どこまで上がる天然ガス価格 都市ガス代・電気代
露制裁による国民経済への影響がしだいに強まってきている。まだ、欧州の電気料金やガス代はすでに20%前後上昇しているが、原油はすでに禁輸を実施に移しており、今や西欧の主力発電燃料になっている天然ガスも45.3%(EU/2021年/1600億㎥)を輸入するロシア産から切り替えを進め、年内には全面禁輸にするという。
天然ガスの相場は、
新コロナからの経済回復により上昇・・・米国での強い経済回復・・・資源価格高騰
米インフレにより、抑制策の金利上昇、ドル高=外国為替安(為替安は購入価格上昇となる)
脱石炭・天然ガスへの切り替え需要の増加による上昇・・・カーボンニュートラル
露制裁による先物市場の先取り上昇
露制裁による代替国からの購入実施による実需での上昇
今後、中国の経済回復=ロックダウン等新コロナ事態の解消により価格上昇
反動、
高い買い物する国・・・経済を悪化させる原因となる
後進国・新興国・無資源国・財政脆弱国では為替安も伴い燃料高にすでにパニック状態に陥っている。こうした国々では今後、安価なロシア産の石油製品・天然ガスにシフトする可能性がある。
西側先進国でも燃料や都市ガス代がさらに上昇し続ければ、外交より生活が優先だとして政変の可能性もでてくる(EUでも西欧と東欧では所得が異なる)。
その他、
原油はベネズエラ・サウジが増産し・イランも解禁すれば、ロシア産と代替できようが、天然ガスは、原油のように生産調整しているわけではなく、カタールはイランとの共同海底ガス田であり、イランとの再核合意が前提となるだろう。
すべての鍵は原油・天然ガスの世界最大の産出国である米国にあり、どこまで増産するかはバイデン政権にはなく、反バイデンの生産者団体が決定する。
この間、原油では、OPECは2021年7月から毎月40万バレル(/日)増産するとし、バイデンがサウジにさらに増産要請してもサウジはOPECの計画通りの増産しかしていない。OPECは世界の実需ベースで動いている。
↓天然ガス先物価格推移(NYM)
原油のような国家備蓄がなく、ロシア産の禁輸ではほかの生産国が増産するしかない。緊急増産するにも限度があり、ロシア産禁輸で、ほぼ、一方通行で価格が上昇している。
↓米国の原油掘削リグ稼動数
・米国のシェール層からはオイルとガスが同時に採掘される。頁岩=シェール
スクロール→
米国の原油掘削リグ稼動数の推移/米ベーカーヒューズ社 |
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末基準 |
稼動数 |
月増加 |
原油価格 |
|
|
2019/12月 |
677 |
|
59.80ドル |
|
|
2020/4月 |
378 |
|
16.71ドル |
新コロナ暴落ショック |
|
2020/8月 |
172 |
|
42.42ドル |
|
|
2020/12月 |
267 |
|
47.09ドル |
|
|
2021/6月 |
372 |
|
71.40ドル |
新コロナ経済回復 |
|
2021/12月 |
467 |
|
71.53ドル |
|
|
2022/1月 |
495 |
28 |
82.86ドル |
|
|
2/28日 |
522 |
27 |
92.05ドル |
露ウクライナ侵攻 |
|
3/8日 |
519 |
|
124.66ドル/高値143.03ドル/露制裁 |
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3/31日 |
531 |
9 |
100.28ドル |
EIA国家備蓄放出 |
|
4/11日 |
546 |
|
93.35ドル |
|
|
4/13日 |
546 |
|
101.00ドル |
|
|
4/30日 |
552 |
33 |
|
|
|
5/5日 |
557 |
|
110.00ドル |
|
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5/13日 |
563 |
11 |
|
|
|
5/19日 |
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|
109.70ドル |
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|
・現在のシェールオイル掘削リグは効率の良いリグを中心に稼動させており、原価は30ドル前後。総じて40ドル前後/原油価格はWTI原油先物価格 |
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↓米国の原油生産(米EIA)/BBL/D/1K
2月までしかデータがなく、その後価格が急騰しどれほど生産増となったのだろう。
↓EUは2021年、ロシア産天然ガスに45.3%依存している。
スクロール→
ロシア産の天然ガス購入国リスト |
|
2020年 |
億㎥ |
ドイツ |
382 |
イタリア |
293 |
フランス |
182 |
トルコ |
133 |
オランダ |
128 |
オーストリア |
119 |
英国 |
84 |
ハンガリー |
65 |
ポーランド |
97 |
欧州上記以外のOECD加盟国 |
240 |
(EU) |
1,600 |
ベラルーシ |
188 |
欧州上記以外のOECD非加盟国 |
116 |
カザフスタン |
111 |
中国 |
108 |
日本 |
85 |
その他アジア |
64 |
合計 |
3,995 |
・ロイター参照 |
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天然ガス生産国 |
|
2020年 |
億㎥ |
9,610 |
|
ロシア |
7,050 |
イラン |
1,950 |
中国 |
1,720 |
カナダ |
1,670 |
カタール |
1,540 |
オーストラリア |
1,160 |
ノルウェー |
970 |
サウジ |
840 |
アルジェリア |
660 |
UAE |
650 |
マレーシア |
650 |
エジプト |
ランク外 |
・Enerdata版 |
スクロール→
天然ガス 2020年 輸出額ランキング/百万ドル |
|
UNCTAD 2020年版 |
|
ロシア |
33,006 |
カタール |
20,480 |
米国 |
18,672 |
ノルウェー |
12,132 |
ドイツ |
9,192 |
マレーシア |
6,869 |
アルジェリア |
5,935 |
インドネシア |
5,452 |
トルクメニスタン |
5,282 |
カナダ |
5,163 |
世界 |
158,844 |
輸入額 ランキング |
|
中国 |
33,455 |
日本 |
30,057 |
ドイツ |
23,358 |
韓国 |
15,718 |
イタリア |
10,229 |
インド |
7,782 |
フランス |
7,206 |
イギリス |
6,111 |
米国 |
5,638 |
台湾 |
5,516 |
世界 |
196,907 |