ゼネコンランキング/株価・8位日特建設
同社の株価は47円、実態を示しているのかチェックしてみる。同社は総合土木基礎工事大手。環境・防災・維持補修分野に強みを持つ。土木工事が同社施工高の95%を占め、官庁の投資予算に大きく左右される。
06年3月期721億円の売上高が2010年3月期には588億円まで落ちる予想。前期末の受注残は大きく下離れ、これまでの650億円強から422億円まで落ちた。それでも期中受注が良かったのか588億円の売上高を今3月期計上予想である。利益面は、営業利益率が2.4%(07/3)から2.6%(09/3)まで若干ながら増加している。
<「継続企業の前提に関する注記」問題解消>
08年1月に再生ファンドのフェニックス・キャピタル・パートナーズ・シックス投資事業組合および不動テトラを割当先とした普通株式40億円の発行ならびにフェニックス・キャピタル・パートナーズ・シックス投資事業組合を割当先とした優先株式20億円の発行を行い、計60億円調達している。これは08年3月中間期(07年9月)自己資本の減少から「継続企業の前提に関する注記」が付記されたことにより、その対策として増資、当注記事項を解消している。また、有利子負債は、07/3期202億円あったが前期73億円まで減少させた。増資のほか不動産の売却なども進め、総資産を減少させてきた。そうしたことにより自己資本及び同率は改善されてきているが、売上高の減少の歯止めがまだ見えてこない。
なお、フェニックス・キャピタル・パートナーズは、三菱自動車(現在は売却済)や東急建設の第3者割当増資を引き受けたことでも知られている。
連結/百万円 | 平成18年3月 | 平成19年3月 | 平成20年3月 | 平成21年3月 | 平成22年3月予 |
売上高 | 72,172 | 69,197 | 62,113 | 59,561 | 58,800 |
経常利益 | 1,057 | 1,175 | 316 | 1,359 | 1,410 |
当期純利益 | △6,248 | 864 | △4,643 | 1,454 | 1,280 |
純資産額 | 3,973 | 4,561 | 5,546 | 6,817 | |
総資産額 | 56,541 | 53,621 | 43,571 | 38,573 | |
自己資本率 | 7.0 | 8.5 | 12.7 | 17.7 | |
有利子負債 | 20,270 | 9,996 | 7,325 | ||
受注高 | 68,402 | 67,423 | 65,605 | 42,248 |
09/3月期主な受注残工事 | ||
日本下水道事業団 | 堺市堺浜関連公共下水道建設工事 | 平成21年7月 |
中日本高速道路㈱ | 東名阪自動車道相原工事 | 平成21年12月 |
ケミカルグラウト㈱ | (独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構倉敷基地プロパン貯槽工事 | 平成21年12月 |
横浜市 | 港北処理区新横浜駅前第二幹線下水道整備工事 | 平成22年3月 |
宮城県 | 小平トンネル本体工事 | 平成22年3月 |
たつの市 | 半田神部中央雨水幹線築造工事 | 平成22年3月 |
ケミカルグラウト㈱ | 東北地方整備局胆沢ダム本体基礎処理工事 | 平成22年9月 |
中日本高速道路㈱ | 第二東名高速道路鳳来工事 | 平成23年3月 |
<大株主の状況>
平成21年9月30日現在 | ||
氏名又は名称 | 所有株数/千株 | 割合(%) |
フェニックス・キャピタル・パートナーズ・シックス投資事業組合 | 50,000 | 34.32 |
㈱不動テトラ | 40,000 | 27.46 |
日特建設社員持株会 | 3,035 | 2.08 |
三井住友銀行 | 2,002 | 1.37 |
日本トラスティ・サービス信託銀行 | 2,002 | 1.37 |
三菱東京UFJ銀行 | 1,469 | 1.01 |
東京海上日動火災保険 | 1,391 | 0.96 |
日本証券金融 | 1,264 | 0.87 |
日特建設持株協力会 | 525 | 0.36 |
SBI証券 | 469 | 0.32 |
計 | 102,158 | 70.13 |
フェニックス・キャピタル・パートナーズの計40億円の株式が、第3者にそっくり譲渡されるのか、市場で売却されるのか不明である。増資した際株数が大量に増加しており、フェニックスCPの持株が市場で売却された場合、業績や財務内容が少し改善されたとしても頭は重たい。
[ 2010年3月26日 ]
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