アイコン ユニバーサルEは元国土安全保障省長官、ウィン側は元CIA長官

パチンコ機器のアルゼの親会社ユニバーサルエンターテイメント(以下、ユニ バーサル)は、ラスべガスのカジノ会社ウィン・リゾートを救済出資したにもかかわらず、業績が向上したことからか、ユニバーサル側を追い出しにかかり、出 資株(ウィン・リゾートの20%)を取り上げ、株の評価も一方的に格安に決定して10年先の手形で支払うという異常事態、すっかり犬猿の仲以上になってし まい、今では訴訟合戦となっている。

ユニバーサルの追い出しの根拠になったフリーレポートとは、ウィン・リゾート側が依頼した元FBI長官のルイスJフリー氏の手になる調査報告書であるが、ユニバーサル側は、当該の調査報告書について、その信憑性について調査を元国土安全保障省長官であったMichael Chertoff元判事に依頼した。

その結果、Chertoff元判事は「(フリーレポートは)信頼性ある調査であったことを示す基本的な痕跡に欠けている。」と指摘。また、Chertoff元判事は、フリー氏自身でさえも、自身の報告書を「弁論趣意書」のようなもの、すなわち中立的に事実を述べる客観的な文書ではなく、特定の見解を主張するための文書と述べたという。

<問題拡大>
出資株取り上げ問題から派生して、ウィン・リゾートのマカオのカジノに関わる巨額資金流出問題についてはユニバーサル側が提起、これに対し、ウィン・リゾート側は、ユニバーサルがフィリピンで開発中のカジノリゾートでは、規制高官に賄賂を渡したと問題提起し、次から次に情報をリークしている。

当問題は、早くからロイターが記事に取り上げ、朝日新聞も参戦して報道しているが、ユニバーサルは、ウィン側の主張に沿った内容で構成されており、一方的であるとして、訴訟を当該の2報道機関に対して起こしている。
ただ、フィリピンのカジノリゾートについては、同社関係者が資金を動かしたことだけは間違いなく、その関係者をユニバーサル側が、勝手に会社資金を持ち出したとして訴えているのも事実である。

ややこしくて、ユニバーサルがウィンがと狸がどっちかと判断できないが、ユニバーサル側は、Chertoff元判事のレビューに基づき、次の見解を発表している。
1、ウィン社の取締役会はわずか数日間のうちに、フリー報告書の内容に基づき行動し、岡田に報告書にある主張に反論する機会を与えることなくアルゼUSA が保有するウィン社の株式20%を償却した。よって、フリー報告書はその作成のタイミング、そして作成の背景事情により汚されたものである。
2、フリー報告書にある事実の認定及び推定は、客観性そして事実的根拠を欠いている。
3、フリー報告書は、「利害関係人である証人の信頼性に欠ける証言及び信じがたい推論に基づいている」
4、フリー報告書における法的分析は「見せかけで扇動的」である。
5、フリーの調査プロセスは十分に書面で記録されておらず、複数の部分が欠落していることが判明した。
6、報告書のタイミングは、ウィン・リゾーツがはっきりとした目的のために調査報告書の作成を依頼したことを示唆している。はっきりとした目的とは、岡田を取締役会から追放し、彼らが保有する同社株式の約20 パーセントの株式を大幅に割り引いた価格で償却することを正当化することである。
7、重大かつ広範な結論を、不十分かつ信頼性のない裏付け証拠及び不完全な調査分析結果と一貫して組み合わせている点。
これには、該当する出来事について意義ある評価を行うための十分な詳細情報がないにもかかわらずFCPA違反を犯す「慣行とパターン」があると広範に主張していることが含まれる。
(FCPAとは、連邦海外腐敗行為防止法でカジノ業者が海外で不正=違反をしたら米国カジノ免許の剥奪に至る)
8、不完全な法的分析により法的な結論を導き出している点。これには、フィリピンの法令に対する不実な、そして刑事事件となりうる違反があったことを主張していながらも、ウィン・リゾーツ社が現地の法律事務所に依頼した法的分析における重要な分析結果を無視しているということが含まれる。
9、調査のプロセスについて意味ある説明を行っておらず、出所が疑わしい文書または信頼性のない文書を引用し、偏見を持っている可能性のある人物の証言内容に依拠している点。
などを挙げている。

報道機関との戦いについては、
 当社の資金支出については、当初は、「フィリピンのカジノのプロヴィジョナルライセンス取得のための贈賄」であるなどと断定していたが、フィリピン政府の調査において「プロヴィジョナルライセンスは、2008年に取得されているので、2010年の資金支出は、プロヴィジョナルライセンス取得とは全く関係ない」との結論が公表され、当該報道が誤報であることが判明した。
そして、上記誤報が明らかになった為、今度は、「PEZA等の優遇措置を受けることが資金支出の理由」などと別の事象が報道され始めた。しかしながら、「PEZA等の優遇措置は、指定された地域に進出した企業一般に等しく適用されるべきもので、特定の企業のみに認められる裁量制のある制度では無い」という単純な事実が明らかになっているとユニバーサル側は主張している。
(PEZAとは、フィリピンの経済特区のこと。)

元国土安全保障省長官の元判事だけあって、理路整然としたレビューのようだ。裁判所で戦うにはそれなりの確たる証拠がなければ勝ち目はない。

ロイターは3月17日、FBIがユニバーサルのフィリピンカジノリゾートの土地取得および開発許可に関し25百万ドルが支払われており、その賄賂性について捜査を開始したと報道している。(ユニバーサル側も開発許可が無償であることを知らないまま、(元)社員が開発許可費用として15百万ドルを勝手に送金したとして社員3名を訴えており(裁判中)、規制担当高官の側近に対して送金したことを認めている)

米司法省は4月8日、ウィンとユニバーサルの暴露合戦の内容で動き、連邦海外腐敗行為防止法違反容疑で捜査を開始した。両者で訴訟が行われているネバダ州の裁判所に対して、連邦海外腐敗行為防止法違反容疑での捜査に支障をきたすことから、裁判を一部停止するよう求めたと報道されている。
これは、ユニバーサル側を調べているのか(規制担当高官の側近に4千万ドル流出とロイター報道、フィリピン当局は、認可は2008年、お金が動いたとされる時期は2010年で賄賂性を否定)、それともユニバーサルが主張するウィン側のマカオ大学に対する巨額寄付の内容について調べようとしているのか?

最終的には、アメリカでも、日本でもイロイロな裁判が進捗しており、結果は裁判長の判断になると思われるが、その判断には証拠且つ客観的な証拠能力が求められよう。

こうした矢面に立たされているはずのユニバーサルの岡田会長が全額出資するアルゼ・ゲーミング・アメリカは、カルフォルニア州賭博管理委員会(CGCC)から、ゲーミング・リソース・サブライ・ライセンスを4月17日取得している。

報道でもフィリピンのカジノ規制担当高官の側近に対する支払額は、40百万ドルなのか、25百万ドルなのか、15百万ドルなのか、確定させておらずさっぱりわからんわからん。

FBIも米司法当局も両社には、元CIA長官と元国土安全保障省長官の元判事という大物が控えており、さぞやりぬくいことであろう。

[ 2013年4月23日 ]
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