた。
函館、10月だけで当初20回を計画
函館市が10月号の広報で示した当初計画では、若松ふ頭への寄港が13回、港町ふ頭が7回の計20回。9日、14日、24日、31日には1日に2隻が入る日程が組まれている。
船舶も大型化しており、17万1,598総トンの「MSCベリッシマ」、16万9,379総トンの「スペクトラム・オブ・ザ・シーズ」、13万9,999総トンの「ナビゲーター・オブ・ザ・シーズ」、11万5,906総トンの「ダイヤモンド・プリンセス」などが予定されている。
一方で、クルーズ船は天候の影響を受けやすい。10月5日の「ノルウェージャン・ジェイド」と7日の「ルミナラ」は天候不良で函館寄港を取りやめた。
その一方、5日には「シーボーン・アンコール」が臨時入港している。このため当初20回から2回が中止、1回が追加され、今後の予定がすべて実施された場合、10月の寄港は差し引き19回となる。
小樽は年間19回計画、最後の2寄港が中止
小樽港の2026年当初計画は年間19回。すべて第3号ふ頭への寄港を予定していた。
しかし10月3日に予定されていた「カーニバル・ルミノーザ」が寄港を中止。小樽観光協会は台風の影響によるルート変更として案内し、この時点で残る2026年の寄港予定は「バイキング・オリオン」1隻となった。
その「バイキング・オリオン」も、10月12日から13日に予定していた小樽寄港を台風の影響で中止した。小樽観光協会は、これをもって2026年の小樽港へのクルーズ船寄港は終了するとしている。
当初予定表では10月の2隻が18番目、19番目の寄港だったため、これらを除けば予定表ベースでは17回となる。ただし、年間の正式な寄港実績については小樽市の確定公表を待つ必要がある。
| 項目 | 函館港 | 小樽港 |
|---|---|---|
| 2025年寄港実績 | 75回 | 33回 |
| 2026年の今回比較 | 10月だけで当初20回 | 年間当初19回 |
| 10月8日時点 | 2回中止、1回臨時入港 | 最後の2寄港中止、年内終了 |
| 主な受入ふ頭 | 若松ふ頭、港町ふ頭 | 第3号ふ頭 |
前年も函館75回、小樽33回
寄港数の差は2026年だけではない。北海道開発局によると、2025年の寄港実績は函館港が75回、小樽港が33回だった。
函館港の75回は過去最高。小樽港も33回と多く、2014年の41回に次ぐ高水準だったが、それでも寄港回数では函館が小樽の2倍を超えていた。
函館ではJR函館駅に隣接する若松ふ頭を中心にクルーズ船を受け入れている。若松ふ頭には2022年に函館クルーズターミナルが完成し、函館駅や朝市、ベイエリアなど中心市街地へ徒歩で移動できる。
一方、大型船は港町ふ頭でも受け入れており、2026年10月には「MSCベリッシマ」や「スペクトラム・オブ・ザ・シーズ」などが同ふ頭を使用する予定となっている。
小樽港では、第3号ふ頭の整備により小樽運河など中心部への徒歩移動がしやすくなった。2026年の寄港計画も全便が第3号ふ頭を利用する予定だった。
こうした港湾施設の違いだけで寄港回数の差が生じたと断定することはできないが、両港とも中心市街地に近いふ頭を整備し、クルーズ需要の取り込みを進めている。
1回の寄港、函館で約4000万円の直接効果も
クルーズ船の寄港は、港の利用だけでなく市街地での消費にもつながる。
北海道開発局が2025年に特定のクルーズ船を対象に行ったアンケート調査では、1回の寄港による直接効果を函館港で約4,000万円、小樽港で約2,000万円と試算した。
乗客1人当たりの平均消費額は、調査対象となった函館港で日本人約1万円、外国人約1万9,000円、小樽港では外国人約1万1,000円だった。
ただし、船によって乗客数や入出港時間、滞在時間が異なるため、この金額に年間の寄港回数を単純に掛けて年間経済効果を算出することはできない。
台風だけではない、もともと開いていた寄港数
小樽の2026年シーズン終了を決めた直接の要因は、最後の寄港予定だった「バイキング・オリオン」の台風による寄港中止だった。
しかし、2026年の当初計画を見ると、小樽は年間19回、函館は10月だけで20回。台風による中止以前から、寄港数には大きな開きがあった。
クルーズ船1隻の寄港でも、市内交通、飲食、買い物、観光施設などへの波及が見込まれる。北海道を代表するクルーズ港で、今後どの程度の寄港数を確保し、乗客を市街地の消費へつなげられるかは、港湾政策だけでなく地域観光の課題となる。





