アイコン 【大内田建設破綻解説】大内田建設㈱の破綻② 

地場ゼネコン
大内田建設の破綻は、地場デベロッパーに衝撃を与えている。今後工事を依頼しようと思っていたデベロッパーも残念がっている。
同社が、色々噂もありながらデベロッパーからの分譲マンションの工事受注が続けられてきたのは、受注価格が他社に比べ安いとされている点にある。それほど同社は大手ゼネコンの下請けを長い間してきて、こなれた価格帯での受注を可能としていた。

また、一方で、福岡市における地場ゼネコンの状況の変化にも原因があった。タタキ合いの分譲マンションの工事受注は、大きく九州建設、旭工務店、高松組が受注していた。しかし、九州建設は不良債権の発生で福岡銀行の指揮下に入り、受注を大幅に制御している。旭工務店も代表が官庁工事受注に伴い逮捕され、一頃の勢いをなくしている。最近の分譲マンションの工事受注は、メイン銀行の西日本シティ銀行のお墨付き物件に傾注している。高松組は周知の通り昨年6月破綻してしまった。以上の3社は分譲マンション工事の地場御三家といわれ、競争にもめげず、安い価格での受注を繰り返してきた。その結果1社が破綻、1社の財務内容は保たれているものの福岡銀行の管理下になり、選別受注を強化。残る旭工務店も西日本シティのお墨付き物件のほかは賃貸マンション工事に注力している。

第2グループとしては、吉川工務店や日建建設・さとうベネックなどがあるが、吉川工務店はディックスクロキの破綻から、大幅リストラしている。頼りの第一交通産業のマンション工事受注も第一交通自体の開発が少なくなっていることもあり限られている。日建建設は自社開発マンションの処分から無理をしない方針に切り替えている。大分のさとうベネックは、実質破綻後ファンド経営となり、営業力がジリ貧状態、売上高も半減以下(09/6月期売上高:128億62百万円)である。利益重視政策を取っていると思われ、デベロッパー案件を最近見たことがない。

いずれにしろ、地場ゼネコンが選別受注を強化している中、地場デベロッパーにとっては救いの女神のような存在であったのが大内田建設であった。

なお、大内田建設が第一交通産業から受注して工事していた到津の分譲マンション「グランドパレスプラウド到津」(竣工予定:2010年11月、116戸、北九州市小倉北区上到津2丁目43番1)は、第一交通からほかの現場を受注して3月竣工(80戸)させた北九州の地場ゼネコン福屋建設が引き継ぐ予定のようである。
 

[ 2010年6月30日 ]
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