アイコン 自動車5社/震災直下の第一四半期に見る震災の影響度

東日本大震災によりルネサスエレクトロニクスなどサプライヤーチェーンの被災により、自動車産業に与えた影響は、国内自動車メーカーのみならず、世界の自動車産業に大きな衝撃とダメージを与えた。一方、市場は新興国の台頭などにより、国内メーカーは昨年より大きく売上高を伸ばすチャンスであったが、伸ばすどころか現状維持が精一杯の様相となっている。
国内の主要自動車メーカーの影響度を、3月期第一四半期の決算報告により検証してみる。

<売上高>
生産車不足から売上高で一番影響を受けているのがトヨタ自動車である。トヨタは前年同期比29.4%とほぼ3割のダウンとなった。次に影響を受けているのがマツダ、同社もトヨタ同様29.4%の落ち込みを見せ、ホンダも27.4%の落ち込みとなっている。
ところが、カーエレクトロニクス部品の別ルート調達により影響を最小限に喰い止めた三菱と日産に至っては、三菱が7.0%売上高を増加させ、日産も1.6%増加させている。

<営業利益>
 売上高同様に営業利益にも当然ながら明暗が分かれている。トヨタの場合、生産車のタマ不足から生じた損失は▲1,079億63百万円に達する。規模が大きいだけにその影響は計り知れないものとなった。マツダも▲230億86百万円と厳しい結果となっている。それでもホンダは、大きな売上高の落ち込みの割には、前年同期比2,118億64百万円の減収ながら225億79百万円の黒字を計上している。
売上高が落ち込まなかった日産は、同1,503億72百万円を計上、ゴーンさんの微笑むギョロ目が想像される。三菱自動車も売上高を増加させたことから、前期の赤字から一転122億33百万円の黒字に転じている。

<通 期>
 トヨタは、前期比で100%まで売上高を持っていく予想であり、営業利益も▲3.9%ダウンまで回復させる計画である。そうしたことから他メーカーも含めて大増産体制入りで、期間工の大量募集をかけている。
マツダは、リッター当り30kmという高燃費のSKYACYIVエンジンを開発して奮闘しているものの、生産のタマ不足もあり、売上高は前期比▲5.8%、営業利益は▲16.1%と通期にわたってダメージは大きい。
 ホンダも通期ではダメージが大きく、前期比売上高▲2.7%、営業利益▲52.6%の予想となっている。
 日産は、売上高を7.1%も前期比増加させるも、営業利益は▲14.4%ダウンを予想している。営業利益のダウンについては、鋼材価格等の原材料費の高騰を吸収できないのか、もっと調べる必要がある。
 三菱は、通期でも売上高を6.6%増と堅調に推移させ、利益も24.1%増と1人息巻いている。地獄から這い上がってきた強みであろうが、エレクトロ部品を自社グループで生産していた強みを発揮している。
 こうしてみると、今回の震災によるサプライヤーチェーン問題は、通期にわたってマツダが一番影響することになる。新エンヂンも開発したことから頑張って欲しいものである。
 また、自動車産業のこうした回復は、アメリカの雇用にも大きく貢献するものと思われ、オバマさんも少しは救われよう。
 

トヨタ自動車
連結/百万円
売上高
営業利益
税前利益
株主帰属利益
11年3月期第1四半期
4,871,825
211,663
263,004
190,466
12年3月期第1四半期
3,441,050
-107,963
-80,531
1,160
前年同期比
70.6%
 
 
0.6%
12年3月期通期予想
19,000,000
450,000
500,000
390,000
11年3月期実績
18,993,688
468,279
563,290
408,183
通期予想/前期比
100.0%
96.1%
88.8%
95.5%

 

本田技研
連結/百万円
売上高
営業利益
税前利益
株主帰属利益
11年3月期第1四半期
2,361,463
234,443
256,149
272,487
12年3月期第1四半期
1,714,596
22,579
29,299
31,797
前年同期比
72.6%
9.6%
11.4%
11.7%
12年3月期通期予想
8,700,000
270,000
285,000
230,000
11年3月期実績
8,936,867
569,775
630,548
534,088
通期予想/前期比
97.3%
47.4%
45.2%
43.1%

 

日産自動車
連結/百万円
売上高
営業利益
経常利益
当期利益
11年3月期第1四半期
2,050,136
167,910
155,003
106,649
12年3月期第1四半期
2,081,954
150,372
147,684
85,022
前年同期比
101.6%
89.6%
95.3%
79.7%
12年3月期通期予想
9,400,000
460,000
441,000
270,000
11年3月期実績
8,773,093
537,467
537,814
319,221
通期予想/前期比
107.1%
85.6%
82.0%
84.6%

 

マツダ
連結/百万円
売上高
営業利益
経常利益
当期利益
11年3月期第1四半期
578,037
6,366
4,143
-2,101
12年3月期第1四半期
408,132
-23,086
-25,841
-25,543
前年同期比
70.6%
 
 
  
12年3月期通期予想
2,190,000
20,000
15,000
1,000
11年3月期実績
2,325,689
23,835
36,862
-60,042
通期予想/前期比
94.2%
83.9%
40.7%
  

 

三菱自動車
連結/百万円
売上高
営業利益
経常利益
当期利益
11年3月期第1四半期
403,733
-4,495
-5,791
-11,756
12年3月期第1四半期
431,949
12,233
10,301
4,270
前年同期比
107.0%
 
 
  
12年3月期通期予想
1,950,000
50,000
40,000
20,000
11年3月期実績
1,828,497
40,274
38,949
15,621
通期予想/前期比
106.6%
124.1%
102.7%
128.0%

 
[ 2011年8月 3日 ]
モバイル
モバイル向けURL http://n-seikei.jp/mobile/
スポンサードリンク

※Google・Yahoo japan!・Twitter・ライブドア・はてな・OpenID でログインできます。

コメントする

関連記事

  • この記事を見た人は以下も見ています
  •  
  • 同じカテゴリーの記事です。
  •   
Google サイト内検索