アイコン 伊豆大島南方「大室ダシ」は新海底火山 熱水200度噴出中

1.概要
独立行政法人海洋研究開発機構の地球内部ダイナミクス領域の谷健一郎技術研究副主任らは、東京都伊豆大島南方の大室ダシにおいて、無人探査機ハイパードルフィンを使った集中的な火山地質調査を今年8月に実施した。
本調査により、大室ダシが活動的な流紋岩質海底火山であることを初めて確認するとともに、その中央部に位置する凹地(大室海穴)において、継続的に活動的な浅海海底熱水域を発見し、海底熱水活動に伴うチムニー等の熱水沈殿物の採取に成功した。

伊豆大島南方「大室ダシ」は新海底火山

今回の調査により、大室ダシにおける海底熱水域の存在を捉え、活動的な火山であることを確認したことは、浅海にある流紋岩質の大室ダシ火山の有する噴火リスクについての評価、及び浅海海底熱水域に伴う熱水沈殿物の有用性の評価等に繋がる、多面的要素を有する成果として注目される。

浅海にある流紋岩質海底火山は、マグマ水蒸気爆発によって爆発的な噴火を起こし、周辺海域や沿岸域に大きな災害を引き起こす可能性がある。
このため、今後更なる調査を通じて大室ダシ火山の過去の噴火履歴や火山の発達過程を解明することは災害リスクを評価する上で不可欠かつ重要な要素である。
この成果は10月14日から長野県御代田町で開催される日本火山学会2012年度秋季大会で発表された。

3.成果
大室ダシの火山地質構造と火山活動史の解明を目的に、2012年7月20日~8月4日の期間で海洋調査船「なつしま」による調査を実施した。
大室ダシの周辺海域は未だ詳細な海底地形図が存在しないため、マルチナロービーム海底地形調査とシングルチャンネル地震波構造探査を行って火山地形と表層地質構造を明らかにした。
また、同時に無人探査機ハイパードルフィンを用いた潜航調査を計10潜航実施し、大室ダシ一帯の集中的な地質観察・岩石試料採取・熱水探査・地殻熱流量測定を行った。
その結果、大室海穴を取り囲む壁は新鮮な流紋岩質溶岩・軽石のブロックが堆積しており、また海穴周辺の平頂部も同様の溶岩片・軽石で一面覆われていることが判明した。
これは、大室海穴を噴火中心として流紋岩質海底噴火が起こり、これらの火山砕屑物が周辺海域に飛散・堆積したと考えられる。
さらに、潜航調査の結果から、大室ダシ平頂部より深部の斜面は玄武岩質~流紋岩質の溶岩・貫入岩・火山砕屑物などの多様な火山噴出物から構成されていることが判明し、平頂部形成前の火山体は単一の火山ではなくマグマ組成や活動時期の異なる複数の火山の集合体であった可能性が高いことが明らかになった。
また、地震波構造探査から大室ダシ平頂部の下には大室海穴を中心として直径約8 kmの陥没地形が確認され、埋没したカルデラが存在する可能性も判明した。
特に、今回の潜航調査においては大室海穴の底部一帯において活発な海底熱水活動があることを確認した。熱水噴出孔付近で計測した熱水温度は、最高で194℃に達しており、水深200mにおける沸点に近い高温熱水活動であることを示している。
また、噴出孔周辺ではチムニーやマウンドなどの熱水性沈殿物が確認され、採取に成功した。
さらに、大室海穴の底部において計12地点の地殻熱流量測定を行い、2007年の測定時と同様に大室海穴底部一帯は広域的に非常に高い地殻熱流量を有していることがわかった。 
これは、大室ダシの深部に高温のマグマが存在する可能性が高いことを示している。
これら一連の調査結果は、今後、火山岩が噴出した年代の測定等の詳細な噴火履歴の解析が必要ではあるものの、大室ダシが深部マグマ活動を伴う流紋岩質の活火山であり、比較的最近、大室海穴で爆発的な噴火があったことを示している。これは、従来知られていなかった大室ダシ火山の過去の火山活動について、その一端を明らかにしただけではなく、ひいては伊豆諸島の火山におけるマグマ成因や浅海における海底火山の噴火メカニズムについて、新しい火山学的知見をもたらす可能性がある発見である。

4.今後の展望
大室ダシは200m等深線で囲まれる山体の大きさが直径約20kmあり、同じ伊豆諸島の八丈島に匹敵する規模の大きな火山である。
今回の潜航調査だけでは火山の詳細な地質構造解明や、災害リスク等を評価する上で重要な過去の噴火履歴の把握には十分ではなく、継続的な調査・観測等を通した科学的解明が不可欠である。
それらの成果を踏まえ、国民生活・経済社会活動に資するための、大室ダシ、ひいては海底火山に関するリスクを含めた、科学的根拠を有する情報発信のため、多角的・多面的観点からの研究・調査を進め、基盤・基礎となるデータの整備に努めていくとしている。
こうした一大火山帯や南海トラフ(地溝帯)など、東海大地震帯のど真ん中に浜岡原発がある。次回2015年4月の県議選は浜岡原発が踏みえになることが予想される。
 

[ 2012年10月15日 ]
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