アイコン 富士通⑪/保守派重鎮による「富士通クーデター」事件

週刊文春などによると、昨年9月野副前社長が、秋草相談役らから辞任に追い込められた原因となった付き合いのある灰色ファンドと人とは「サンドリンガム」であり、房広治氏であると報じている。房氏はUBS信託銀行代表取締役会長、CSFB証券投資銀行本部長などを歴任、04年に英国ロンドンでサンドリンガムキャピタルパートナーズを設立して、日本での投資事業を始めたとされる。

世界有数のUBSのM&Aの部門責任者を経験しており、その道の第一人者として知られようが、これまで房氏が関与した銘柄は、サイバーファーム(=上場廃止)、YOZAN(=上場廃止)、シルバー精工、ジャレコ・ホールディング(現EMCOMホールディングス)などとされる。こうして見ればボロ株ばかりである。
房氏が日本に帰り04年からビジネスしようにも、実績より、看板や人脈がなければなかなか大型のM&Aなどの依頼がこない日本の事情にも起因していよう。
 
1987
 ハンブロスバンク入行
 
1988
 Jヘンリーシュローダーアンドワグ入社
房 広治氏
1990
 SGウォーバーグ(現UBSM&Aマネージャー
1959年生
1996
 同社M&A及び株式資本市場部門責任者
 
1998
 UBS信託銀行代表取締役会長
 
2000
 クレディスイスファーストボストン証券 会社投資銀行本部長
 
2004
 サンドリンガムホールディングス及びサ ンドリンガムキャピタルパートナーズ取締役
 
2005
ハイパーリンクインベストメンツグループリミテッド取締役
 
2005
 ジャレコ取締役
      ジャレコ当時の役員名簿等による。
 
みずほ証券事件
ここでの問題事件は1円発注事件ではなく、収益金分配請求事件である。
みずほ証券は武富士の株売却に絡み5億円利益が出たとされる。武富士側にみずほ証券を引き合わせたのが房氏。利益は半々だったようで、事が終わってもみずほ証券から房氏側に何も支払われないことから、房氏側がみずほ証券を相手取り、2億50百万円の請求訴訟を起こしたものであった。房氏は武井氏からそれまでのファイナンス関係で信頼を受けていたとされる。大手証券会社にとっては、みずほ証券に対して訴訟に持ち込んだこと事態がリスキーな面があると捉える。実際のところは、みずほ証券が、行儀が悪かったのであろう。
それにニフティの買収計画を有していたC社も反社筋に関係していると富士通側は表明しているが、ダイアモンド社の取材で明らかなように、C社は、昨年3月以前に、買収資金が調達困難として当案件から撤退している。そのC社や仲介していたとされる房氏が反社の人間と付き合いがあるとして、その証明もせず、半年も過ぎた9月25日、役員会議の直前に保守権化の方々が参集して、社長を部屋に呼び付け缶詰にして、辞任要求を執拗に迫るとは、かなり無理があると思われる。
富士通の保守派の重鎮たちが、大手証券会社が作成した調査報告書に、そうした事実もありリスキーな部分があるように書かせるのは、朝飯前のことである。重鎮の意向に沿わなければ、幹事証券会社など吹き飛んでしまうのも現実。ヤラセか。
そうした、調査報告書に基づき、具体的な反社会の人間との付き合いも立証しないまま、辞任要求するとは、どうみても強引過ぎよう。
また、重鎮たちは、それほど野副氏の改革路線を嫌うなら、昨年9月25日の定例取締役会において、殆どデッチ上げられた理由に基づき、何故、他の役員に事前に根回しして、堂々と社長に対して辞任要求を突きつけなかったのだろうか。辞任要求を社長が断れば、解任もできたのであり、今回の事件は完全なる保守派重鎮によるクーデター事件としかいいようがない。富士通は歪な組織のようである。
 
[ 2010年3月15日 ]
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