中国では、不動産業界が苛められ、その不動産業界の社債などを保有したり販売したりしている投資ファンドが、これまでに多くの不動産業者がデフォルトに陥っており、その連鎖から投資ファンドが危機に陥っている。
中国習氏の共同富裕論に基づく不動産業界に対する3条紅線、一瞬にして民間不動産業界は苦境に晒されている。地方政府系不動産会社にしても不景気で税収が伸びず、不動産利用権販売も低迷し財政難は深刻、中央政府は見かねて地方債の更なる発行を認可、地方政府に対する銀行の融資も緩和させた。
しかし、民間デペロッパーに対する金融機関の融資姿勢は厳しいまま、購入者に対する規制だけが大幅緩和されているものの、回復には程遠い水準。また民間デベロッパーはそれまで開発に当たり、借り入れだけではなく、多くの社債を発行して資金調達していた。しかし、こうした社債は金利が高く、金融機関が融資をストップしていることから償還もままならず、ギブアップしている不動産会社も多い。結果、多くの個人投資家の多くが焦げ付き、投資意欲は限りなく減退し続けている。
中国の大手資産運用会社の中植企業集団(中植)は11月下旬、自社が「深刻な債務超過」に陥ったと発表した。負債額は推定4600億元(約9兆3400億円)。
米誌は「中植は中国のシャドーバンキング(影の銀行)の重要なプレーヤーだ」として、「信用バブル崩壊へのカウントダウンが始まった」と伝えた。
米誌ニューズウィークが紹介したフォーリン・ポリシー誌の記事によると、債務超過の発表の数日後に中国当局の捜査が始まり、12月1日には中植と関係の深い2社の会長2人と連絡が取れなくなった(中国は誰でも未公表で拘束する)。
シャドーバンキングはノンバンク企業による融資や投資で、中国では盛んに行われている。
もっとも、中国の多面的な経済危機の中で破綻するシャドーバンクは中植だけではなさそう。
中国のシャドーバンキングにはマイクロファイナンスや信用保証会社、さらには質屋なども含まれ、3兆ドル(現レートで約430兆円)規模に発展している。
中国の銀行は、国有で融資業務に対する規制も厳しいが、シャドーバンキングは銀行が規制をかわす手段になっている。
2015年のある報告書は、中国のシャドーバンキングの3分の2が銀行からの資金と推定している。
(2015年6月の証券バブル崩壊、中国は外貨不足に陥り、シャドーバング問題および海外不動産投資会社がターゲットにされ、大連万達・海航、安邦保険の3大不動産会社が危機に陥り、万達だけがかろうじて生き延びている。仮想通貨も外貨流出原因だとして国内での取引が禁止された)
最近の「影」の濃さも多様で、中国最大のシャドーバンクの一つは政府系の資産運用会社とみられている。
また、業務の多くはグレーゾーンで、当局から正式に承認されていない。
2008年の金融危機以降、中国では大規模な景気刺激策により信用が拡大し、シャドーバンキングの役割が急激に広がった。
資金の大半は不動産市場に投資され、株式市場や商品市場にも流れ込んだ。
米コンサルティング企業ローディアム・グループのアナリスト、ローガン・ライト氏によると、当局はリスクを認識しつつ、「その場しのぎの規制」に追われているという。
規制が強化されると銀行は手法を変え、通常の融資で提供していた資金もシャドーバンキングを経由するようになっている。
2016年には「中国の規制当局は金融システム内の資金の流れを監視するのに必死だった」という。
銀行は高金利の住宅ローン、特に販売前のローン設定を奨励。
不動産開発業者は、これらの資金を元手に信用取引を行った。
このような信用、規制、不動産建設の結び付きは不正や腐敗の機会を生んでいる。
例えば、2018年に中国でネットワーク金融業者が相次いで破綻、オンライン投資の手軽さに流れた一般の人々が深刻な影響を受けた。
さらに、記事は「中植の顧客は、中国共産党幹部とつながりのある裕福な個人や企業だ」とも指摘している。
「経済にこれ以上ダメージを与えることなく、利害関係者の莫大な富を混乱させることなく、状況をどう整理すればいいか。中国政府は厳しい課題を突き付けられている」との見方を示した。