アイコン サックス破綻が映す米高級小売の転換点 オフプライス撤退とブランド依存の代償

Posted:[ 2026年1月30日 ]

米サックス・グローバル・エンタープライゼズの破産申請と、割引業態「サックス・オフ・フィフス」の大半閉鎖は、米国の高級小売業界が構造転換期に入ったことを象徴する出来事となった。単なる経営不振ではなく、過度な買収戦略と高級ブランド依存の限界が一気に表面化した形だ。

破綻の引き金となったのは、2024年に実施したニーマン・マーカス・グループの買収である。約26.5億ドルという大型買収により負債が急増し、2025年末には利払いの延滞が発生した。出資者の一角を占めていたアマゾンも、破産手続きの中で投資価値を事実上ゼロと評価しており、テクノロジー主導の次世代百貨店構想は頓挫した。

経営再建に向けた「選択と集中」の象徴が、オフ・フィフス事業の切り捨てだ。全米74店舗のうち、存続するのは12店舗のみ。しかも今後は独自仕入れを行うオフプライス業態から撤退し、本体百貨店の売れ残り在庫を処分する補助的拠点へと位置づけを変える。ECサイトも閉鎖され、割引店としてのブランドは事実上消滅する。

 



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より深刻なのは、高級ブランド各社に対する巨額の未払い問題である。裁判資料では、シャネルへの未払いが約1.36億ドルに上るとされ、LVMHやケリング、リシュモンといった主要メゾンも債権者に名を連ねる。支払い遅延を受け、出荷を止めるブランドも出始め、店舗の品揃えが細るという悪循環に陥っている。値引きを嫌う高級ブランドとの関係修復は、再建の最大のハードルとなりそうだ。

一方、市場全体では競合への影響も広がる。サックス撤退後の過剰在庫は、TJマックスやマーシャルズといったオフプライス大手に流入する可能性が高い。また、富裕層顧客がノードストロームやブランド直営店へ移る動きも懸念される。

サックスの破綻は、買収による規模拡大と割引業態の併存というモデルが、高級小売では持続しにくいことを示した。今後の焦点は、債権者との調整とブランドとの関係再構築がどこまで進むかだ。米高級小売業界は、量から質への転換を迫られている。

 

 


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