米サックス・グローバル・エンタープライゼズの破産申請と、割引業態「サックス・オフ・フィフス」の大半閉鎖は、米国の高級小売業界が構造転換期に入ったことを象徴する出来事となった。単なる経営不振ではなく、過度な買収戦略と高級ブランド依存の限界が一気に表面化した形だ。
破綻の引き金となったのは、2024年に実施したニーマン・マーカス・グループの買収である。約26.5億ドルという大型買収により負債が急増し、2025年末には利払いの延滞が発生した。出資者の一角を占めていたアマゾンも、破産手続きの中で投資価値を事実上ゼロと評価しており、テクノロジー主導の次世代百貨店構想は頓挫した。
経営再建に向けた「選択と集中」の象徴が、オフ・フィフス事業の切り捨てだ。全米74店舗のうち、存続するのは12店舗のみ。しかも今後は独自仕入れを行うオフプライス業態から撤退し、本体百貨店の売れ残り在庫を処分する補助的拠点へと位置づけを変える。ECサイトも閉鎖され、割引店としてのブランドは事実上消滅する。
サックス破綻が映す米高級小売の転換点 オフプライス撤退とブランド依存の代償