トランプ米大統領は13日、北京に到着する。米大統領の訪中は約10年ぶり。イラン戦争による混迷が世界経済を揺るがす中、習近平(シーチンピン)国家主席との首脳会談は、停滞する米中関係の「再構築」に向けた重大な岐路となる。貿易や先端技術、台湾問題を巡る深い溝を埋める糸口を見いだせるのか。世界が見守る「二大強国(G2)」の対話が始まる。
■ 紛争終結へ「原油」が鍵に
最大の懸念は、中東情勢の米中関係への波及だ。米国とイスラエルによる対イラン紛争は、エネルギー価格の高騰を招き、世界的なインフレを引き起こしている。
トランプ氏は、イラン産原油の最大購入国である中国に対し、外交・経済両面での「圧力」を求める構えだ。しかし、中国側は米国の「一方的な制裁」に強く反発。4月に発生した中国関連船の拿捕(だほ)問題を巡り、両国間の緊張は臨界点に達している。首脳間による「個人的な信頼関係」の誇示が、どこまで実効性のある停滞回避につながるかは不透明だ。
■ 「実利」優先の貿易交渉
経済分野では、かつての「貿易戦争」から、より直接的な「購入約束」へと軸足が移りつつある。トランプ政権は、大豆や牛肉などの農産物、ボーイング製の航空機といった「5つのB」に焦点を当て、対米投資の拡大を迫る。
背景には、米国内の支持基盤である農家や製造業への配慮がある。一方で、中国側はレアアースなどの重要鉱物の輸出規制を「カード」として維持しており、相互の譲歩が市民生活の負担軽減につながるかが焦点だ。合成麻薬「フェンタニル」対策での協力など、限定的な合意を積み重ねる「実利主義」の色彩が強まっている。
■ ハイテク覇権と台湾の火種
対立が最も先鋭化しているのが、人工知能(AI)と台湾問題だ。
米国は、先端技術が軍事転用される「敵対的蒸留」への警戒を強め、輸出規制による封じ込めを図る。これに対し、中国は独自のサプライチェーン構築で対抗しており、技術分野での「デカップリング(分断)」は修復困難な段階に入りつつある。
また、中国が「核心的利益」と位置づける台湾問題を巡り、トランプ氏は武器売却計画を協議のテーブルに載せる意向を示唆している。米国の関与の在り方が、地域の安定を担保するのか、あるいは対中交渉の「材料」とされるのか。現状維持の行方に、アジア諸国からも懸念の視線が注がれている。