隣国の5月の物価上昇幅は、リーマンショック直前の好景気時代の原油と物価が上昇した2008年8月5.6%以来の5.4%となった。
品目別では、
軽油45.8%
灯油60.8%
減税したガソリンは8.3%と低いものの石油類は総じて34.8%上昇
石油類も含めた工業製品は8.3%上昇、
公共料金の引き上げで電気・ガスが共に11%上昇、
水道料など公共料金は総じて9.6%上昇
サービス価格は3.5%上昇、うち外食は7.4%上昇
農畜水産物は4.2%上昇。
うち畜産物は輸入価格や飼料用穀物価格高騰から、
鶏肉約10%、
豚肉が20.7%
輸入牛肉が27.9%など12.1%上昇した。
ほかの食材では、
麺が33.2%、
食用油が22.7%
即席ラーメンが9.8%など加工食品も値上がった。
消費者が常時購入する144品目から算出する「生活物価指数は5月6.7%上昇」した。これもリーマンショック直前の時期の7.1%以来の上昇幅となった。
変動幅が大きいエネルギーと生鮮食材を除いた物価上昇率も4.1%に達している。
こうした事態に、隣国政府は、夏の異常気象に備え白菜や大根、ニンニクなどを備蓄予定だという。また、牛肉価格に影響するワクチンもなく致死率100%のアフリカ豚熱はいまだイノシシの死骸から検出され続けており、豚舎への感染防止に最善を尽くすとしている。
(日本は豚熱、ワクチンがある。しかし、まだ時たま豚舎で発生し、イノシシの死骸からも検出され続けている。アフリカ豚熱も豚熱も感染すれば、完全に終息し一定期間開けなければ汚染国として豚肉の輸出はできない)
外的要因の物価上昇は、昨年低迷した新コロナ惨禍下の経済からの回復にあるが、ここまでインフレを高めたのはバイデン氏の大統領就任祝いの国内経済への巨額財政投資にある。購買力もつき高くても購入することで、インフレを高めてしまい、今では金利政策でインフレの抑制に当たっているが、その後の露制裁もあり、物価は上昇し続けている。
また、商品先物市場が投機筋により仮想通貨並みにおもちゃにされ、買い漁り、利益確定のため売り逃げ、それが一方通行で下落することから生じてもいる。顕著な例は、昨年10月からすでに3度も暴騰・暴落を繰り返している木材価格が代表的な例だろう。
各国の証券市場にはあるサーキットブレーカーは、仮想通貨市場や商品先物市場にはない。特に商品先物市場の価格は、後進国や貧困層の生命と直結しており、見直しが必要だろうが、骨まで食べてしまうハイエナである米国のハゲタカたちに貧困層も糞もない。あるのは巨額投資による巨額利益のリターンのみである。
<露制裁による物価高は生活現場へは6月以降>
2月24日の露軍のウクライナ侵攻、3月7日の欧米の露制裁により、商品先物市場はさらに大きく上昇したが、生活の場に反映されるのは輸入には時間がかかり3ヶ月以上先、今後もさらに上昇することになる。
一方、隣国の経済成長率は、第1四半期(1~3月)は前年比で3.1%、前期比で0.7%上昇している。
猛威を振るった新コロナ惨禍下でも消費は堅調、輸出が牽引して経済を成長させている。
悪循環、
隣国の政策は悪循環、
インフレ対策の米金利上昇により、為替暴落の危険性を孕む隣国ウォンは、その対策に金利を上昇させて対応している。その効果により、対ドルウォンは最安値圏でありながら、長らくその範囲内で推移し、底割れにはならない動きとなっている。
しかし、金利上昇は隣国のGDPの半分を構成する消費にも影響してくる。この間の低金利策により家計負債は膨張しており、その借入金利の上昇は可処分所得を減少させ消費を抑制することになる。
企業も借入コスト上昇は、利益を圧迫。また製造業では国際市場での商品先物価格が値上がっており、原材料の生産コスト上昇分を販売価格に100%転嫁できなければ、企業利益を損ね、雇用や投資の減退を招き、しいては経済低迷をもたらす。
景気拡大期には収入も増加し、物価も上昇し、金利も上昇する。しかし、経済が低迷しているなかで、金利上昇や物価上昇は、さらに経済を低迷させることになる。
日本の場合は、2019年までアベノミクスにより企業は空前の利益を出していた好景気、しかし、従業員にはほとんど還元せず、正規雇用の非正規化への置き換えを進め、家計の可処分所得は共稼ぎ世帯が大幅に増加しても増えず、結果、今回の物価上昇はそのまま購買力を落とすことになり、景気を悪化させる。外的要因だろうと物価は上がり、デフレどころか最悪のスタフグレーションに陥ることになる。2人以上の世帯の実質可処分所得は30年前より低く、購買力は削がされ続けている。
