日本では夏場から食料価格急騰が予想される エネルギー価格も
国際市場から購入して日本に搬入され、市場に出回るには3ヶ月以上を要する。3月の米金利上昇により円安が急速に進み、現在でも3月上旬より10%以上円安にある。燃料や穀物・食料の国際先物価格(国内市場ではない)は、新コロナからの経済回復により価格が急騰、3月7日の露制裁以降さらに暴騰している。
露制裁では、特にエネルギーの天然ガス、原油、食料の小麦、大豆、トウモロコシ、食用油が大きな影響を受けている。ウクライナ・ロシア産のひまわり油の輸出が途絶え、やし油・菜種油などが急騰している。
食糧安保の観点からインドネシアではやし油を輸出制限、インドでは小麦や砂糖を輸出禁止にしている。
最大の肥料輸出国ロシア、肥料は制裁対象ではないもののロシアからはSWIFT制裁によりドル決済できないことから輸入できず価格高騰、米国ではすでに農家の購入価格は侵攻以前の3倍に達しているという。
家畜の飼料もトウモロコシが主原料、輸出市場の3割を占めるウクライナ・ロシアからの供給が止まり、価格が高騰している。
当然、小麦や家畜の生産コストは大幅に上昇し、全額価格転嫁できないとしても関係する食材が高騰することは必至。
14億人の中国での新コロナのロックダンウンが解消した場合、食糧消費が急増し、価格はさらに高騰することになる。
スクロール→
価格高騰 新コロナ経済回復と露ウクライナ侵攻および露制裁 |
||||||
2022年 |
21/5/31 |
22年 |
5/26日 |
前年比 |
1月比 |
新コロナ |
1年前 |
1/1日 |
前比 |
||||
対ドル円 |
108.9 |
115.3 |
127.16 |
16.8% |
10.3% |
16.4% |
海運指数 |
2,569 |
2,289 |
2,933 |
14.2% |
28.1% |
169.1% |
国際先物市場価格 |
||||||
原油WTI |
66.91 |
75.85 |
114.17 |
70.6% |
50.5% |
79.9% |
天然ガス |
3.107 |
3.81 |
8.78 |
182.6% |
130.4% |
303.3% |
ナフサ |
559.9 |
592.95 |
889.14 |
58.8% |
50.0% |
62.3% |
石炭 |
118.9 |
195 |
403 |
238.9% |
106.7% |
515.3% |
鉄鉱石 |
201.9 |
116 |
130 |
-35.6% |
12.1% |
41.9% |
スチール |
4,842 |
4,579 |
4,700 |
-2.9% |
2.6% |
24.5% |
木材 |
1,309.50 |
1,112.00 |
683 |
-47.8% |
-38.6% |
68.6% |
穀物・食料 |
||||||
小麦 |
663.5 |
758 |
1,147.00 |
72.9% |
51.3% |
104.8% |
米 |
13.3 |
14.63 |
17.23 |
29.5% |
17.8% |
31.2% |
トウモロコシ |
659 |
589.25 |
765.25 |
16.1% |
29.9% |
99.8% |
大豆 |
1,531.00 |
1,355.50 |
1,731.30 |
13.1% |
27.7% |
89.3% |
ヤシ油 |
3,919.00 |
4,857.00 |
6,570.00 |
67.6% |
35.3% |
115.3% |
採種油 |
890 |
1,040.00 |
1,173.70 |
31.9% |
12.9% |
150.7% |
牛肉 |
19.86 |
21.86 |
20.58 |
3.6% |
-5.9% |
43.1% |
鶏肉 |
7.04 |
6.54 |
7.63 |
8.4% |
16.7% |
42.6% |
赤肉豚 |
117.25 |
87.35 |
111.1 |
-5.2% |
27.2% |
57.0% |
前年比は21年5月31日の価格比、新コロナ前比は2019年12月31比の価格比/日本の輸入価格は国際相場に海運費用等物流費の増加分が加算され、さらに為替安が掛け算される。 |
新自由主義の市場に任せた場合、命にかかわる食料価格も、仮想通過のようにジェットコースターのように弄ばれ、世界的な飢餓を先進国主導で演出することになる。
欧米国は露制裁と引き換えに新興国や後進国の救済プログラムが至急必要ではないだろうか。それができないならば、G7で食料やエネルギーについては価格統制制を導入すべきではないだろうか。
世界一の原油・天然ガス産出国、家畜や穀物の輸出国で銃を持ち自由を叫ぶアメリカ合衆国とは、日本も含め資源のないほとんどの国の台所事情は異なる。
生活必需物資がこうも高騰すれば、下手すると社会主義を叫ぶ国が急増し、国際社会の多くの国々が、中国とロシアの思い通りの戦略に嵌る可能性すらある。
米国は貿易ではロシアは切れても中国は切れない存在でもある。
中国はこれまでも米国からの貿易利益を利用し、軍事力を巨大化させ、多くの新興国や後進国を借金の漬物国にしてきた経緯があり、このままだと国連総会では中ロ派が過半数を占める可能性すら出てくる。
リーマンショクから立ちなおさせるためオバマ政権が、経済を中国へ傾倒させた結果がこん日を生じさせている。中国からだまされた南シナ海の埋め立てがその象徴たる出来事だろうか。その当時の副大統領がバイデンでもある。金魚の糞だけでは政治はできようが生活はできなくなる。
なお、日本の物価上昇=インフレ率は3月の1.2%から4月は2.5%と1.3ポイントも急伸したが、これまでインフレを抑えていた携帯電話料金の昨年の値下げが4月から一巡したことによるもの。今後も食料価格の値上げ、半導体不足と高騰により電子製品などの値上げも行われることから、物価は上がるしかない。
一方で30年間変わらぬ国民の可処分所得に消費者の購入は食料など生活必需品に限られ、ほかは売れなくなり、不景気に至り、不景気下の物価上昇=スタ河豚レーションが現実化することになる。金持ちだけが膨れた河豚になる。
日銀黒田総裁、鈴木財務大臣、経団連十倉会長の御三方は、円安は日本経済にとって良いことだとおしっやっている。まだバブル時代の貿易大国と勘違いされている。日本の製造工場は今や米国、ベトナム、タイ、インドネシア、マレーシア、中国などへ出て行ってしまっている現実をどうご理解されているのだろうか。