アイコン 全国初の地域住民の地熱発電所建設へ/熊本・小国町 サポートは中央電力

小国町熊本県小国町西里の岳の湯「はげの湯」地区住民が、地熱発電を目的に合同会社「わいた会」(代表:江藤義民)を設立した、地熱発電事業に乗り出した。

わいた会は、地区住民26人が出資して2011年1月に設立。出資者から所有地(180平方メートル)を借り、近く地熱井戸の掘削を始める。最大出力は1千キロワット程度(一般家庭約300世帯分)を見込んでいる。
同社が発電事業者となり、プラント設置や運営は中央電力(東京都千代田区)に委託、九州電力に売電する。2013年稼働を目指している。

地域住民が事業主となる地熱発電所は全国初とされ、わいた会の江藤代表は「温泉の恵みを守りながら開発したい。東日本大震災以降、再生可能エネルギーへの注目が集まったことが、追い風になった」と話しているという。

同地区では、千葉県のガス関連会社と、神戸市の環境関連ベンチャーの2社も1千~2千キロワットの地熱発電を計画。「わいた会」は、両社が地熱井戸を掘る土地も地権者から借り受けて賃貸する。

再生可能エネルギーは7月から固定価格買い取り制度が始まる。出力1万5千キロワット未満の地熱発電の場合は1キロワット時当たり42円の見通し。

環境省によると、阿蘇くじゅう国立公園の普通地域で、掘削などの面積が200平方メートル以下であれば届け出は不要という。

九電は、大分県九重町八丁原に11万KWの大規模発電所を有しているが、熊本県と大分県の県境周辺は、阿蘇・九重の活火山帯にあり、黒川温泉・杖立温泉・筋湯温泉などあちこちに温泉が湧き出ている。そのため、地熱発電の有力候補地はいっぱいあるが、国立公園法などにより開発は限定され、環境面からも制約を受け、実現してこなかった。
福島原発水素爆発により、固定価格での買取制度もできることから、環境にもやさしい小規模地熱発電所も開発が実現できることになった。

日本は火山国であり、温泉地の数だけ、こうした小規模地熱発電所の候補地がある。長期運転中の水枯れなどの心配が少ない小規模地熱発電所の建設は、環境面や温泉街との兼ね合いからも理に適っていると思われる。

中央電力は、当事業をモデルケースに、全国のこうした地域に、地元経済のためにも、地域に利益が落ちる小規模発電所を数多く構築してもらいたいものである。


当地区は1983年、熊本県の要請を受けた電源開発が、地熱発電所建設を計画したが、一部地権者の反対で頓挫した経緯がある。開発あり気ではなく、環境との共存や地域密着型が必要であった。

小国町は各温泉地のほか、古くは北里柴三郎・今では俳優の勝野洋氏を輩出している。町にある小国ドームは、地元小国杉の角材5,602本を使用した木造立体トラス構法の建築物で1989年日本建築学会賞を受賞した建物。また、学びやの里「木塊館」も興味ある建物である。九州ツーリズム大学が開催されるなど、山里の町としては、ユニークな活動を行う町としても知られている。

[ 2012年6月15日 ]
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