昨年4月、645ドル/BUだった小麦の先物相場価格が、新コロナからの経済回復により今年1月には758ドルまで上昇、その後、ロシアのウクライナ侵攻、露制裁により4000万トンを輸出するロシアからの輸入を規制する可能性から一時1,252ドルまで高騰、その後調整され4月は1,000ドル前後だったものの、2100万トンを輸出するウクライナでは2500万トンの小麦が搬出できない状態となっていると発表された。
ウクライナの小麦輸出用主要港湾であるオデッサなどが、ロシア艦隊により実質封鎖され、貨車での輸送もロシアのミサイルで駅などが破壊され滞留しているとウクライナ当局が発表、それを受け先物相場は1130ドル前後まで再び上昇している。
小麦は、欧米は生産国で輸出国であり、露制裁の効力には限界があろう。
ただ、小麦の大量生産国は限られ、消費国は戦後、米国が小麦の輸出相手国にするため全世界に小麦からのパンを定着させたため、今では世界の主食の1つとなっており、多くの国々が輸入している。
問題は、小麦の輸入国は後進国も多く、価格高騰はその国の財政・金融を大幅に悪化させる可能性があり、外貨不足で輸入できず、餓死問題も浮上してくる可能性もある。
ロシアは高見の見物、米国やEUの生産者はニタニタしているものと思われる。
世界では価格統制令が必要なのかもしれないが、ハゲタカの米国が受け入れるわけがない。
米国や資源国以外は為替が対ドル安になっており、さらに為替安分が輸入価格に上乗せられる。
日本は昨年4月の109円前後から130円前後まで対ドル円安になっており、小麦相場が昨年の約倍の価格、それに17%上乗せ価格が輸入価格となる。
安易な欧米の白人社会への追随は、日本人が黄色人種であることを忘れてしまった政策にも見えてしまう。仲裁者もいない白人同士の戦いであり、一方が降伏しない限りとことん行く。
スクロール→
小麦
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USDA「World Markets and Trade」
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千トン
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世界の生産量
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792,399
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うちEU
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138,200
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うち中国
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136,000
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世界の消費量
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790,893
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うち中国
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148,000
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うちEU
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108,000
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輸出量
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205,478
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うちロシア
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40,000
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うちウクライナ
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21,000
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うちEU
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34,000
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うち米国
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24,500
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輸入量
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205,478
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うちエジプト
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13,200
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うちインドネシア
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10,750
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うちトルコ
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10,250
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うち中国
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10,000
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