アンジェスと大阪大学は、プラスミドDNAにSARS-CoV-2(=新コロナウイルス)が、ヒト細胞へ感染する際の足掛かりとなるスパイク(S)蛋白質の遺伝子を導入したDNAワクチンを開発、動物実験が良好なことから、厚労省と協議の上、臨床試験に8月からでも入る。
同ワクチンは、接種後に取り込まれた細胞中でS蛋白質を発現し、S蛋白質を中和するポリクローナル抗体など新型コロナウイルスへの免疫を誘導。感染を予防したり、感染後に発症や重症化を抑えたりすることが期待される。
アンジェスなどは、SARS-CoV-2のゲノム配列に基づき、S蛋白質の遺伝子を導入したプラスミドDNAを設計。同プラスミドDNAを産生する組換え大腸菌を確立し、GLP試験に使えるDNAワクチンの原薬を製造した。
製造は、タカラバイオが実施した。
並行して、開発したプラスミドDNAの安全性や有効性を評価するため、in vivo(動物実験)をスタートさせた。
今後、動物実験の結果などに基づき、投与方法やアジュバントなどについて検討を進め、非臨床試験を実施して、臨床試験の開始を目指す。
大阪大学大学院の森下竜一教授によると、共同開発するワクチンは短期間で大量生産することが可能とし、安全性が高く副作用も少ないと説明している。
ただ、ワクチン開発には抗体依存性感染増強(ADE)問題を抱えている。ウイルスの抗体どころか促進剤になる可能性が指摘されている。こうした副作用を可能な限りなくしたワクチンが望まれる。