中国不動産大手の**万科企業**(Vanke)が深刻な経営危機に直面している。期限を迎えた社債を償還できず、欧米の大手格付け会社が相次いで「部分的なデフォルト(債務不履行)」と認定した。不動産不況は、もはや一部の民営企業にとどまらず、国有系大手にも波及し始めた。
万科は、深圳市が出資する国有企業「深圳地鉄集団」を最大株主に持つ不動産会社で、中国では財務体質が比較的健全な「優等生」とみられてきた。マンション販売では一時、国内トップクラスの実績を誇り、恒大集団や碧桂園といった問題企業とは一線を画す存在だった。
しかし今月、期限を迎えた社債を予定通り返済できず、現在は支払い猶予期間に入っている。これを受け、**S&Pグローバル・レーティング**と**フィッチ・レーティングス**は、万科の格付けを相次いで「選択的デフォルト」「制限付きデフォルト」へ引き下げた。
「国有系でも安全ではない」という衝撃
今回の問題が市場に与えた影響は大きい。これまで中国では「国有系企業は最終的に救済される」との暗黙の期待があり、不動産業界でも万科は最後まで持ちこたえるとみられていたからだ。
その万科が社債の期日を越えたことで、市場では「国有であっても例外ではない」「救済があっても、債権者の損失は避けられない」との見方が急速に広がっている。
不動産不況は長期化の様相
中国国家統計局によると、2025年1~11月の新築住宅販売面積は前年同期比で8.1%減少した。政府は住宅購入規制の緩和などで需要喚起を進めているが、販売はなお低迷している。
不動産開発投資も大幅な減少が続き、業界全体が縮小局面にあることは明らかだ。
こうした状況下での万科の信用不安は、単なる一企業の問題ではない。住宅の未完成リスクや、建設業者・資材業者への支払い遅延を通じて、地方経済や金融機関に波及する懸念もある。
中国経済の「新たな足かせ」に
2021年の恒大集団、2023年の碧桂園に続き、2025年は国有系の万科が揺らいだ。不動産市場は中国経済の成長を支えてきた中核分野だが、今や逆に景気の重荷となりつつある。
楼継偉・元財政相が「不動産不況は当面続く」と指摘するように、問題は短期で収束する見通しは立っていない。
万科の事実上のデフォルトは、中国当局が「市場原理を重視しつつ、管理された縮小」を選び始めた可能性も示している。日本市場にとっても、中国景気の減速が長引くシナリオを改めて意識させる出来事となりそうだ。