アイコン 大和システムに見る金融機関の3月残と焦付額

大和システムにとってADR申請は何であったろうか。何故撤回したのであろうか?
 これまでに記載したように、同社の急激なる不動産開発を金融スポンサーとなり支援したのは、三井住友銀行と関西アーバン銀行であり、関西アーバンも三井住友銀行グループである。ADR申請ではすべての融資銀行の債権が凍結されるのではなかったろうか。その間に販売した不動産について、抵当権をつけていたのならば、その分の返済は仕方なかろうが、三井住友銀行は3月と債権額との差が86億92百万円もある。

3月の借入残は608億67百万円、6月の借入残は554億61百万円である。この間減ったのが54億06百万円。すべて三井住友銀行の担保設定していた分が販売され入金したのであろうか?
同社が事業再生実務家協会にADR申請したのは、6月1日である。三井住友銀行への86億92百万円の返済原資がどこから出たのか、他の金融機関や一般債権者に対してはっきりさせる必要があろう。
また、同社は7月に広島市から若草地区の再開発の補助金として44億02百万円入金している。この分がどこへ消えたのか、説明責任がある。
そこに浮上してくるのが広島銀行。広島銀行は3月末時点で26億14百万円の貸付残があった、しかし焦付額は0となっている。補助金の入金口座が広島銀行になっていたとすれば、貸付金と相殺した可能性もある。
事業再生実務家協会が、ADRを受理した以上は、金融機関の貸し剥がしを咎め、停止させる必要がある。現実がどうであったか、大和システムからの返答もなく不明であるが、他の銀行の殆どが、3月末の残高がそのまま焦付額になっているのに異様である。
三井住友銀行と広島銀行の際立った回収の動きがADRを撤回させたのかもしれない。 

その結果、商業施設を作ってもテナントがなかなか埋まらず困り果てていた同社の開発施設に、お願いされテナント入居した殆どの店舗や企業が、敷金を紙切れ同様にしてしまった。ADRならば、金融機関だけの問題であった。
事業再生実務家協会も、どうして大和システムが申請を取り下げたのか、一般債権者に対して説明責任もあろう。

<大和システムをバブル化させた張本人は「三井住友銀行銀行」>

連結/百万円
07/3
08/3
09/3
10/3
債権額
三井住友銀行
2,775
10,561
23,926
23,861
15,169
関西アーバン
1,500
3,370
5,135
6,067
6,067
三菱東京UFJ
2,350
4,550
4,720
4,125
4,125
横浜銀行
1,300
2,240
3,480
2,944
2,944
中央三井信託
900
2,940
3,180
3,129
3,129
みずほ銀行
1,075
1,765
2,680
1,654
1,654
広島銀行
 
 
2,614
2,614
0
りそな銀行
 
 
2,340
2,313
2,313
池田泉州銀行
1,987
2,357
2,240
2,206
2,206
住友信託
 
2,240
2,180
2,146
2,146
大分銀行
1,400
1,720
 
 
1,223
農林中央金庫
 
 
 
 
1,172
百十四銀行 
 
 
 
 
983
南都銀行 
 
 
 
 
983
近畿大阪銀行
 
 
 
 
983
京都銀行
 
 
 
 
983
あおぞら銀行
 
 
 
 
671
中国銀行 
 
 
 
 
491
その他
4,700
9,374
11,700
 
 
合 計
17,987
41,117
64,195
60,867
 

     関西アーバンは三井住友銀行系であり、担当段階の連携貸付と思われる。
[ 2010年10月 5日 ]
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