アイコン 中国事情 外資系スーパー&ブランド品 急速にスローダウン

 欧州経済の沈滞は、中国にとって大きな痛手である。欧州各国への輸出はアメ リカへの輸出より大きく、その動向に左右される。(2011年の中国の輸出先は:欧州21.8%、アメリカ18.4%、香港14.1%、日本7.8%と なっている。香港経由の欧州もあり、欧州輸出は実質拡大する)
リーマン・ショック時には、輸出産業の景気回復を待つ間、莫大な公共投資を行った。 しかし、内需拡大は成功したものの、インフレやバブルを引き起こし、賃金上昇を招き、低コストの国際優位性も失われつつある。そうした対策に中国政府は、 金融引き締めを行った結果、内需も停滞して国民の失業や格差拡大問題など多発、外需は本格回復する前に最大の輸出市場である欧州が財政破綻で経済が頓挫、 行き場のない状況に陥っている。

そうしたなか、中国で大型スーパーマーケットを展開するフランス系のオーシャンは、12年上半期、中国本土に店舗を新設しなかった。オーシャンのほか、ウォルマート、カルフール、テスコも先ごろ、中国市場での経営戦略を見直すことを明らかにした。大潤発(RT-Mart)とオーシャンの2ブランドを展開するサン・アート・リテール・グループは、12年上半期(1~6月)、純利益が前年同期(11年上半期)比で75.13%増の13億7300万元だった。だが、12年上半期に中国本土に新設した10店舗はいずれも大潤発のチェーン店で、オーシャンの出店はゼロ。
これまでに、店舗拡充に力を入れていたウォルマートもそのペースを緩め始めた。ウォルマートは、これまでの店舗拡充は速すぎたとしている。テスコ(Tesco)とカルフールは、拡充ペースを緩めることを明らかにしていないが、買収される観測さえ流れている。中国市場でテスコとカルフールの地位はすでに弱まり始めている。

外資系小売大手が中国市場で店舗開設のペースを緩めているのは、新たな収益モデルを模索
する目的のほか、中国の経済情勢の変化に順応するための必要な措置でもある。

中国本土での外資系小売大手の優位性は次第に弱まっている。中国系小売大手が理念、技術と資金面で外資を追いかけている。外資は、何れも外国籍又は中国・香港、中国・台湾籍の店長や幹部らを配置し、彼らの給料は、中国本土企業の店長を遥かに超えているという。
従って、人件費高を背景に外資は、中国大手より大きな経営圧力に直面、外資系小売大手は、経営モデル及び収益モデルを見直せざるを得ない状態に陥っているとされる。

12年上半期、大多数のスーパーチェーンの純利益の伸び幅が下降したとされ、中国小売業の低迷が、外資系小売大手の店舗拡充ペースに影響している。
第一商業網によると、外資系企業が設立した店舗は、総合大型店舗が、圧倒的な比重を占めている。だがこれら店舗は、粗利益率の低下に伴い、次第に勢力を弱めているという。

富裕層の中国旅行者にとってユーロ安は、以前より少ない人民元で欲しいぜいたく品を購入できる。しかし海外での購入増加により、中国市場での販売の増加ペースが鈍るという問題も生じている。

<中国で高級ブランド品失速>
真珠宝石会社は、「過去1、2ヶ月の中国での売上高は5~10%減少したとしている。ぜいたく品ブランドの決算も同様の事実を裏付けている。Swatchの2012年中間決算では、腕時計と真珠宝石の上半期の売り上げは、前年同期から14.8%増加した。ただ、中国市場で高級腕時計の販売は低迷している。英バーバリーの第1四半期のアジア太平洋地域での売上高伸び率は、前年同期の67%から16%まで下落。また、プラダの中国の伸び率もやや下落している。中国最大の高級腕時計販売業者である亨得利控股有限公司は、高級腕時計の需要の伸び率がすでに1桁まで下落しているとしている。

<外資企業の動向>
8%を割り込んだ景気後退と賃金などのコストアップなどから低コストの優位性もなくなり、大手外資工場や外資店舗が、撤退やリストラを敢行しており、大きな失業問題も浮上してきている。
モトローラ、ノキア・シーメンス、パナソニック、AMD、シャープのリストラ、AMD、P&Gのリストラに至っては5700人の削減計画であり、アディダスは唯一の工場を閉鎖、シンガポール系のイーシン実業有限公司では工場の無期限停止通告で労働争議も生じている。
参照:新華社記事などにより構成
日本勢は大丈夫なのであろうか?


 

[ 2012年9月 3日 ]
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