アイコン コメ在庫は回復、それでも業務用米は12.6%高 過去最多ペースの飲食店倒産に重いコスト

Posted:[ 2026年9月10日 ]

コメの流通在庫が前年を大幅に上回る水準まで回復する一方、飲食店などが仕入れる業務用米の価格には、なお高値が残っている。

農林水産省が公表した2026年7月の米穀流通動向によると、7月末の全国の民間在庫量は162万玄米トンとなり、前年同月を70万トン上回った。一方、米穀販売事業者による中食・外食事業者等向けの販売価格は前年同月比112.6%と、なお12.6%高い水準だった。

飲食業では食材費に加え、人件費や光熱費など幅広いコスト上昇が経営を圧迫しており、倒産は過去最多ペースで推移している。コメの在庫環境は改善しているものの、飲食店の仕入れ負担がすぐに前年水準へ戻ったわけではない。

コメ在庫は前年より70万トン増加

農水省によると、2026年7月末の全国の民間在庫量は162万玄米トン。前年同月に比べ70万トン増加した。

内訳は出荷段階が117万トンで前年より57万トン増、販売段階が45万トンで同13万トン増となっており、前年に比べれば流通在庫は大幅に積み上がっている。

2025年から続いたコメ価格高騰を受け、政府備蓄米の放出や集荷量の増加などもあり、在庫面では前年の極端に低かった水準から改善が進んでいる。

 



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2026年7月末の民間在庫 162万玄米トン
前年同月との差 +70万玄米トン
出荷段階 117万トン(前年差+57万トン)
販売段階 45万トン(前年差+13万トン)

それでも外食向け米価は12.6%高

在庫量とは対照的に、飲食店の仕入れに近い指標では高値が残っている。

農水省が米穀販売事業者の販売実績を指数化したデータでは、2026年7月の中食・外食事業者等向け精米販売価格は前年同月比112.6%。小売事業者向けが同101.0%だったのに対し、中食・外食向けでは前年を1割以上上回った。

ただし、業務用米の価格上昇率そのものは縮小している。中食・外食事業者等向けの販売価格は、1月の前年同月比150.3%から、2月140.2%、3月127.6%、4月120.4%、5月119.6%、6月116.9%、7月112.6%と低下してきた。

中食・外食向け販売価格
前年同月比
2026年1月 150.3%
2月 140.2%
3月 127.6%
4月 120.4%
5月 119.6%
6月 116.9%
7月 112.6%

つまり、年初に比べればコメの仕入れ環境は改善方向にあるものの、飲食店側からみれば「高騰が終わった」という段階には至っていない。

7月の中食・外食事業者等向け販売数量も前年同月比93.9%と前年を下回った。

飲食業倒産、1~8月で701件

こうしたなか、飲食業の倒産は高水準が続いている。

東京商工リサーチによると、2026年8月の「飲食業」倒産は80件で、前年同月比42.8%増加。8月としては1997年以降の30年間で最多となった。

1~8月累計では701件となり、前年同期を8.8%上回った。2025年は年間1002件と初めて1000件を突破して過去最多となったが、2026年はこれを上回るペースで推移している。

直前の7月には単月で112件の飲食業倒産が発生し、同月として過去30年間で最多を記録している。

2026年8月の飲食業倒産 80件
前年同月比 42.8%増
2026年1~8月 701件
前年同期比 8.8%増
2025年年間 1002件(過去最多)

食材費・光熱費・人件費、小規模店に重い負担

8月の倒産を業種別にみると、「食堂・レストラン」が18件、「居酒屋」が16件、「ラーメン店」が8件、「日本料理店」が6件などとなった。

東京商工リサーチは、食材や光熱費、人件費などのコスト上昇が飲食店経営を圧迫していると指摘している。特に小・零細事業者では、コスト上昇分を販売価格へ転嫁すると客離れにつながる懸念もあり、十分な値上げが難しいケースが少なくない。

もちろん、足元の飲食店倒産の増加をコメ価格だけで説明することはできない。人件費や光熱費、その他の食材価格、競争激化、売上不振など複数の要因が重なっている。

ただ、コメを日常的に仕入れる飲食事業者にとって、業務用米の価格が前年より12.6%高い状態が続いていることは、食材コストの一つとして無視できない。

在庫回復が飲食店の仕入れ価格にどこまで波及するか

コメの中食・外食向け販売価格は年初から着実に低下しており、価格面でもピーク時からは改善がみられる。一方、7月時点では依然として前年を12.6%上回っている。

前年より大幅に増えた民間在庫が今後の流通価格にどこまで反映されるかは、飲食店にとって重要なポイントとなる。

食材費、人件費、光熱費など複数のコスト上昇に直面する飲食業界。コメの供給環境が改善しただけでは経営環境が一気に好転するわけではなく、仕入れ価格の実際の低下につながるかが注目される。

※「業務用米」は、農林水産省の「中食・外食事業者等向け」の販売価格データを指す。飲食業倒産は東京商工リサーチの集計(負債1000万円以上)による。

 

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