アイコン トヨタの中国戦略と環境問題 江蘇省常熟の研究センター竣工

中国の省エネ・新エネルギー自動車産業発展計画は、自動車の燃費を今後7年で合わせて30%以上引き下げることを求めており、自動車メーカーに大きな試練をもたらしている。
自動車メーカーが平均燃費をすばやく引き下げる最良の選択とも言えるのがハイブリッドカー。国家レベルの計画を白紙にしないためにも、この道を真剣に検討する必要があると「国際商報」
が伝えていると人民日報が伝えている。(1元は16.38円)

11月14日、トヨタ自動車研究開発センター有限公司(TMEC)の竣工式が江蘇省常熟で行われた。
この1週間前には、新エネルギー電池メーカーの湖南科力遠(2011年2月、アホなパナソニックが、子会社のエナジー社の湘南工場の車載用ニッケル水素電池事業を譲渡していた)が、4.5億元を投じた長沙工場が正式に操業開始となった。
この工場は、ハイブリッドカーの核心部品となるニッケル・水素電池の技術を自社で掌握する中国初の工場となる。

政策レベルの支援は、まだ言葉だけにとどまっているものの、国内外の企業はハイブリッドカーへの投資をさかんに進めている。中国についてもハイブリッドカーについに春が到来したということなのだろうか。

ハイブリッドで遅れを取る自動車大国
 燃費を30%から50%下げることのできるハイブリッドカーはこれまで数年にわたり、世界各国のエネルギー戦略に展望を与える選択肢として、欧州や米国、日本などによって、従来型の自動車と電気自動車(EV)とをつなぐ製品と考えられてきた。電気自動車の技術と市場とがまだ発達していない現在、ハイブリッドは、省エネ・環境保護を実現するために不可避の選択とされている。

 米国や日本、欧州などの主要自動車生産国の政府はいずれも、産業発展の初期段階から、自動車購入税や消費税、燃油税の減免などを含むさまざまな方式で、ハイブリッドカーへの大きな支持を与えてきた。

 一方、中国は、世界最大の自動車生産販売国でありながら、ハイブリッドカーの売り上げはほかの主要な自動車市場をはるかに下回っている。

<コロコロ変わるエコ車補助金行政>
中国ではハイブリッドカーにこれまで、「省エネ車」として1台につき3千元の補助が政府から出ていた。
プラグインハイブリッドカーへの補助は最高で1台5万元にのぼった。だが、今年9月17日、財政部(財政省)と科技部(科学技術省)、工業・情報化部(工業・情報化省)、発展改革委員会の4部門は、「新エネルギー自動車の応用普及活動の継続展開に関する通知」を共同発表し、プラグインハイブリッドカーの補助金を3万5千元に減らし、ハイブリッドカーの3千元の補助金はゼロとなった。
だが一方で、ハイブリッドカーに有利な要素もある。
 国務院が、昨年6月に発表した「省エネ・新エネルギー自動車産業発展計画(2012-2020年)」では、「完全電動」を新エネルギー自動車の主要な戦略的方向としながらも、プラグイン式でないハイブリッドカーの技術路線も推進していくことが示された。

同時に、乗用車の平均燃費を2015年までに100km当たり6.9L(14.5k)、2020年までに100km当たり5.0L(20.0k)とする厳しい目標も掲げられた。今年3月、工業・情報化部などの5部門はこれに合わせた「乗用車企業平均燃料消費量計算方法」を制定し、政策をまた一歩前進させた。

<トヨタのハイブリッド、中国へ>
 トヨタを筆頭とする自動車メーカーによって進められているハイブリッド技術は、長年にわたって市場における成長を遂げてきた。トヨタのハイブリッド技術はすでに第3世代に入り、世界トップに立っており、ハイブリッドカーの累計販売台数はすでに570万台を突破している。

トヨタが中国に根を下ろし、「中国豊田」の存在を打ち立てていくためには、ハイブリッド技術の中国市場での推進が一つの道となる。とりわけハイブリッド動力の核心部品の国産化を実現し、コストを引き下げることがカギとなる。

 トヨタが、中国に設立したトヨタ自動車研究開発センター(中国)有限公司(TMEC)は、正規のテストコースと研究設備を備えた総合的な自動車研究開発基地である。
トヨタにとっては、世界的な重要性を持つ最先端キー技術の開発基地となり、世界にまたがる研究開発体系の中でも最大規模の開発センターとなる。
同社の主要業務には、省エネ・新エネルギー車の部品の現地開発、中国市場に適した自動車とエンジンの開発、これらの業務を首尾よく展開するための現地人材の育成が含まれる。

事情に詳しい業界関係者によると、トヨタは、中国で、まずハイブリッドシステムの現地化を実現することによって、技術のリードと成熟とを土台にさらなるコスト優位を獲得し、政府の支援なしでも高い市場競争力を持つ国産ハイブリッドカーを作り出し、市場の競争に適応していく計画だ。またハイブリッドカー販売台数の増加も、(中)国産トヨタ車の平均燃費を大きく引き下げることとなる。
豊田章男社長は、2011年のTMECの建設起工式で、中国語を用いて「中国が最も重要である」と語った。さらにTMECの業務を2013年に始め、ハイブリッドカーなどの「環境保護技術の中国における現地化発展」を推進する計画であることを発表した。24ヶ月の努力を経て、TMECのメインビルや新エネルギー実験棟、実験棟、試験車両用コースなどの主要な施設は予定通り竣工し、ハイブリッド技術の現地開発や新型エンジン研究開発の構想は着実に進展している。

TMECは、ハイブリッド技術を代表とするトヨタの最新技術を導入すると同時に、研究開発事業も手がける。このことは、トヨタ本社が合資企業への技術支援を中国の現場へと戦略的に移したことを示す。
TMECの竣工により、ハイブリッド核心部品の現地開発はさらに順調となり、ハイブリッドシステムの主要な構成部品である電池やインバータ、トランスアクスルなどの現地化生産もまもなく可能となる。
トヨタは今後、TMECという開発基地を十分に利用し、ハイブリッド技術の現地開発を積極的に推進し、「2015年頃までに(中)国産ハイブリッド動力を搭載した車種を、一汽豊田と広汽豊田で国産化する」という目標を実現していく構えだ。
以上、人民日報報道
意外と的を得ている内容だ。

当然、中国では、大気汚染問題がある。劣悪なガソリン問題、煙ボウボウのトラックや旧型車の問題もあるが、工場からの煤煙問題が一番深刻だろう。
国民が環境問題を赤裸々に提示すれば、非国民として投獄される国であり、選挙も当然なく、中国共産党の考え方一つで環境行政は同にでもなるが、まだ白黒の化け猫に騙されており、汚職問題など問題は山積するばかりで、口先ばかりで一向に環境行政は動かない。
年販売台数2000万台の自動車の場合は、外資系が一定量の車両を生産・販売しており、国の強制命令は、しがらみもなく、外資系が中国で商売するからには守らなければならず、手っ取り早い環境行政ということになるだろう。
ほかの環境行政は、地方政府・官僚の汚職と関係しており、口先だけで、なかなか現実は手をつけられないのが実情のようだ。
(エコ補助金の短期間の打ち切りは、現実はほとんどが日本車が対象となるため、打ち切られたと思われる)
 

[ 2013年11月19日 ]
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