アイコン 米国の輸入洗濯機に対するセーフガードの詳細 サムスンとLG米国生産へ

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米国の国際貿易委員会(ITC)により輸入洗濯機に対してセーフガード(緊急輸入制限措置)を発動することが決定した。米白物家電大手のワールプールが要請したもの。

サムスン電子とLG電子は、「最悪の事態は免れた」と評価しながらも、今後の販売量に影響を及ぼすことを懸念した。

ITCは21日(現地時間)、米国に輸入される大型洗濯機のうち、120万台を超える物量については3年間、最大で50%の関税を課す低率関税割当(TRQ)の勧告案を発表した。
TRQとは、一定量に対しては低い関税を課し、これを超える物量に対しては高い関税を課す輸入制限措置である。
今回の勧告案には、初年度は50%、2年目は45%、3年目は40%の関税を課す内容が盛り込まれている。
 (ただ、120万台以下についての関税率はトランプ大統領に一任された)

この措置は、韓国メーカーのみを対象にしたものではない。米国に輸入されるすべての大型洗濯機が対象である。
(以前、米国が洗濯機のセーフガードを韓国製に絞り発令したため、韓国勢は東南アジアの工場からの米国への輸出に転換、セーフガードの効力を失しさせた経緯がある)

しかし、米国向け洗濯機を数十万台規模で輸出している企業は、事実上、サムスンとLGだけ。
両社が米国に輸出する洗濯機の物量は年間250万台程度で、そのほとんどをタイとベトナムで生産している。LG電子は、輸出量の20%程度を昌原で生産するが、この物量は、米韓自由貿易協定(FTA)に基づいて、今回の措置から外される。

したがって、来年2月頃に最終決定が出れば、両社の輸出物量のうち、サムスンの72万台とLGの36万台が来年から関税が適用されるものとみられる。

セーフガードを要求した米ワールプールは、当初、輸入量全体に50%の関税を課すよう要請し、サムスンとLGは145万台の超過分に対して50%を課すのが適正だと主張していた。
ITCは、両方の要求を折衷したものと見られる。
折衷案が選択されたものの、既存の関税が1%台だっただけに、サムスンとLGはセーフガードにより、製品価格を値上げせざるを得ないと思われる。

米大型家庭用洗濯機市場のメーカー別シェアは、ワールプールが38%、サムスンが16%、LGが13%の順となっている。(大型洗濯機ではサムスンが首位)
クォーターで決めた120万台以内の物量と部品に対する措置の問題。
クォーター内の物量には、関税20%を課すべきだと主張する委員2人と、課すべきではないと主張する委員2人に分かれ、最終選択は、ドナルド・トランプ大統領に任されることになった。
この決定により、120万台以内の物量にも、最大で20%の関税が課されかねない。洗濯桶とキャビネットなどの部品も、5万台を超える物量については、3年間で50~40%の関税が順次課せられる。事実上すべての部品に関税が課せられることになった。

<サムスンとLG、米国で洗濯機製造工場進出へ>
サムスンとLGは、被害を最小限に抑えるため、米洗濯機工場の稼動時期を最大限繰り上げることを決定した。
LGは2019年初めに予定されていたテネシー州の洗濯機工場の稼動時期を、来年下半期に繰り上げる計画。
サムスンは、建設中のサウスカロライナ州の洗濯機工場で、来年第1四半期(1~3月)中に生産を開始する予定。
両社は部品メーカーを米国に進出させる案も検討している。

トランプ大統領が最終案に署名するまで、クォーター内物量に対してまで20%の関税が適用される状況をできるだけ回避する方針。

韓国当局は、米国が、セーフガードの実施を強行すれば、世界貿易機関(WTO)の協定違反などについて分析し、提訴することも検討する。
トランプ大統領は来月4日、ITC勧告案の報告を受け、その後60日以内に最終案を決定するか、拒否権を行使しなければならない。
 

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[ 2017年11月24日 ]

 

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