アイコン レアアース貿易戦争 一度あることは2度あり、再び輸出規制へ 3度も4度も・・・

Posted:[ 2025年10月22日 ]

ゴールドマン・サックスは20日付のリポートで、レアアース(希土類)、その他重要鉱物の世界的サプライチェーン(供給網)へのリスクが高まっていると指摘した。
採掘と精錬における中国の優位性を強調し、独立したサプライチェーンを構築する上での課題を挙げた。
 中国は11月1日からレアアースを再度輸出規制すると10月9日、各国へ通知、すでに輸出審査は厳しくなり、認可まで時間がかかっている。
 これに対して、トランプ氏はカンカン、100%追加関税をかけるぞと脅迫している。(既存も含め130%となる)

今回、米中が10月末のAPECでの会談において、レアアースについて規制緩和で合意したとしても、前回は4月4日に規制し、5月12日に規制緩和で合意し、今回はそれから5ヶ月で破綻している現実からして、いつまた破綻するかわからない。

中国は国内経済も悪化しており、そうした中で、トランプ米政権の中国企業制裁や関税爆弾の投下が続いており、習氏の苛々は高まり続けており、トランプ氏はいつものとおり今後も中国制裁を続けることから、いつまた中国側から合意が破棄されるかもわからない。

 



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中国はレアアース規制の理由として、
①レアアースを必要とする半導体の製造、その半導体が輸入できず、さらに最新の半導体製造装置の輸入もできないのは不平等だとしている。

②また、米国から中国企業や個人、子会社も含め制裁されており、その制裁は3000件を超えている。報復した中国は3桁止まりで、これもまた不公平だとしている。

③10月14日からの中国製および中国船籍の船舶の米港入港時に入港料徴収は、これまでの貿易慣行に違反する行為だとして米国に対してカンカンになっている。

両国間にはこうした貿易問題があるなかで、レアアースの輸出を規制したとしても何か問題があるのかというのが中国政府の立場。

中国は輸出禁止されているASMLの最新のEUV半導体製造装置が欲しくてたまらないようだ。

一方で月末のAPEC首脳会談では、レアアース・麻薬フェンタニル・大豆の中国への輸出問題が取り上げられる予定となっている。

現在、中国の米産大豆の輸入は0、ブラジル産を購入している。4月145%のトランプ関税に対して125%で対抗、その過程で中国企業は米国産大豆を購入しなくなった。3~5月まではブラジル大豆の収穫期、価格も下がっており、中国は大量購入している。しかし、現在はブラジル産は閑散期で価格は高騰している。一方、米国産は収穫期、行き場がなく溢れかえり、トランプはすべての責任は中国にあると平気で中国へ責任転嫁している。

中国は価格が安ければ米国から購入する可能性もある。ただし、米国が見返りに何かプレゼントしない限り習政権は応じないだろう。

<中国独壇場のサプライチェーン>
ゴールドマンは、中国は世界の
レアアース採掘の69%、
精錬の92%、
磁石製造の98%
を支配していると述べた。

レアアースは電池から半導体チップ、人工知能(AI)、防衛装備品など、用途が多岐にわたる。
昨年の市場規模は60億ドルと、銅よりはるかに小さいが、レアアースに依存する産業で10%程度の調達難が起きれば、インフレ圧力となり、1500億ドルの経済損失につながると警告している。

<さらなる輸出規制リスク>
ゴールドマンは、サマリウム、黒鉛、ルテチウム、テルビウムが輸出規制に対し特に脆弱だと指摘。
サマリウムは高温耐性のあるサマリウム・コバルト磁石の原料。同磁石は航空宇宙機器に使用されている。
さらに、セリウムやランタンなどの軽希土類を、中国が精製と採掘で支配的な役割を担っていることから規制の対象になる可能性があると指摘。
「ライナス・レアアース」や「ソルベイ」といった西側企業が不足を緩和できるかもしれないが、中国への依存は依然として大きいとしている。

<独立サプライチェーンの課題>
各国は独立したレアアースと磁石のサプライチェーン構築を目指すが、地質学的な希少性、技術の複雑さ、環境問題など、さまざまな課題や障害があるとゴールドマンは指摘する。

重希土類は、中国とミャンマーが主たる産出地で、それ以外の既知の鉱床はほとんどが小規模で低品質。新規の開発には8~10年を要する。
また精製には高度な専門知識とインフラが必要で、インフラの建設は通常5年かかる。

