アイコン 【解説】(株)エフオーアイの株主の損害責任は 東京証券取引所にあり

(株)エフオーアイが5月21日負債総額約92億円で自己破産して破綻した。
東京証券取引所は、FOIを上場させた責任が、結果粉飾だろうが、審査を監査法人に一任しようがある。
同社は昨年11月、前代未聞 ? の粉飾決算による上場を果たした。みずほインベスターズ証券の宣伝もあり、高密度プラズマ制御技術による半導体製造前工程装置の開発会社として、注目のベンチャー企業の上場として持て囃された。
ところが、内部通報により証券等取引監視委員会が粉飾決算を知ることになり、5月12日粉飾の調査が始まった。その日からこん日まで社員は全員自宅待機に付され、事務所も閉鎖され、会社との連絡も外部からは遮断されたままとなっていた。

<経 過>
 11月20日、2009年3月期決算を基準決算として上場審査資料を提出、審査後11月20日東証マザーズに上場
5月12日、同社に粉飾決算による上場の容疑で証券等取引監視委員会が本社や公認会計士事務所に家宅捜査や調査敢行、会社は社員全員事態待機措置、会社事務所閉鎖。
5月16日、同社は粉飾を認めるリリースを発信、同日東証は同社株を監理銘柄指定
5月18日、東証は同社の上場を6月19日に廃止すると発表
5月21日、同社は自己破産申請、東京地裁申請を受理
 
<責 任>
今回の粉飾上場による株主損害(上場後取得した人)は、上場させた東京証券取引所にその責任があり、申請書類を監査した監査法人公認会計士桜友共同事務所蓮見公認会計士、  中川公認会計士にも当然責任がある。主幹事証券会社のみずほインベスターズ証券にも責任があろう。
<粉飾の売掛金明細>09年3月決算

相手先
金額(千円)
Rexchip Electronics Corp
4,455,000
Nanya Technology Corporation
3,910,000
Semiconductor Manufacturing International Corporation
3,170,983
Taiwan Semiconductor Manufacturing Company
2,940,000
Powerchip Semiconductor Corp.
2,319,600
その他
6,100,369
22,895,952

自己破産の作業により債権債務は明らかにされようが、本来自己破産は、犯罪の場合は認められない。そうした原理原則が裁判所により以前から完全に反故にされ、自己破産が逆に利用されているが、今回は実態を明らかにする自己破産しかなかろう。しかし、自己破産は、上場後に購入した株主に対しては、破綻の事実だけであり、購入代金の一円も返らず関係ない話でもある。
当方は、東京証券取引所に以前取材している。粉飾決算について「株主に対する責任があるのではないか」という取材に対して、東証側は調査中とのことで一切コメントしなかった。また「本社事務所と連絡が取れない状態が続いており、会社の実態が既にないのではないのか」との質問に対しても、「会社側担当者とは連絡が取れている」として認めようともしなかった。
 
<問われる刑事告発>
同社は、奥村代表や担当役員それに監査役もその業務遂行において責任がある。取引先に対する責任、株主に対する責任である。上場以前の株主は任意により損害が発生するものであり個別対応しかなかろうが、上場後に株を購入した株主に対しては、東証にその責任があり、粉飾をFOIが認めた段階で即刻刑事告発もすべきであった。18日に来月の6月19日に上場を廃止するとのんびりしたことを発表した。
一般株主を保護する立場が東証はあり、上場審査提出資料そのものが粉飾とは、杜撰でいい加減な東証の内情としか言いようがなく、一般株主の保護以前の問題である。こうした審査手続き上に問題が起因しており、東証は、上場後の株主に対して、その責任があり、全額を保証するのが当然である。
 
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[ 2010年5月22日 ]
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