【経済ミニコラム】建設現場では今、熟練技能者の高齢化が加速度的に進んでいる。団塊世代の大量引退を背景に、現場の「匠の技」を誰が受け継ぐのかが大きな課題となっている。若年層の入職者は依然として少なく、技能の空白が現実味を帯びつつある。各地でOJT中心の技能継承から脱却し、ICTを活用した「見える化」や、デジタル教材による学習、職業訓練校との連携強化など、新たな育成システムの構築が進んでいる。技能の標準化と体系化に取り組む動きも出てきた。ただし、本質は“人”の問題だ。現場の魅力をいかに伝え、持続的に人材が流入する環境をつくるか──。技能継承は、単なる技術伝達にとどまらず、業界の未来そのものを左右する。