3D対応携帯2011年は15倍に TVは3倍/富士キメラ総研
調査会社の富士キメラ総研は6月24日、3D対応する携帯電話の国内出荷台数が、2011年には前年の約15倍の320万台に達するとの予測を発表した。3D対応テレビも約3倍に急増する。
携帯電話は、シャープなどが3D対応のスマートフォンの新機種を相次いで発売し、市場が急速に広がると見込まれる。2015年には3D対応の携帯電話が800万台になると予想した。
3D対応テレビは11年に約3倍の240万台となり、テレビ販売全体の17・5%のシェアを占めると予測。
当調査では、3Dディスプレイ(立体的映像を表現する表示デバイス)9方式、専用眼鏡など関連製品/グラフィックボード・チップなどデバイス7品目、3Dディスプレイを搭載した、または、3D表示に対応した機器18品目、映画やテレビ放送、パッケージソフトなどコンテンツ/サービス11品目の各市場について、現状を分析し今後を予測した。川上のデバイス、ディスプレイから、川下の最終製品、コンテンツ・サービスまで一貫して調査・分析し、3D関連市場の全体像を捉えている。
3Dディスプレイ市場
1. 眼鏡方式
2010年 | 2011年見込 | 2015年予測 | 15年/10年比 | |
数量 | 533万台 | 3,493万台 | 1億6,746万台 | 31.4倍 |
金額 | 2,062億円 | 1兆2,185億円 | 4兆1,024億円 | 19.9倍 |
また、2012年以降にRealD社とサムスン電子が共同開発しているアクティブリターダ方式を採用したテレビやPCモニターが上市され、方式間の競合が激化する見通しである。
2010年 | 2011年見込 | 2015年予測 | 15年/10年比 | |
数量 | 53万台 | 2,456万台 | 1億5,710万台 | 296.4倍 |
金額 | 38億円 | 618億円 | 3,499億円 | 92.1倍 |
スマートフォンを中心に携帯電話への搭載が増加していることに加えて、3Dの有力アプリケーションと期待されていた「ニンテンドー3DS」が発売されたことで、2011年の市場は急激な拡大が見込まれる。これに伴い、パララックスバリア方式の構成比が高まり、裸眼方式の98.3%(数量ベース)を占めると見込まれる。
パララックスバリア方式は2Dと3Dの切り替えが容易で、3Dでは解像度が半減するものの2Dでは維持されるため、2Dをメインとするモバイル機器を中心に採用が進む見通しである。2015年においてもパララックスバリア方式が裸眼方式の96.4%(数量ベース)を占めると予測される。将来的にはテレビやノートPC用途などの中大型ディスプレイでも採用が進み、2015年以降には3Dディスプレイ市場全体における眼鏡方式と裸眼方式の構成比(数量ベース)が逆転すると予測される。
2010年 | 2011年見込 | 2015年予測 | 15年/10年比 | |
数量 | 430万台 | 3,100万台 | 1億4,000万台 | 32.6倍 |
3D率 | 2.1% | 13.9% | 50.0% | - |
金額 | 9,200億円 | 4兆5,000億円 | 8兆2,000億円 | 8.9倍 |
2011年の市場は、3,100万台(3D率:13.9%)、4兆5,000億円と大幅な拡大が見込まれる。30インチクラスの中型サイズの製品化、液晶2倍速(120Hz)パネル採用によるローエンド製品の拡充、オプション対応製品の増加などで、3D非対応製品との価格差が縮小してきている。また、これまで3Dディスプレイの主流であったアクティブ眼鏡方式に加えパッシブ眼鏡方式など他方式の採用による競合や、パッケージソフトを中心とするコンテンツ/サービスの拡充も期待される。日本国内では地上波テレビ放送のデジタル完全移行(東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島の3県を除く)の買い替え需要やエコポイント制度の押し上げが消えてテレビ市場全体は大幅に縮小するものの、3D対応テレビはプラスが見込まれる。
30~40インチ以上では3Dが標準化されていくと考えられ、2015年には1億4,000万台(3D率:50.0%)、8兆2,000億円が予測される。裸眼方式の製品化も見られるが、価格面や画質面などで課題が多く、当面は眼鏡方式が続く見通しである。
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