鉄鋼価格の推移と現状
中国景気で沸いた鉄鋼業界であったが、要因は在庫でぼろ儲けしたに過ぎなかった。しかし、国内のファンドバブルによる旺盛な建築需要に支えられ、引き続き儲けてきた。ところが、リーマンショックで建築需要が一変して閑古鳥が鳴き、そこに鉄鉱石の値上げが襲来、それに連れ石炭価格も上昇するという悪循環に陥っている。
世界一の粗鋼生産国である中国の粗鋼生産も年毎に増加を辿り、不動産バブルにもかかわらず、ある程度賄える状態になっている。品質レベルは日本等がプラント輸出した施設等を除き、まだレベルは低いとされているが、旧式の生産施設は中国における公害問題・煤煙・スモッグ問題もあり、政治主導で整理淘汰されてきている。
日本の鉄鋼の需給バランスは、建設需要が、住宅着工件数やオフィスビルの建設件数などに現れている通り、まだ回復には時間を要する。鉄鋼価格は、需給バランスが崩れた中でも原料価格のアップにより、それほど落ちていないのが現状である。
表は、東京製鐵における2007年1月~2010年11月間での月別価格推移である。指標として使用したのはH型鋼700×300であり、価格は、運送料や在庫加減で地区により、若干異なる。
なお、東京製鐵は電炉メーカーであり地金を溶かして製造、新日鐵のような鉄鉱石や石炭を原料にはしないが、価格は自ずと鉄鋼業界のおおよその価格となる。
今後については、中国バブルも不動産業界への融資規制や今後金利を上昇させることを既に決定したことすら抑制されてくる。そのため世界の需給バランスはもっと緩んでくるものと思われる一方、アメリカの緩やかな経済回復やインドやブラジルなど新興国の今日の経済成長は侮れず、今後一進一退を繰り返しながら、世界経済が欧州も含め回復してくれば緩やかな上昇局面に入ってくるものと思われる。
当然、鉄鋼価格の上昇を抑えるためには、相場のない鉄鉱石メジャーの値上げ要求圧力を製鉄メーカーが如何に押さえ込むかも必要となる。
連結/百万円 | 2008年3月期 | 2009年3月期 | 2010年3月期 | 11年3月期予 |
売上高 | 4,826,974 | 4,769,821 | 3,487,714 | 4,150,000 |
営業利益 | 545,580 | 342,930 | 32,005 | 210,000 |
経常利益 | 564,119 | 336,140 | 11,833 | 250,000 |
当期利益 | 354,989 | 155,077 | -11,529 | 130,000 |
総資産 | 5,193,498 | 4,870,680 | 5,002,378 | |
自己資本 | 1,908,778 | 1,668,683 | 1,844,382 | |
資本金 | 419,524 | 419,524 | 419,524 | |
有利子負債 | 1,192,016 | 1,444,208 | 1,374,611 | |
自己資本率 | 36.80% | 34.30% | 36.90% |
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