近年、超高層建物を中心に、より空間の自由度が高く、長寿命な建築が可能となる「超高強度コンクリート」の採用が増大する傾向にある。
大成建設では、1997年、設計基準強度100N/mm2（Fc100）の高層マンションへの導入を皮切りに、数多くの高層建物に超高強度コンクリートを適用。現在までFc100以上の超高強度コンクリートの適用実績はすでに2万m3を大きく超え、近年ではFc150以上（最大Fc160）のコンクリートについても、2006年春の初適用から約1,500m3の実績に達している。これまで培ってきた技術をさらに発展させ、設計基準強度200N/mm2（Fc200）までの製造と供給を実現した。

現場打設による超高強度コンクリート施工の場合、
(1) 物件ごとの大臣認定材料としての指定、
(2) 建設現場ごとの供給プラントでの製造管理、
(3) 現場における非常に厳しい品質管理を行うこと、が適用の要件となる。
これに対し、弊社は自社で保有するプレキャストコンクリート製造工場（千葉PC工場）にて、生産技術証明を取得、Fc200までのコンクリートからプレキャスト部材まで、一貫した品質管理体制のもとで製造が可能。これにより現場での品質管理は現場打設の場合に比べ、格段に容易になる。
当該建物では、地下階柱の最も高軸力を受ける柱にFc200を採用することで柱断面を縮小し、空間の自由度を向上。また他の柱(Fc140採用)の断面寸法と均一にすることで、プレキャスト柱の鋼製型枠が兼用できるため、品質確保だけでなく建設資材の削減も可能となる。また、柱が細く、軽くなることにより、輸送や揚重にかかる負担も低減できる。

超高強度コンクリートは、少ない資材数量でより多くの重さを支えることができると共に、耐震性・耐久性にも富む材料であるため、良質なストック社会の形成に不可欠な長寿命建築にも寄与し、CO2やLCCO2の排出削減に大きな役割を果たす。今後、PC工場自社保有の優位性を発揮し、品質の安定した部材をより多く製造・供給することで、地球温暖化防止にも役立てていく。また、既に200N/mm2を超える250N/mm2級の超高強度コンクリートに関して実験室レベルの研究開発を完了、実プロジェクト適用を目指した実用化研究を進めている。今後、将来へ向けた300N/mm2級の超高強度コンクリートの開発にも着手し、更なるコンクリートの高強度化と、高耐久・長寿命なサステナブル建築の実現に向けて新たな可能性を拓いていくとしている。
※200N/mm2とは、1cm四方の範囲で2tの重さに耐えられる強度を示す。・・・サイコロ大のコンクリートに2tの普通自家用車を載せても壊れない強さ。