小麦価格は新コロナからの経済回復により、資源価格の高騰に連動して高騰しだし、投機市場の先物価格は何もかも上昇、それでも今年1月までは徐々に上昇してきた。
しかし、ここにきてウクライナに対する露侵攻が2月24日発生、3月7日には小麦の最大の輸出国であるロシアに対する欧米西側の経済金融制裁、これにより小麦相場の上昇が加速し、ウクライナも大きな輸出国であり、侵攻の長期化、ウクライナの場合は特にEUに輸出しており、黒海が事実上ロシアにより封鎖され、保管在庫の輸出も大幅に減少している。
小麦は世界の主食(パンや麺など)であり、多くの国で生産されているものの不足する国が多く、輸出量は限られ、多くの国が輸入している。
そうしたことから、原油や鉱物資源は露制裁による暴騰後、中国の新コロナによるロックダウンの経済への影響などから調整局面にあるものの、小麦はウクライナの小麦も輸出できなくなり、多くの輸入国があちこちの限られた輸出国の小麦を買い漁るしかなく、価格が高騰し続けている。
それに加え、小麦の生産に欠かすことができない化学肥料もロシアから世界に輸出されており、すでに倍に高騰、さらに高騰するとされ、物流経費も燃料高、人手不足による労働コスト上昇などで高騰、肥料価格をさらに押し上げる原因の1つにもなっている。
もう1つの上昇要因である米金利高、対するEUや新興国の為替安から輸入価格は高騰・暴騰している。
小麦相場では、小麦千トンを1月末782ドルで買えたものが4月27日には1092ドルで購入することになり上昇率は39.6%、ところが日本の場合、円で購入することになり、1月8万98百円で購入できたものが、4月27日には14万54百円となり56.4%高い価格で購入することになる。それに船賃等物流コストの上昇分も別途加算される。
米国は、小麦の輸出国、また欧州で禁輸措置問題となっている天然ガスも原油も世界最大の産出国、涼しい顔している。
米景気が好調すぎて高いインフレ率(3月8.5%)になっているのは、バイデン大統領が経済が回復途上にあったところに巨額政府投資を行ったからであり、FOMC(米連邦公開市場委員会)が火消しに、昨秋からテーパリング(市場からの資産購入=金融緩和を減少させること)を実施、しかし効果なく、今年3月に金利を0.25%上昇させた。次は5月にFOMCが開催されるが、一挙に0.5%の引き上げも検討されるという。
総じて資源国の為替は米金利が上昇してもほとんど動いていない。資源国であるロシアは3月7日の制裁で1ドルが140ルーブルを超え、直前から倍の為替安になった。しかし、4月27日には73.25ルーブルと完全に戻している。やはり資源国からだろう。
ロシアは、新興国を手懐けるため、原油を相場の2割引で売っても大儲かり、新興国も喜びウィンウィンの関係を作り、中国とともに非米国を増加させる可能性もある。
これまでの小麦価格は、天候に左右され、一大産地の天候不順で相場が高騰していた。しかし、昨今は温暖化の影響で地球上のどこかで、常に天候不順が生じており、価格高騰の要因ともなっている。
直近でもTPPのため食糧安保を廃棄してきた日本、今になって食糧安保など再構築できるものではない。
スクロール→
小麦の先物相場/USd/Bu
|
月末
|
先物相場
|
対ドル円
|
18/12月
|
528
|
128.70
|
19/12月
|
555
|
109.09
|
20/3月
|
558
|
107.67
|
20/6月
|
485
|
107.23
|
20/9月
|
549
|
105.48
|
20/12月
|
640
|
103.39
|
21/3月
|
618
|
110.42
|
21/6月
|
639
|
110.95
|
21/9月
|
725
|
111.35
|
21/12月
|
770
|
114.94
|
22/1月
|
782
|
114.88
|
22/2月
|
917
|
115.12
|
22/3月
|
1,023
|
122.54
|
4/27日
|
1,092
|
128.70
|
22/2/24日
|
露ウクライナ侵攻
|
22/3/7日
|
露制裁
|
小麦の生産量ランキング/千トン
|
21年/USDA「World Markets and Trade」22年版
|
1
|
EU
|
138,200
|
2
|
中国
|
136,000
|
3
|
インド
|
108,000
|
4
|
ロシア
|
85,000
|
5
|
米国
|
47,519
|
6
|
カナダ
|
31,500
|
7
|
ウクライナ
|
30,000
|
8
|
オーストラリア
|
28,500
|
9
|
パキスタン
|
27,000
|
10
|
アルゼンチン
|
20,500
|
|
ほか計
|
140,180
|
世界計
|
792,399
|
小麦の消費国ランキング/千トン
|
USDA「World Markets and Trade」
|
1
|
中国
|
148,000
|
2
|
EU
|
108,000
|
3
|
インド
|
105,000
|
4
|
ロシア
|
42,500
|
5
|
米国
|
32,522
|
6
|
パキスタン
|
27,000
|
7
|
トルコ
|
21,200
|
8
|
エジプト
|
21,100
|
9
|
イラン
|
17,600
|
10
|
英国
|
15,900
|
|
ほか計
|
252,071
|
世界計
|
790,893
|
小麦の輸出国ランキング/千トン
|
USDA「World Markets and Trade」
|
1
|
ロシア
|
40,000
|
2
|
EU
|
34,000
|
3
|
米国
|
24,500
|
4
|
カナダ
|
23,000
|
5
|
オーストラリア
|
22,000
|
6
|
ウクライナ
|
21,000
|
7
|
アルゼンチン
|
13,000
|
8
|
カザフスタン
|
7,500
|
9
|
トルコ
|
6,500
|
10
|
インド
|
2,300
|
|
ほか計
|
11,678
|
世界計
|
205,478
|
小麦の輸入国ランキング/千トン
|
USDA「World Markets and Trade」
|
1
|
エジプト
|
13,200
|
2
|
インドネシア
|
10,750
|
3
|
トルコ
|
10,250
|
4
|
中国
|
10,000
|
5
|
アルジェリア
|
7,650
|
6
|
バングラデシュ
|
7,000
|
7
|
ブラジル
|
7,000
|
8
|
フィリピン
|
6,800
|
9
|
EU
|
5,800
|
10
|
日本
|
5,800
|
|
ほか計
|
121,228
|
世界計
|
205,478
|
小麦の先物相場/USd/Bu
|
月末
|
先物相場
|
対ドル円
|
18/12月
|
528
|
112.14
|
19/12月
|
555
|
109.09
|
20/3月
|
558
|
107.67
|
20/6月
|
485
|
107.23
|
20/9月
|
549
|
105.48
|
20/12月
|
640
|
103.39
|
21/3月
|
618
|
110.42
|
21/6月
|
639
|
110.95
|
21/9月
|
725
|
111.35
|
21/12月
|
770
|
114.94
|
22/1月
|
782
|
114.88
|
22/2月
|
917
|
115.12
|
22/3月
|
1,023
|
122.54
|
4/27日
|
1,092
|
128.70
|
特記事項
|
22/2/24日
|
露ウクライナ侵攻
|
22/3/7日
|
露制裁
|