アイコン 住友重機械工業/京都市から184億円の損害請求訴訟受ける 問題の焼却炉

焼却灰溶融施設
煙が上がらないまま訴訟沙汰になった京都市伏見区の焼却灰溶融施設
住友重機械工業は14日、京都市が京都地方裁判所において、2014年3月20付で提起した当社に対する訴訟について、本日、訴状を受領したと発表した。

1.訴訟が提起された日 :2014年3月20日

2.訴訟の原因及び提起されるに至った経緯 (住友重機械工業の見解)
(1)住友重機械と京都市は、2005年3月18日、「京都市焼却灰溶融施設(仮)建設工事 ただし,プラント設備工事」に係る工事請負契約を締結した。

(2)2010年4月試運転中に、地下水槽の構造上の欠陥から、未処理の排水が設備内の放流槽に混入し、その排水から基準値を上回るダイオキシン類が検出された。
住友重機械は、直ちに特別対策チームを設置し、原因究明及び抜本的な対策を講じた結果、2011年6月、問題が解決したことを京都市との間で確認・合意した。

(3)その後、いくつかの不具合が発生したことから、2011年12月から全社を挙げて総点検を開始した。

(4)総点検に基づき、様々な視点から改善策を検討し、約半年間にわたるメーカーテストや研究所での繰り返し試験を行い、この改善策の内容について、京都市の了解を得た。

(5)2012年7月、本改善策の実施により工事の引き渡し期限を2013年8月末日とすることを京都市と合意した。

(6)各工程ごとの運転調整及び各種試験を経て2013年6月、一次試運転を完了し、これに伴う一次性能確認試験にも合格した。
これにより、設備の性能を満足していることと併せて安定性と安全性が確認された。

(7)同月続いて、二次試運転を開始したところ、溶融炉内のスラグと未溶融物を分離する分離部に未溶融残渣(ダスト)が堆積する現象が発生した。

(8)住友重機械は京都市に対して、すみやかに原因分析と対策案を提示し、対策案の実施及び試運転の再開を求めたが、京都市は技術系職員と有識者から構成される「性能評価会議」において、対策案の有効性が確認できないとし、対策案の実施及び試運転の再開を認めなかった。

(9)京都市が対策案の実施及び試運転の再開を承認しないまま2013年8月に入ったところ、京都市は、期限までの引き渡しの見込みがなくなったとして、同月5日付で本件契約を解除した(二次試運転は1ヶ月間の連続運転が必要なため、同月1日までに試運転を再開できなければ必然的に同月末日の引き渡し期限に間に合わなくなる。)。

(10)しかしながら、住友重機械と京都市との本件契約には、「性能評価会議」による有効性の確認を必要とする、との約定は存在していない。
もちろん、発注者である京都市が、住友重機械の契約履行について随時意見を述べること、また住友重機械が提示した対策案を検討するため京都市が「性能評価会議」を開催して検討することは自由であり、かつ、また請負人である住友重機械としても京都市の意向を可能な限り尊重してきたが、京都市の事情による「性能評価会議」のために要した期間分については、引き渡し期限が延長されるべきものである。

(11)また、住友重機械としては、住友重機械が提示した対策案は、簡明かつ容易に実施が可能なものであり、この対策案を実施していれば、期限までの引き渡しは可能であったと確信している。

(12)住友重機械は、本件契約に関して、住友重機械と京都市の間に紛争が生じた場合には、建設業法による建設工事紛争審査会のあっ旋又は調停によりその解決を図る、との本件契約の約定に従い、2013年12月26日、中央建設工事紛争審査会に調停を申し立てた。
しかしながら、京都市は、住友重機械が調停における請求を放棄し、京都市の損害賠償等の請求に住友重機械が応じない限り、調停による解決は不可能であるという立場に固執し、調停による解決の姿勢を全く見せないまま、今般の訴訟提起に至った。

訴訟内容
(1)訴えの概要
京都市は、住友重機械による引き渡し期限までの本件灰溶融施設の引き渡しが不可能であるとして、本件契約を解除し、住友重機械に対して
1、本件灰溶融施設の解体撤去(1、が認められない場合につき、本件灰溶融施設の解体撤去費用の支払)、
2、本件灰溶融施設を整備するに当たり京都市が出損した経費に係る賠償金の支払及び
3、本件契約に基づき京都市が、住友重機械に支払った工事請負代金の返還並びに訴訟費用の負担を求めている。

(2)訴訟の損害賠償請求額 : 184億5,432万4,573円

これまでの報道による経過
当初計画では2010年5月末までに引き渡す予定だった。ところが、2010年の設備完成後に試運転を行うと、溶融炉内のレンガ損傷や灰詰まり、排水から基準値を大幅に上回るダイオキシン類が確認されるなどの問題が続出。住友重機はトラブル対策に追われ、期限を大幅に過ぎても、引き渡し時期のメドすら立たない状況が続いた。 
住友重機側は2012年7月、当時の中村吉伸社長名で「2013年8月末日を引き渡し期限とし、そのメドが立たない場合には市に一切の負担をかけないよう真摯に対処する」とする確約書を提出。その直後、市側は「再び期限が守れない時には、市が施設に要したすべての費用に相当する金額を請求し、かつ、設備の撤去を求める」とする厳命書を送付していた。
そして、その期限が目前に迫った昨年(2013年)6月、住友重機は引き渡し前の品質確認として義務づけられている30日間の連続試運転を開始。
ところが、2週間目にまたしてもトラブルが発生し、試運転は中断を余儀なくされた。住友重機は試運転を再開するため、急いで対策案をまとめたが、市側は「効果が確認できない」として却下。その後2回に渡って提出した対策案も市側はOKを出さなかった。

大方の勘ぐりは、住友重機械は溶融灰焼却炉施設での実績は、田舎の小型炉でしかなく、京都市のような大型炉の受注は、技術的にも無理をしたのではないかと囁かれている。 


 

[ 2014年4月15日 ]
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