米アルケイディア市長、中国の「工作員」容疑で訴追・辞任
ニュースサイトで親中情報発信 人権問題、否定の投稿
米司法省は11日、中国政府の工作員として活動し、米国内で親中派の世論工作を行った疑いで、カリフォルニア州アルケイディア市のアイリーン・ワン市長(63)を訴追したと発表した。ワン容疑者は同日、容疑を認めて司法取引に応じ、市長を辞任した。民主主義の根幹である地方自治の首長が、外国政府の指示下で世論を誘導していた実態が明らかになり、米国内に衝撃が広がっている。
司法省の発表や米メディアによると、中国出身のワン容疑者は2020年から22年にかけ、中国政府関係者の直接的な指示の下、自身が運営する中国系米国人向けのニュースサイトに、中国に有利な記事を繰り返し投稿した疑いがある。特に、国際的な批判が集まる新疆ウイグル自治区でのジェノサイド(集団殺害)や強制労働を否定する内容が含まれていたという。
当局の捜査では、中国当局者が暗号化アプリを通じて記事の草稿を送り、ワン容疑者が即座にサイトへ掲載して報告する、密接な連携が確認された。米国のニュースサイトを装うことで、中国政府の主張を客観的な報道に見せかける「情報工作」の隠れ蓑にしていたとされる。
ワン容疑者は約30年前に中国から米国へ移住。今年2月に市長に就任したばかりだった。司法省の高官は「公的な信頼を負う立場を利用し、外国政府の意向を密かに実行したことは、米国の安全保障と価値観に対する重大な挑戦だ」と厳しく指弾した。
中国による米政界や地域社会への「静かなる浸透」が深刻化するなか、今回の事件は、地方自治体や草の根メディアまでが工作の標的となっている現状を改めて浮き彫りにした。米連邦捜査局(FBI)などは、背後にあるより広範なネットワークの解明に向け、捜査を続けている。





