アイコン 韓国造船4位のSTX造船海洋/会社更生法申請 金融債務だけで5400億円

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韓国4位の造船会社・STX造船海洋が5月27日、ソウル中央地裁に法定管理(会社更生法適用に相当)を申請した。
STX造船は、金融債務だけでも4兆ウォン以上の借入金と1兆ウォン以上の前受金払い戻し保証(RG)を合わせて合計6兆ウォン(約5400億円/現在価0.9円)あるという。債権団の出資比率は産業銀行(48%)、韓国輸出入銀行(21%)、NH農協銀行(18%)。

今後、STX造船の経営再建の可能性を裁判所が見極めて法定管理に入るか、それとも清算手続きを踏むかを決定する。
法定管理に入ると、裁判所は債務調整を通じてSTX造船が返済できる額に債務を減らし、再建計画案を履行しているかどうか監視しながら経営を管理する。
STX造船は、現時点で受注している船舶を正常に建造して引き渡し金を受け取っても、なお7000億~1兆2000億ウォン(650~1100億円)程度の資金がショートするという。昨年末からは新規受注がまったくなく、不足資金の規模はさらに増える可能性が高く、海外の船主会社が過去に発注した船舶建造を取り消したり(韓国では実際違約金を支払い、かなり生じている)、損害賠償請求および仮差押さえの申請などに踏み切れば、追加損失も憂慮されるという。
こうしたことから、金融関係者の間では、「現在のような受注激減の状況では、清算手続きを踏む可能性もある」という見方が出ている。

STX造船海洋は2015年3月、中国子会社の「STX大連」を負債額200億人民元(約3362億円/現在価16.81円)抱え破産させていた。

STX造船海洋はこれまで、金融債権団に対して、2016年末までに従業員30%を削減する強度の構造調整案を提出していた。しかし、メイン銀行の産業銀行は新規融資については、固定費の50%カットを条件としていた。STX造船海洋としては、これまでにもリストラを敢行してきており、労働組合の反対もあり、30%カットが限度だったのだろう。

倒産原因は、韓国の造船業界が日本勢を破り世界に君臨し続け、リーマン・ショック後の船会社からの発注減時に、韓国勢同士で受注競 争を繰り広げ、また、経験もない海洋プラントの構造物などの受注にも奔走、その結果、完成時期となる一昨年期と前期に、ビッグ3はじめSTXなどは、大損 を露呈して、今や金融機関の支援なしには会社存続も怪しくなるほど経営を疲弊させている。 そうしたことから金融機関により受注案件の採算監視強化、発注 元の船会社の発注も原油安、米国除く世界的な不況を受け大幅に減少している中、受注さえも殆ど取れていない状況が続いている。(受注競争は韓国勢同士か ら、リーマン・ショック後には中国の造船業界の台頭から、売上高を維持するため、中国勢とも熾烈な競争し、採算性を悪化させた原因がある)
26日には、中小造船会社のSPP造船も売却交渉が事実上決裂、船舶の新規受注が見込めない中、城東造船、SPP造船、大鮮造船などの中小造船3社までもが破綻を避けられないとの見方が出ている。

韓国の造船業は、構造改革だけでもよくなる可能性は少ない。
韓国の海運会社も海運不況で青息吐息、安値攻勢の受注に走っており、新規造船を発注できる状況にはない。また、発注規模も小さい。
海 外の船舶発注は、今や中国・日本・韓国の3ヶ国で熾烈な受注競争を展開している。構造改革もしないまま、生産施設超過剰状態の鉄鋼業界を抱える中国の造船 業界は、国のご加護もあり、受注競争には安値をいとわず受注に走りまくっている。それでもこの間、かなりの造船業者が実質破綻し、閉鎖されている。

参照のこと:以前の「韓国の造船業界の現状」の記事
http://n-seikei.jp/2015/11/stx.html

[ 2016年5月30日 ]
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