米高級百貨店サックスに「倒産」の足音、1億ドルの債務返済期限が迫る。米国の消費失速を象徴か
米ニューヨーク・マンハッタンの五番街を象徴する高級百貨店サックス・フィフス・アベニューを巡り、経営の先行きに不透明感が強まっている。
ブルームバーグは22日、親会社のサックス・グローバルが連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の申請を検討していると報じた。米国のラグジュアリー市場を牽引してきた名門が、法的整理の瀬戸際に立たされている。
背景には資金繰りの急速な悪化がある。サックス・グローバルは今月末に1億ドル(約150億円)超の債務返済を控える。資産売却や緊急の資金調達で対応を模索しているが、選択肢は限られる。すでに一部債権者は、手続き中の運転資金を確保するDIPファイナンス(事業再生融資)を巡る非公式協議を開始しており、市場では法的整理は避けられないとの見方が広がる。
今回の危機は個社要因にとどまらず、米消費市場の冷え込みを映す。インフレ長期化で生活費負担が増し、これまで高級消費を支えてきた「手の届く贅沢」層の購買意欲が後退。雇用環境の軟化も非必需品支出を抑制した。超富裕層の消費は堅調でも、百貨店モデルを支える中間層の離脱が打撃となった。
影響は日本にも示唆を与える。国内の高級百貨店はインバウンド需要で好調だが、米国の動向は構造転換の必要性を突きつける。サックスは競合の**ニーマン・マーカス**との統合で規模拡大を図ったが、消費嗜好の変化と景気変動に規模だけでは抗しきれない現実が露呈した。
危機の引き金は、2024年末に実施した27億ドル規模の買収にある。AmazonやSalesforceなどIT大手の資本を背景にデジタル転換を急ぐ構想だったが、結果として巨額債務の重圧が残った。債券価格が急落していることは、市場が現体制での自力再建に懐疑的であることを示す。月末の支払い期限は、統合戦略そのものの成否を問う局面となる。





