アイコン ニトリの椅子で腰骨折⇒うつ病 最高裁門前払い 高額となった2審決確定

椅子の脚が折れてけがをし、うつ病になったとして、北九州市の女性が家具製造販売のニトリに対して、損害賠償を求めていた訴訟の上告審で、最高裁第1小法廷(白木勇裁判長)は2月28日付で、ニトリ側の上告を棄却する決定をした。
うつ病との因果関係を認め、約1580万円の賠償を命じた二審判決が確定した。
 一、二審判決によると、女性は2008年11月、ニトリが製造、販売した椅子に座り、当時1歳だった長男を膝に乗せようとした際、溶接の不具合で椅子の脚が折れ、床に転倒。腰を骨折、約4ヶ月後にうつ病を発症した。
 一審福岡地裁小倉支部は、健康が回復しないことなどへの不安からうつ病になったとして、ニトリに約960万円の支払いを命令。二審福岡高裁も因果関係を認めた上で、賠償を増額していた。

以前、家具製造卸会社に勤めていたとき、台湾から金属製のパイプ椅子を売ってくれと頼み込んできたことがある。会社は、デザインも良く、安く、熱心な台湾の女性社長でもあったため、仕入れることを決定した。
椅子は、痩せた人も座れば、太った人も座り、ある店舗で、当該のパイプ椅子の足が曲がり、大問題となった。仕入在庫品を不良品に、販売済みの所へは、代参品と入れ替えするなどテンヤワンヤであった。
椅子を調べてみると見てくれは大丈夫そうであるが、パイプ椅子の肉厚が考えられないほど薄かった。当然安いからだろうが、安全面を全く考慮されていなかった。

日本で開発する意匠がかった椅子は、耐久性・安全性から、工業試験場に検査を依頼する。そうして問題がなければ、生産工程に回すのだが、台湾製はそうした検査を受けているという先入観念が働いてしまう。
結局、台湾の会社へ金を返せと言ったが、肉厚のパイプを使用して造るから、何とかしてくれとのことで、肉厚のパイプ椅子を送って来た。当然、極うすのパイプ椅子は、送り返すもなく、金属回収業者に流通させないようお願いして処分した。
椅子は、簡単な作りのようであるが、木材も限定され、16%前後まで乾燥させた部材を使用する。生乾きの分は、ホゾ組みが乾燥した途端、痩せ、ガタガタとホゾが弛み、壊れることになる。

製造者責任が明確にされた時世であるが、結構海外品の安物はこうした安全性に掛けた家具が目立つ。
ニトリは、その殆どを東南アジアで製造しているが、日本と同様な品質管理では、造っている人たちの安全に対する考え方が違い、こうした問題がまた生ずる危険性もある。品質管理とチェック体制が十二分に必要だ。
今回の裁判では、ニトリの骨折保障は当然だが、なかなか難しいうつ病との因果関係を関係有りと裁いたのは画期的な裁判ともいえる。更にニトリが上告した2審判決では、慰謝料が大幅にアップされた。
裁判所は、それほど、メーカーや扱う販売会社に対して、安全性に留意するよう警告となった裁判であった。安かろう悪かろうでは商品価値はない。
ニトリも元々製造会社、それくらいわかっているだろう。

[ 2013年3月 5日 ]
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