そのスタフグレーションに日韓ともに陥る懸念が取り沙汰されている。
↓隣国の5月のインフレ率5.4%上昇
スクロール→
<隣国と米国の基準金利推移および対ドルウォン>
隣国と米国の基準金利推移および対ドルウォン
|
隣国
|
対ドルウォン
|
米国FRB
|
~
|
1.75
|
月初
|
~
|
2.00
|
19/9月
|
1.50
|
1,196
|
19/10月
|
1.75
|
19/12月
|
1.25
|
1,173
|
|
|
20/4月
|
0.75
|
1,223
|
20/3月
|
0.75
|
20/7月
|
0.50
|
1,198
|
20/4月
|
0.50
|
21/11月
|
0.75
|
1,184
|
20/5月
|
0.25
|
22/1月
|
1.00
|
1,196
|
|
|
22/3月
|
1.25
|
1,221
|
22/3月
|
0.50
|
22/4月
|
1.50
|
1,237
|
|
|
22/5月
|
1.75
|
1,266
|
22/5月
|
1.00
|
参考
<日本の場合>
昨年3月以降実施された携帯の契約料金安価改定の影響により、現在はインフレ率を押し下げているが、それもしばらくすれば一巡し、6月以降には3月の露制裁で上昇したエネルギーや穀物価格が生活現場に押し寄せ、さらに3月からの円安もあり、2重にも3重にも今後上昇する因子が存在している。
日本・全国消費者物価指数 2020=100 前年比
|
22年
|
1月
|
2月
|
3月
|
4月
|
5月
|
総合
|
0.5
|
0.9
|
1.2
|
2.5
|
|
生鮮除
|
0.2
|
0.6
|
0.8
|
2.1
|
|
生鮮エネ除
|
-1.1
|
-1.0
|
-0.7
|
0.8
|
|
食料インフレ率
|
日本
|
2.1
|
2.8
|
3.4
|
4.0
|
|
韓国
|
3.6
|
3.7
|
4.1
|
4.8
|
5.4
|
米国
|
7.0
|
7.9
|
8.8
|
9.4
|
|
<東京都の月中旬の物価指数>
全国の消費者物価指数の先行指数として用いられる。
生鮮のじゃがいも・たまねぎは生産地の北海道での干ばつの影響を受け高騰、鮭やいくらなど現地相場と円安で輸入魚介類は高騰している。
通信費は総務省命令により昨年3月から携帯大手3社は順次値下げ、下がった効果が通信費として反映されている。数ヶ月内に一巡する。
東京都区部の消費者物価 2020=100
|
|
2022年5月
|
4月
|
|
指数
|
前年比
|
寄与度
|
指数
|
前年比
|
寄与度
|
総合
|
101.8
|
2.4
|
|
101.5
|
2.5
|
|
生鮮除
|
101.5
|
1.9
|
1.83
|
101.4
|
2.1
|
2.06
|
生鮮エネ除
|
100.4
|
0.8
|
0.78
|
99.9
|
0.8
|
0.67
|
食料
|
103.5
|
4.2
|
1.08
|
102.9
|
4.0
|
1.04
|
生鮮
|
110.0
|
14.9
|
0.54
|
105.9
|
12.2
|
0.46
|
生鮮除
|
102.3
|
2.3
|
0.54
|
102.4
|
2.6
|
0.58
|
住居
|
101.1
|
0.5
|
0.21
|
101.0
|
0.4
|
0.09
|
水道光熱
|
116.9
|
19.5
|
0.99
|
114.3
|
15.7
|
1.08
|
家具家事
|
105.6
|
2.5
|
0.11
|
103.7
|
2.3
|
0.09
|
服・履物
|
101.5
|
0.6
|
0.02
|
102.4
|
0.8
|
0.03
|
保険医療
|
98.7
|
-0.9
|
-0.05
|
98.9
|
-0.7
|
-0.03
|
交通通信
|
89.8
|
-2.0
|
-0.22
|
93.0
|
-0.2
|
-0.03
|
教育
|
101.1
|
1.0
|
0.01
|
101.1
|
0.9
|
0.03
|
教養娯楽
|
104.2
|
1.8
|
0.17
|
103.1
|
1.6
|
0.15
|
その他
|
102.2
|
1.2
|
0.07
|
102.1
|
1.2
|
0.07
|