ブルームバーグは、米フォードが総投資額35億ドルでミシガン州にEVバッテリー工場の建設計画を近く発表すると報じた。
「インフレ抑制法」(IRA)の韓国勢3社とパナ社が米EVバッテリー市場を独占するという予想に亀裂が入り始めた。
フォードと組むのは世界第1位の中国のバッテリーメーカーCATL。昨年のIRA後、中国のバッテリーメーカーと米国内で事業を推進する完成車メーカーはフォードが初めて。
それも主流の3元系バッテリーより2~3割安いリン酸鉄リチウムイオンバッテリーの工場建設となる(高価なコバルトを使用せず、3元系より熱暴走をしにくいため安全性も高いという)。
リン酸鉄リチウムイオンバッテリーはこれまで1充電200キロ台だったが、製造方法変え400キロ台まで伸ばしている(第2位のBYDを開発)。都会で日常利用する車両にとっては、400キロあれば問題ない。車両販売価格を抑えるため既にベンツの日常車なども搭載し、CATLはドイツに昨年12月工場操業を開始している。
ミソは中国嫌いのバイデン大統領やブリンケン国務長官の意向にかかわらず、中国勢が関係した工場が米国内で操業することになる。州独自の力は強い。
BYDは2016年までにカルフォルニア州にEVバス製造工場を構え、カルフォルニア州の各市と提携して市営EVバスを走らせている。
米国は、半導体やバッテリー工場をChips法やIRA法を制定して中国勢を追っ払う動きをしているが、中国からの安価な輸入品に依存した経済体制であり、下手すれば、米国の高い賃金やコストにより、米国はじめ世界市民は米製を高く購入させられることになりかねない。
中国勢のバッテリーは、当然、中国人民解放軍の兵器にも使用されている。