アイコン 【大内田建設破綻解説】 大内田建設㈱の破綻① 

これまで
同社は、昭和27年3月創業、昭和57年7月に法人化された地場ゼネコンである。大手ゼネコンから丸請けして業績を向上させ、その後、集合住宅の建物を中心に北九州のデベロッパーから直受注も増加、その勢いで福岡へも進出して業績を伸ばしてきた。
最近では、地場デベロッパーにはなくてはならない存在でもあった。

決算期/千円
売上高
経常利益
2005年7月期
5,375,484
92,946
2006年7月期
6,576,411
210,088
2007年7月期
8,619,640
178,637
2008年7月期
10,800,000
28,000
2009年7月期
5,655,948
21,921
 
09/7月期
/千円
科目
/千円
流動資産
1,662,272
流動負債
1,133,317
固定資産
1,358,595
固定負債
1,438,492
 
 
自己資本
449,061
総資産
3,020,870
負債+純資産計
3,020,870
 
しかし、リーマンショックにより、急激な受注不振に陥り、売上高を半減させた。
 
<2つの危機>
1つ目は「エバーライフ直方駅前」の物件。同工事は08年秋竣工したが、その間杭打ちを失敗してやり直し工事が発生、約1億5000万円の損害が生じたと伝えられている。その工事を大内田建設から請け負っていたのが川口工務店。その川口工務店は、それが原因で昨年4月30億円の負債を抱え破綻している。大内田建設も当工事失敗で入金に支障をきたしたのか、08年10月になると支払条件を変更して、信用不安が囁かれ出した。
09年2月になると、「エバーライフ直方駅前」の物件の工事代金が、販売不振により、デベロッパーからの入金が遅れ、資金ショートの危機に陥ったとされる。そのため、デベロッパーから当物件の一部を工事代金として代物弁済を受け、それを担保に西日本シティ銀行から融資を受け危機を乗り切った。当時、専属下請けに近かった平和設備㈱も窮地に陥ったが大内田建設は支援するにも余力がなかった。
 2つ目の危機は、本年5月7日福岡県への経審届出書を虚偽報告したとして、福岡県警から建築基準法違反容疑で社長と副社長が逮捕された。
当事件により、下請けも浮き足立ち、信用低下でデベロッパーも発注を控えるのではと囁かれていた。当逮捕事件では、一部新聞社が暴力団とのつながりがあるかのようにも報道していた。
そうしたなか、鹿児島で建設した分譲マンション(竣工3月)の工事代金の受取手形が6月末到来、ところが、デベロッパーの販売不振から手形決済が危ぶまれていた。
 なお、虚偽報告の借入金未計上問題は、08年博多駅前1丁目に大手ゼネコンの紹介で(仕方なく)購入した10億円の物件が、サブプライムローン問題の進行から転売できず塩漬けになった。また山口銀行旧黒崎支店跡地の不動産を、ホテルを建てる目的で購入、しかしホテルを購入予定のファンドがキャンセルして逃げ出したことから、これまた塩漬けになっていた。両方とも借入金により賄われており、銀行の信用が大きく揺らぐ結果となった。その借入金が経審の決算書に計上されていないことが判明している。
 
同社の決算は、サブプライムローン問題が表面化する前の07年7月期までの経常利益は、売上高の増加に伴いそれなりに計上されていた。しかし08年期になると急激に経常利益が悪化した。09年期には工事失敗もあり、経常利益が08年期に続き悪化していた。
こうした内容の決算も粉飾決算であり、どこまで信用できるか定かではない。同社の決算報告書では09年7月期の総資産は30億20百万円である。ところが、今回の負債総額は約40億円とされている。昨年期末より現場や仕掛工事も減少している中、負債総額が増加しているのは粉飾していた証であろう。
[ 2010年6月30日 ]
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