アイコン 機械受注 1~3月▲3.6%減、4期ぶりマイナス


内閣府が発表した企業の設備投資の先行きを示す機械受注統計は、今年1月~3月までの主な機械メーカーの受注額が2兆5000億円余りと前3ヶ月と比べて▲3.6%減少し、4期ぶりにマイナスとなった。

3月は中国の新コロナロックダウン(トヨタが関係する吉林省は3月、上海は3月30日から)やロシアのウクライナ侵攻(2月24日)による露制裁(3月7日)の影響が出始めたばかりであり、総じて影響は少ないものと見られる。

影響したのは、新コロナ経済回復で投機筋が、木材価格のように暴騰・暴落させている国際商品市場の相場の影響だろう。
特に昨年から続く資源・エネルギー・穀物・食料の国際相場の高騰、生産者は上昇する原材料価格を製品価格に(売れなくなり)転嫁できなければ景気は低迷する。そうした先行き経済不安から国内も海外も企業が新規投資を控えだしているものと見られる。4月以降は、中国の新コロナ問題も深刻に影響してくる。上海はやっとロックダウンが解除されるが、ほかの大都市でも感染者が発生してきており、まだ予断を許さない状況が続いている。

 

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しかも、中国では経済波及効果が高い不動産市場は、政府のバブル規制強化により民間巨大デベロッパーのほとんどが潰されており、新コロナからの経済回復が公共投資だけでは片肺飛行となり、低迷は長期化するものと見られる。
さらに、欧州は、露制裁により、経済的に大きな代償を払うことになり、経済低迷は必至、中国から欧州向け輸出も低迷するものと見られる。

元気が良いのは米国だけ、あまりの景気の良さに物価が高騰し、金利を上昇させ、テーパリングも急ぎ押さえ込みにかかっている。それは新コロナから経済が回復途上に、大統領に就任したバイデンの政策により巨額公共投資を導入したことによるもの。

輸入物価高騰に関係なく売れた結果が4月の8.3%のインフレと4月も上昇し続け138Pとなった生産者物価指数(20/4月の117Pから一貫して上昇、特に昨年10月から加速度がついている)となっている。
その抑制策により、米国景気がどうなるかも不明な点が多い。自動車販売台数も大きく落ち込んでいるが、販売価格も高騰しており半導体だけの問題ではないと見られる。

米国の軍需産業はバイデン政策により超多忙状態、今後、兵器購入は欧州国で急増するのは必至、軍需企業の株価を見るだけでもバイデン政権による経済効果は計り知れなくなっている。

米国は原油も天然ガスもズバ抜けて世界一の生産量、しかし、カナダからの石油精製施設があるメキシコ湾岸へのパイプライン建設をトランプが承認していたものの、化石燃料廃止意向のバイデンが大統領就任の最初の仕事として当パイプラインの承認を取り消したことから石油生産者団体と反目、原油採掘団体は増産スピードを大幅に落としている(増産してわざわざ価格を落とす必要はないとの判断)。
そのため、少々増産しても輸出には原油も天然ガスも限度があり、露制裁の欧州を満たすことなど不可能となっている。
欧州では露制裁を実施に移してきており、天然ガスは新コロナ以前の2019年12月2.292だった価格は、新コロナ経済回復で昨年末3.865まで上昇、露制裁で加速し今では8.206前後まで上昇している。特に欧州では長期契約のロシア産からの切り替えであり、高騰している相場価格で購入するしかなく、電気代の高騰に国民は悲鳴を上げている。
バイデン政権は、自国の生産者団体ではなく、米国にとってならず者国家のはずのベネズエラに対して原油の増産を要請する次第。天然ガスの国家備蓄はなく、価格上昇は一方通行になっている。

こうした世界の政治状況と国際商品市場の動向が、企業の投資に大きく影響してきている。
今後、どうなることやら・・・

3月は
機械受注総額の動向をみると、2022年2月は前月比▲10.6%減の後、3月は同2.5%増の2兆5,203億円。
需要者別にみると、
民需は前月比▲0.4%減の9,279億円、
官公需は同61.9%増の3,586億円、
外需は同▲14.2%減の1兆888億円、
代理店は同22.9%増の1,169億円。

民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の動向をみると、2月は前月比▲9.8%減の後、3月は同7.1%増の8,695億円となった。
うち、
製造業は同7.1%増の4,545億円、
非製造業(除く船舶・電力)は同11.0%増の4,305億円。

1~3月累計
受注総額は前期比▲9.7%減の7兆7,306億円。
需要者別にみると、
民需は同▲13.9%減の2兆8,542億円、
官公需は同▲2.8%減の8,139億円、
外需は同▲6.6%減の3兆6,623億円、
代理店は同▲11.3%減の3,291億円となった。

また、船舶・電力を除く「民需」は、同▲3.6%減の2兆5,805億円、
製造業は同0.8%増の1兆3,112億円、
非製造業(除く船舶・電力)は同▲8.1%減の1兆2,712億円となった。

2022年4~6月の見通し、
受注総額は前期比5.2%増の8兆1,301億円の見通し。
需要者別にみると、
民需は同1.3%増の2兆8,916億円、
官公需は同▲8.8%減の7,419億円、
外需は同15.4%増の4兆2,254億円、
代理店は同11.6%増の3,671億円の見通し。

また、船舶・電力を除く「民需」は、同▲8.1%減の2兆3,706億円、
製造業は同▲0.1%減の1兆3,106億円、
非製造業(除く船舶・電力)は同▲12.1%減の1兆1,168億円の見通しになっている。
以上、

[ 2022年5月19日 ]

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