磁石の生産は、米国、日本、ドイツで拡大しているものの、サマリウムなどの原料は中国が管理しており、制約に直面している。航空宇宙用のサマリウム磁石。

<投資と商品リスク>
ゴールドマンは、投資家がレアアースの混乱リスクを管理する方法として株式を提案し、
「イルカ・リソーシズ」、
「ライナス・レアアース」、
「MPマテリアル」(トランプ政権出資、国防総省とパートナーシップ締結)
を挙げた。
磁石の製造に不可欠なネオジム・プラセオジム酸化物の供給不足を予測。
1キログラム当たり85~90ドルの長期価格が、精製施設新設を正当化する最低ラインだとした。
また、レアアース以外で、コバルト、石油、天然ガスなどのコモディティーについて地政学的緊張による供給途絶リスクが高まっていると指摘した。

コバルトの含有鉱石は紛争地帯のコンゴ民主共和国、採鉱のほとんどの利権を中国企業が抑えている。
石油や天然ガスは、ウクライナのロシアの生産基地や精製施設へのドローンや国産巡行ミサイルによる攻撃での生産停止があげられる。中東もイスラエルの攻撃はシリア・レバノンやヨルダン川西岸で続けられており、火種は残っている。
また、トランプの原油埋蔵量世界有数のベネズエラ攻撃も射程圏内に入れている。

<トランプ政権、政府出資のレアメタル・レアアースメーカー>
トランプ政権は急遽、レアアース・レアメタル関係の米鉱山会社に出資している。
①MPマテリアルズ(MP)15%の株式
②リチウム・アメリカス(LAC)10%の株式(米国には世界最大の埋蔵量鉱脈がある)
③トリロジー・メタルズ(TMC)10%の株式(トランプ氏の有力支援者の鉱山会社)

また、10月、米豪はレアアース開発で提携、両政府は今後半年以内に30億ドル(約4500億円)を投資し、530億ドル(約8兆円)規模の資源を開発する。
ただ、レアアースを抽出技術、専用の装置、さらに長期にわたる抽出工程が待ち構えており、1~2年で解決するものではないとされている。商業ベースの鉱脈が見つかるかも疑問。

トランプ氏は米豪の開発提携にあたり、2年後レアアースは困るほどあまりあるものになると豪語している。

中国は、結果的にその価格戦略において、レアアース・レアメタルの含有鉱石を集積させ大量生産できる国にしている。

リチウムは豪州も米国も生産しているが・・・
豪は世界最大級の生産国でもある。しかし、現実はリチウム含有鉱石の95%を中国企業に売り渡し、中国でレアメタル化されている。
米国でも全く同じで現在でも含有鉱石の80%前後は中国企業へ売却されている。
米国はリチウムのレアメタルに限らず、世界シェア11%のレアアースの生産国でもあるが、米国産では価格競争力がないため、中国へ含有鉱石を売却しているのが現実。

中国は、レアメタルもレアアースも埋蔵し生産国でありながら、世界の含有鉱石の集積地にもなり、製品生産国となっている。

中国もリチウム鉱脈を持ち生産国。
レアアースの市場価格は、製品化して販売するにあたり、価格競争力の原理が働いている。安価な中国製が圧倒し、米国製などではとっくの昔に淘汰され、それ以降、含有鉱石を中国へ売却し、ほとんど製品化していない。

中国は石炭が取れる安価なエネルギー大国、群を抜く世界一の採炭量、それでも足りず、インドネシアから石炭を輸入するほど。
こうしてリチウム含有鉱石からリチウムを抽出する熱源・電源に利用、安価に生産できる体制を作り上げた。
そのため、中国外の価格競争で負けたレアメタルやレアアース生産会社は淘汰され、海外勢は世界で見れば数えられるほどしか残っていない。

欧米勢が生産してもレアアースの価格競争力はなく、経済安保上、欧米製レアアースを使用すれば、高価なレアアースを使用することになり、半導体や電池・機械装置・制御装置・兵器に至るまで、製品価格が高騰することになる。

当然、そうしたレアアース企業は、そのノウハウにより生産を短期間で成果を出し、生産拡大する方針だが、ノウハウや装置、実際の製品化に至る大量生産工程のほとんどを中国企業が有しており、今回は抽出機械や装置の輸出も禁じている。早くて2年、それ以上かかるというのが関係者の見解となっている。

