【解説】千葉興業・日本ホーバスの破綻は「旭鉄工」破綻の連鎖
昨年4月30日負債総額約80億円で自己破産した旭鉄工㈱(福岡市博多区博多駅前2-1-1、代表:川島輝行)であるが、千葉興業・日本ホーバスに対して約9億円の焦げ付きを発生させていた。
旭鉄工は、各種水道管や継手類、緊急遮断弁、仕切り弁などの卸のほか、鋳鉄管の製造も手がけ、広島営業所、東京支店、大阪支店、仙台支店や宇美工場、ゆりが丘工場、中津工場など各地に事業展開、04年には中国山東省と上海市に事務所を設置して協力工場による製造も開始していた。
また関東地区強化のため、関東物流センターを開設、千葉興業および日本ホーバスとの取引も拡大していった。その結果、売上高は、08年4月期約78億円を計上するに至った。
しかし、こうした事業拡大には多額の資金を要し、借入依存体質は極度に高まっていた。そうしたなか中国や新興国の台頭及び不動産ミニバブルで原料価格が世界的に急騰、07
年7月サブプライムローン問題から、国内の建設業界は頼りの民間企業の建設投資も一挙に縮小へ向かい不況に突入、08年9月のリーマンショック後は、新築建物が激減、急激なる市場縮小に販売価格は抑えられ、逆ザヤ販売を強いられた結果、09年4月同社は資金繰りに行き詰まり破綻したものであった。
鉄鋼商社の千葉興業やその子会社で化成管製造の日本ホーバスは、関東での営業を強化していた旭鉄工との取引を拡大。千葉興業も成田空港の工事などへの納品を拡大させ、09年3月期の売上高は約88億89百万円に上っていた。
しかし、納品先の旭鉄工が09年4月破綻、約9億円の焦げ付きが発生、その後耐えてきたものの、建設不況で価格競争も厳しく、売上高の落ち込み重なり今回の事態に至ったものである。
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