アルジェ軍が陸空から総攻撃 日本人2名含む人質30名死亡
まだゲリラ5名超、外国人7名が敷地内か
18日午前4時段階、隣国モーリタリアのAMI、サハラ・メディア、アルジャジーラ、ロイターなどによると、16日午前5時ごろアルカイダ系イスラム過激派武装組織仮面旅団(車両3台、20名)が、Amennas(アルジェリア南部、首都から1000km、リビア国境から100km)の石油施設関係のバスを襲撃して乗客を人質にし、当石油施設内に立てこもった。
武装勢力は少なくとも外国人の人質41人(現地人人質は人数不明)を取り、フランス軍のマリ(アルジェリア南の隣国)への攻撃停止を要求した。
17日、武装勢力が車両で人質を別の場所へ移送しようとした時、施設を包囲していたアルジェリア軍が、攻撃ヘリや陸上部隊が総攻撃をかけ、主犯者アボウ エル バラアはじめ武装勢力15名を殺害、日本人2人を含む25人が脱出したと伝えている。
しかし、現場には多数の死者が確認されている(ロイターの現地人取材)という。
また、総攻撃に際し、15人の外国人、30人のアルジェリア人が脱出したとの情報(地元メディア)や当総攻撃で人質34人と武装勢力15人が死亡した(AMI通信)との報道がなされている。
情報が錯綜しており、官邸の18日午前1時30分の発表も「邦人の安全が第一」として「情報収集に努めている」とのコメントだけであった。
16日の襲撃の際には、英国人・現地警備員が殺害され7名が負傷したとアルジェリア通信が伝えているが、地元メディアはフランス人も1名殺害されたと報道している。この間、600名の現地労働者と外国人4名(英2、仏1、ケニア1)が開放されたとアルジャジーラが伝えている。
まだ、5名の武装勢力と外国人人質(アルジャジーラがAMIの報道として伝える、外国人7名⇒英1、日1、ベルギー3、米2)がおり、武装勢力側は、これ以上攻撃すれば人質全員を殺害するとAMIとの電話で表明しているという。
これまでの報道でかなり正確な報道をしているのは、モーリタリアのAMI通信である。
アルジェ軍攻撃で日本人2名含め人質30名死亡/アルジェリア治安当局
18日午前8時段階、17日、アルジェリア軍が突入したアルカイダ系イスラム武装勢力が人質(41人超)を取りたてこもったアルジェリア南部のAmenas油田基地。
その総攻撃の結果、人質30名と武装勢力11名の死亡が確認されたことをアルジェリア治安当局が明らかにしたとロイターが18日午前5時42分伝えている。
その中には、日本人2名、英人2名、仏人1名、アルジェリア人8名が含まれているという。
イスラム圏の殆どの国々は戦争・内乱状態であり、アルジェリア政府は、人命よりアルカイダ系イスラム武装勢力の殲滅を優先させ、最悪の事態となった。
イスラム武装勢力に対して、時間的にも交渉の余地など持たさず攻撃がした。しかし、単独でマリにて戦争状態に突入しているフランス政府は、今回の攻撃に対して、アルジェリア政府を容認していたはずである。
アルジェリア政府のサィード通信担当相は、今回の攻撃について、「テロリズムとの戦いに交渉や脅し、猶予はない」としている(人質の犠牲は成り行きにより当然との考えか)。
今回の攻撃について英国のキャメロン首相は、事前に通知するようアルジェリア政府に要請していたが、何の連絡もなかったという。
同様な報道をアルジャジーラも行っている。また、アルジャジーラは「日本政府は救出作戦を中止するよう要請していた」とも伝えている。
まだ人質として日本人1人がいるようだが・・・。
なお、18日午前のNHKニュースで、日揮の日本人スタッフ3名の安全を確認、しかし、まだ14名の安否の確認が取れていないと現地の日揮から外務省に連絡があったと報道している。
<皮肉なる背景>
アラブの春は、リビア等武力制圧した国々に大量の武器が西側諸国から渡されており、その武器(携帯型地対空ミサイルスティンガー等含)が、アラブ系イスラム過激派アルカイダのアフリカ南下に利用されている。
マリ北部はもともと遊牧民のベルベル人(北アフリカ=マグレブの先住民族)が支配していた。マリ北部3州(アザワド)を、ベルベル人系遊牧民トゥワレグ人がアザワド解放民族運動(MNLA)を組織、また、イスラム系武装組織アンサル・ディーンやイスラーム・マグリブ諸国アルカイダ機構(AQIM)も政府軍との戦いに参戦して勝利、一方的に独立宣言した。
しかし、トゥワレグ人の聖地をAQIMが破壊したためMNLAとAQIMが対立、MNLAが武器で勝るAQIMに負けたものの対立したまま。
こうした3州独立の事態にマリ政府(民主国であったが、北部の反乱に武器不足で制圧できず、軍事クーデターで大統領は失脚、軍事政権下にある)は、旧宗主国のフランス(利権あり)に支援を求め、フランス軍が1月11日から参戦して、アザワドに対して空爆を開始している(アルジェリアの領空通過の許可を取り、フランス空軍はフランスから直接空爆している)。
しかし、スティンガーなどで武装したイスラム過激派のアンサル・ディーンやAQIMの抵抗が強いため、フランス軍は2,000人の増派を決定、17日アザワド制圧に乗り出している。トゥワレグ人のMNLAは、今ではフランス軍の進駐に賛同している。国連安保理もフランス軍の進駐に賛同を表明している。
政権腐敗・クーデター・民族(アラブと遊牧民)・宗教問題など絡み、複雑なマリ共和国であるが、当初蜂起した遊牧民トゥワレグ人は、アラブの春でリビア解放に参戦、軍事力を磨き多くの武器をそのとき所有、帰国後政府軍を圧倒していた。
シリアでもそうであるが、政府側や反政府側に対する尽きない武器供与は、結局アラブ圏に組織を拡大するイスラム原理主義過激派アルカイダに武器が渡り、アラブ世界の原理主義者に利用され、アラブ諸国はもとより、中アフリカ・北アフリカのイスラム圏が血みどろの戦いを強いられることになる。その先では現在のアフガンにとどまらず、アジアのイスラム圏へも波及してくることになる。
欧米西側諸国=先進国=武器商人。ロシア・中国・韓国=武器商人。
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