レアアースは、ミャンマーにも埋蔵しているが内戦状態、埋蔵地は部族支配地にあり、ここでも実質、中国企業がミャンマーの部族から採掘権を購入している(当地で栽培される麻薬原料も闇の中国企業へ販売、採掘権も含め見返りは食料・日用雑貨品・武器となっている)。

インドネシアのニッケルにしても中国企業が採掘利権を有し採掘しており、生産量の8割が中国企業によって、インドネシアの石炭を使い現地でレアメタルとして製品化し、中国へ輸出、実質ニッケルも中国が世界支配している(日本はフィリピンのニッケル鉱山で採掘して製品化)。

● コバルトやニッケルが不足すれば、韓国勢(アメリカ勢も含む)の3元系リチウムイオン電池製造の必須アイテムであり、バッテリーの大量生産も覚束なくなる。
(中国のCATLは韓国勢の3元系で必要な高価格のコバルトとニッケルを必要とない高効率のLFP電池を開発し、車両用に搭載、中国車以外にベンツなどのEVにも搭載されている。そのため車両価格も、高価格の電池だけの違いで、韓欧米日のEVより中国製は2~3割安価に生産されている。安価な中国製EVの販売は過剰生産・ダンピング輸出だけでは片づけられない。)

レアアース(希土類)とは、
原子番号57番のランタンから71番のルテチウムまでの15元素に、21番のスカンジウムと39番のイットリウムを加えた17元素の総称。

日本では温泉水にスカンジウムなどが含有し、イットリウムなども生産している。
2010年に日本は中国からレアアースの輸出規制(▲75%減)を受け、リサイクル利用が世界で一番進んでおり、リサイクルノウハウも有している。ただ、生産量としては少ない。日本は、日本のほか、豪州・フィリピン・ベトナムなどにレアメタル・レアアースの採掘・リサイクル・製品生産基地を有している。

 


スクロール→

レアアース生産と埋蔵/米USGS

レアアースの生産

レアアースの埋蔵量

2023年

2023年

中国

67.8%

中国

48.9%

ミャンマー

11.4%

ブラジル

23.3%

米国

11.1%

インド

7.7%

オーストラリア

4.3%

オーストラリア

6.3%

ナイジェリア

1.9%

ロシア

4.2%

その他

3.5%

ベトナム

3.9%

2024年の生産量は約30万トン、2018年のレアアースの埋蔵量は1.2憶トン/USGS

米国

2.1%

グリーンランド

1.7%

その他

1.9%

 


スクロール→

第一次、2025年4月4日から、中国、レアアースの輸出規制 7種

 

品目

用途

 

サマリウム、

宇宙ロケット用など耐高熱のサマリウムコバルト磁石、化学反応の触媒、試薬、がん治療剤や痛み緩和剤の材料

 

ガドリニウム、

磁石、光学ガラス、蛍光体(緑)、放射線遮蔽材(医療用、原子炉)など

 

テルビウム、

テレビのブラウン管や水銀灯の蛍光体、光磁気ディスクの材料、ネオジム磁石の耐熱性向上用添加物など

 

ジスプロシウム、

ネオジム磁石の保持力向上・耐熱性向上用添加物、照明、レーザーなど

 

ルテチウム、

化学反応触媒、放射線医薬品、レーザー、蛍光体など

 

スカンジウム、

航空宇宙分野(高強度アルミニウム合金)、ミサイルの弾頭カバー、スポーツ用品など

 

イットリウム

ブラウン管用蛍光体、LED、二次電池の添加物など

 

第2次、2025年11月1日規制強化通知 /10月9日

 

今回はレアアースの生産関連の機械装置も輸出規制。

 

また、中国企業に対して、国内外でレアアース生産に協力することも禁止。

 

・追加して、11月8日から一部のリチウムイオン電池、正極材、黒鉛負極材の輸出にも事前認可制導入、正極材はリチウム遷移金属のコバルト、ニッケル、マンガンなどの酸化物。(一部除外は、サムスンSDI製のスマホや電動工具用の電池と見られる)、大手以外の中国製は安全面からも怖い。

 
 
 

 


スクロール→

2023年韓国の中国依存度/韓国紙

マンガン

80.8%

電池・陽極材

リチウム

78.0%

電池

レアアース

61.7%

半導体

コバルト

57.1%

電池・陽極材

黒煙

46.3%

電池・陰極材

 

 


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